超心理的青春(1/40)縦書き表示RDF


 


 高校に入学してからというもの、ろくなことなんてない。何が有名進学校だ。裏を開けてみればこの通り、命の取引を繰り返す日々だ。
 今だってこんなこと考えてる場合じゃない、鳴り止まない銃声、張り詰めた空気、弾薬の匂い。ここにいると、この国が平和を唱えてることが嘘のように思えてくる。もうすぐ僕は死ぬのかもしれない、天照もはぐれてしまったし、他のみんなはどうなったか知らない。探そうと思えば超心理の加護で見つけれるんだろうけど、もう疲れたよ。この1年、僕は何をしてきたんだろう。死ぬ前にそれくらいは知りたいよ。
 那実、お前ならこの状況どうする?
超心理的青春
作:ryouka



その1 始まる以前


 僕、伊佐薙イサナギはもうすぐ高校生になる。
 現在、中学3年生で、まさに今、高校生になるために受験校へ双子の兄と向かっている。
 その学校は日本でも有名進学校で、普通に考えれば僕たちが受験するようなところではなかった。

 1ヵ月前のある日、封筒が届いた。送り主は「京都文化芸能大学付属高校」文章の内容はこんな感じだった。
 「あなたを『特別能力開発学科』へと推薦したいと考えています。もし進学校を決定していないのであればこちらにご連絡ください」とのこと。
 いきなりのことだったので、わけがわからず、双子の兄である那実(ナミ)に相談することにした。名前は女っぽいけど、どこから見ても男である。外見内面どちらから見ても。双子の弟の僕が言うんだから間違いない。
 「那実、ちょっと相談があるんやけど」僕がそういうと、いつもより速く反応して、「俺もや、ちょっと聞いてくれへん?」
 那実から相談とは珍しいことだ、いったいどういう相談? 恋愛方面は勘弁で。
 「薙に恋話しても無駄やろ」悔しいけどその通り。
 「もっと別なことや・・・進路のこと」もしかして、那実にも同じ封筒が届いたのか?
 「京都文芸高から封筒がきたんやけど」やっぱり。
 どういう偶然だろう、話にしては出来過ぎてるし。
 「おかしいな、僕にも届いたよ。その封筒」
 「そりゃびっくりだ。で、どうする?」那実はどうするんだ?
 「俺は一度高校に連絡するべきだと思うけどな」まぁ一般論だね
 「で、どういうつもりか聞かなあかん」
 早速を電話するべきだと思い、部屋に取りに行こうと思うと、那実がもう通話中だった。相変わらず行動が早い。僕が遅いだけか?
 「もしもし、京都文化芸能大学付属高校でお間違いないでしょうか? ハイ、特別能力開発学科について封筒が届いた伊佐那実といいます。なぜ僕に推薦の封筒を送ってきたのか気になりまして……ハイ、………ハイ」
 どうしたんだろ? さっきから「ハイ」しか言ってない。
 「ちょっと待っていただけますか? ……電話中や黙れ!」
 そんなに怒らなくてもいいだろ。早く通話が終わればいいのに。内容が気になって仕方ない。
 「わかりました。そちらから伺っていただけるならうれしいことです。では後日、ハイ、お手数かけました」
 那実の中途半端に丁寧な敬語がやっと終わった。こいつがこんな話し方すると虫唾が走る、半音高い声も。
 「今度の土曜日、家まで来てくれるやって」
 「どういうこと?」
 「俺が、詳しいことを聞かせてくれ言うたら、電話ではなんなのでこちらから伺わせてもらいますやて。親にも話があるようやし、それが手っ取り早いと思って。これでええやろ?」
 確かに来てくれるなら、それにこしたことはないけど。
 「お母さんに言わなあかんのちゃうの」
 「そうやな、土曜日に推薦校の先生来るから空けとけってな。俺が言うといたるわ」そう言うと、封筒を持って、うれしそうに駆け出しながら、母のいるキッチンへと向かって行った。
 何故、あんなにも楽天的なんだろう? 裏があるようにしか僕には思えなかった。
 「京都文化芸能大学付属高校」略して「京都文芸高」は日本でも指折りの進学校で、毎年、東大や阪大、京大など、偏差値の高い大学にたくさんの生徒が進学するような高校である。そのような高校に何故、僕のような特別勉強が出来るでもない、運動で目立った活躍もない、芸術の才能に秀でたわけではない、のに、どうして推薦が来たのだろう。
 特別なことは、人とは少し違う境遇で育ってきた、ということだけだ。

 しばらくして、お母さんが慌しくノックし、返事をする間も無くドアを開いた。
 「あんた京都文芸高から推薦って凄いやないの!! 今日はご馳走や」そう言うとすぐドアを閉め、一目散で買い物へ出かけていった。
 母も浮かれ気味のようだ。那実も受験勉強をしないで高校にいけるので、上機嫌である。僕はというと少々不安だ。上手い話には裏がある、そういうことだ。
 回転寿司にしても安さの理由は奇形魚やその類であり、安い野菜のほとんどが中国産だ。何事もなければそれで良いのだけど・・・。
 そう思いながらも、久々のご馳走に舌と腹を満たしたのは事実だった。

 けれどこのときはまだ思いもよらなかった、そのような類の学校が本当に存在するということに。


「始まる以前」を読んでいただきありがとうございます。
第一章は伊佐兄弟の過去のことを重点に話しを進めますので、知りたくなければ第二章(その8)に飛んでいただいてもらっても結構です。気になればまた見返してもらえればそれでうれしいです。

もしよろしければ、小説の評価をいただけるとうれしいです、どんな適当な言葉でも良いですので、それがあたしのやる気にも繋がりますので。おねがいします











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




TOP | NEXT


小説家になろう