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囚われの王子と・・ 作者:帆摘
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閑話:ルーク少年のご主人様観察日記10

執事がゆっくりと話し始めた。
「あれは、殿下がまだ幼い頃だったでしょうか、我が国の国王であられるギルロイ様が仲の宜しいエストラーダの国王のご家族をこの別荘へとお招きになられました。その時、確かお妃のナディア様が、お子様を流産なされたばかりで気晴らしも兼ねてとのご配慮だったのでございます。先にお妃様のナディア様とまだ小さかったジェラルド様が先にご一緒にこの屋敷へと参られました。そういえば・・確か殿下は薔薇のジャムを落としたこの地特産のヨーグルトが大好物でしたな?」

「よく、覚えているな・・・そんな事まで・・」
「そうでなくては執事とは言えませんからな。まあ、暫くは何事もなく、毎日のんびりとした日をお過ごしになっていたのですが・・」そこで、執事は少し間を置き、続けて尋ねた。
「殿下はこの地の湖に由来する伝説をご存知でしたかな?」
「え?ああ・・たしかセレスティアと呼ばれる女神が昔住んでいたとか何とか・・?」
「ふむ・・・やはり覚えてはおりませんか・・。」
「・・・俺が記憶を無くしていた、いや覚えていなかったのは何かその事に関係があるのか?」

「ええ、ですが実際の所、本当に何があったのかは殿下本人しか分かりませんが・・、あの日殿下とナディア様は湖へと遊びに出かけておられました。もちろん幾人かの兵が警護について行ってましたが、少しお昼を食べた後湖のほとりで遊んでおられた殿下の姿が突如として消えてしまったのです。」

「消えた?どういう事だ?」
「私もその場に居合わせた訳ではございませんので、詳しくは分からないのですが、兵士らの証言によると、突如湖から濃い霧のようなものが発生し、あっという間に殿下を包み込むようにして殿下もろとも消えたそうなのでございます。突然の事で驚き、半狂乱になったナディア様を屋敷へと連れ帰り、兵を増兵して付近一帯をくまなく散策致しましたが、殿下を見つけ出す事はできませんでした。

3日間、寝る間も惜しんで手を広げ、エストラーダの国王、レイモンド様もおこしになられました。殿下が居なくなられた事に関して、私どもは、皆責任を問われるだろうと覚悟をしていたものでございます。ところが、そんな時、殿下が全身びしょぬれのお姿のまま、お一人でふらふらと帰ってこられたのです。私どもは皆吃驚して一体何があったのかと殿下に聞いたのです。
そうすると殿下はぐっと言葉に詰まった様子でこう仰られました。

『僕ねえ、ずっとれすてぃあのところにいたんだ。』
『セレスティア?それは一体?』
『きれーなねぇ、めがみさまなんだよ。かみのけが水色でおめめもとってもきれいな青色なんだ。それでね、僕約束したんだよ、せれすてぃあと・・。』
『女神?あの湖に住むといわれる女神の事か?まさか・・・いやしかし、約束とはいったい?』
『だめなの!だってせれすてぃあは僕とだけのひみつっていったから。僕は守らないとだめなんだよ。そうしないとかなしむもの。』

なんだか、あまり要領を得なかったのですが、疲れていらっしゃったのか、とても眠たい御様子で、その晩はすぐにお眠りになられました。ですがその晩から、殿下は酷い高熱に三日三晩うなされて、事情を聞く状態ではなく、そして3日後、目覚められた時にはその時のことをすっかり忘れておられる感じでした。レイモンド様は幾度か殿下に3日間の出来事を思い出すようにと何度か尋ねておられましたが、その事を聞く度に殿下が頭痛で悩まされる御様子だったので、結局その3日間の事は無かったものとしてお片づけになられました。
ですが、殿下がここを立つ最後の日、あの湖でとても不思議な現象が起ったのでございます。丸1日の間、ずっとあの湖に大きな虹がかかっていたのですよ。
帰り際にそれを見られた殿下は一言、約束と呟かれました。ですから実際のところ、本当に何があったのかは、私達にはわからないのです。殿下が覚えていらっしゃらないのであればなおさらの事ですが・・。」
そういって執事はじっとジェラルドを見つめた。

「約束・・・?俺が・・この湖の女神と?」
殿下は混乱されている様子だった。はっきりいって僕もこの話はとても気になるが、執事さんがいうには、この事を思い出そうとした?幼い頃の殿下は激しい頭痛に見舞われたという。そこまでして大切な殿下に苦しい思いをして欲しくはないのだ。
「ジェラルド様、無理しないで下さい。」僕はそっと殿下の手を握りしめた。
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