表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JACK+ グローバルネットワークへの反抗   作者: sungen
異能編(最終章)
102/151

第13羽 異能 ①カラス -2/4-


アパートを出た速水は小さな声で歌を歌っていた。


「からすがないたらかえりましょう。すずめはないてもだいじょうぶ…こしゅけい、まひわ、るりびたき…」


これは今は亡き速水の母が考えた変な子守歌で、元々英語の歌詞がついている。

速水はそれに日本語の歌詞を当てて、よく日本語で歌っていた。


「あとりのこえはー…」

今も速水は歌詞を日本語で歌う。


近距離ですれ違う人々は、ブツブツ言うキャップを被った青年を見て眉を潜め、ヒソヒソと話すか、遠巻きにした。



ある店の前を通りかかった時、音楽が聞こえて速水は舌打ちした。


「エリック!直ってないぞ!」

速水は突然立ち止まり、店の入り口に向かって日本語で言った。


「直るかもしれないって、嘘だったのか!!?騙したな!」

中の店員が目を丸くした。


そして速水は急に大声で泣き出した。


店員が、さすがに何かあったのか、と出てこようとするが、その前に速水はそっぽを向いて駆けて去った。


暫く。早足で、目を擦りながら歩いていると、カッコウの鳴き声が聞こえた。


「…あ、カッコウ。雨がふるのか」

速水は顔を上げた。

「洗濯物をいれないと――」

また違う鳥が鳴いた。


チクチク、チュン、ツツツ、ピーぴー、ちゅ?


「あははは!なんだっけ、こいつ!あ、こっちにもいるぞ!!」

鳥の声に誘われるまま、速水は街を徘徊した。


ちー?ちゅん、ふぃー、キー…、ヒュィオ…


こんなに沢山いるんだから、速水がおかしいのは仕方無い。

無理してまともな振りなんかしなくても、もういい。

うそをついて生きなくてもいい!


もう何だって良い!


これが自由か…。最高だな!


速水はいつに無いほどの笑みをたたえていた。


「―あははっ!アハハハッ!」

そして楽しげに、笑って彼は歩き出す。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ