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囚われの王子と・・ 作者:帆摘
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63話:離島5

「・・・また変な生物に襲われるのだけは勘弁して欲しいな・・・。」ジェラルドは天井を仰ぎ見て大きく息をはいた。
「まあ・・それはできるだけ幸運を祈るんだな。」
「ジェラルド様・・・」給仕に仕えていたルークが心配そうに目をしばたかせた。リディアも少し青ざめた顔でこちらを見ている。
「まあ、心配すんなって!なんとかなるさ、そうだろう?キルケ」ジェラルドが二人を落ち着かせるように大きな声を上げる。
「そうだな・・だが、今度は船を壊されん様に気をつけねば、儀式にまで間に合わんぞ」キルケの言葉にリディアが反応する。彼女の瞳に強い意志の光が灯った。

「どうすればいいの?キルケちゃん」
「襲ってくるとすると、暗くなってからだろうな・・兵にも厳重に周囲を見張るよう伝えておく事だ。俺はそれまで少しの間仮眠をとる。」キルケは立ち上がり部屋をでていった。
「・・・あいつ、神経図太いよな。この状況で普通寝るか?」ジェラルドが呆れたように言う。
「きっと何か考えがあるんだよ、キルケちゃんにも・・。」

日が落ち、闇が濃くなるにつれて風が強くなり、雨が降り始めた。キルケはそっと起き上がると外の様子を伺う。激しい雨の音にまぎれていくつもの低い唸り声が聞こえる。
「来たか・・・。」外へでようとすると、後ろからジェラルド達が駆け寄って来た。
「キルケ!」
「ああ、わかっている。結構な数だ。まったく個体数が著しく減少しているんじゃなかったのか・・・?うっとおしい奴らだな・・・。お前達は船に残っていろ。俺一人で片付けてくる。絶対に船の中からでるんじゃないぞ。」
「え、何を言っている!俺たちも一緒にいくに決まってるだろう!」

「・・・じゃあ、お前達は、この周りをたむろしている雑魚を片付けておいてくれ。俺はあいつらのボスを仕留める。いいな・・・?」キルケの強い口調に押され、しぶしぶジェラルドは頷いた。
「わかった。だが、くれぐれも気をつけろよ。少しでも危ないと思えばすぐに戻ってこい。いくら強いと言ってもお前だって女なんだからな。」
キルケはジェラルドの台詞に毒気を抜かれた様な表情を一瞬見せたが、すぐに顔を引き締め、薄く笑う。「お前の口からそんな言葉を聞くとは思わなかった・・。まあ心配するな。すぐ終わる。お前はあのじゃじゃ馬をしっかり見はっておくんだな。」

キルケはそう言い残し、苦笑するジェラルド達を他所に船の外へ出て行く。闇の中、無数の赤い瞳がこちらを伺っていた。「さて・・と」キルケは小さな鼻をうごめかせて匂いを辿る。あっちか・・。キルケは残忍な微笑みを浮かべつつ深く生い茂った濃緑の奥へと足を進めた。何故か、獣達は1匹としてキルケに襲いかかるものは無かった。殺気を放っているものの、’何か恐怖に脅えたように遠巻きにキルケを見ている。しばらく歩いてジャングルの中頃までくるとキルケはぴたりと足を止め、低く唸る・・「でてこい!」

キルケの見つめるその先から一匹の大きな獣が姿を現す。銀色の衣を纏い額には大きな角が生えている。猫のようなしなやかな体を持っているがサイズは桁違いだ。人型の姿を取っているキルケなどひとのみで食べられそうだ。獣はゆっくりとキルケに近づいてくると鼻をひくひくとうごめかす。
キルケの脳裏に声が響いた。
ーーーこの地に何をしに来た・・古の血をもつ若き竜よ。懐かしき匂いがすると来てみれば、我らの住処を完膚なきまでに崩壊させ、のうのうと出て行こうとする・・返答次第ではいかに高貴な血族とは言え容赦はせぬぞ・・・

「うるさい獣だな・・・なんだ、お前達あの遺跡を根城にしてたのか・・・だがあれは今の世界には必要の無いもの、お前達も知っているだろう?それにあんなもの、万が一人間に見つかると始末に悪い。いらぬ興味を引き出すよりは壊してしまった方が良いだろう・・・?」そういいつつキルケの姿が変化していく。人の姿が裂けるように・・大きく金色の鱗と金の瞳を持つ竜体へと姿を変えた。

ーーーふん・・・人間など恐れるに足りぬ。よしんばこの島にたどり着いたとて、我らが始末してくれるわ。お前は何故あのような人間どもと行動を供にしている・・?

ーーーお前には関係のない事だ・・・。ここで死にたくなければ余計な詮索はせぬ事だ。それと船の周りにたむろっているうるさい奴らをさっさと片付けろ。

ーーー勝手な事ばかり言いおって・・我らの安住の地に足を踏み入れたのはお前達の方だろう。お前が破壊した遺跡で逃げ遅れて下敷きになった同胞達がどれほどいたと思うのだ!

ーーーおや・・・気をつけたつもりだったがそれは悪かったな。ふむ・・ではお前達の襲撃の理由は俺にあると言う事か・・ジェラルド達には迷惑をかけてしまったな・・・。わかった。何が望みだ?それ相応の代価を支払おう。

暫くの間、幻の獣と呼ばれるフィクサーの長は金色に輝く竜をじっと見つめていたが、ゆっくりと口を開いた。
ーーー我が息子が彼方ウリムナの地で人間達に捕まっている。あれを助け出してくれるのなら、我らはお前達を無事この島より送り出そう・・・。お前には敵わぬとも、此処にいる人間らを始末する事は容易い・・どうだ?

ーーー余計な脅しは無意味だ。いいだろう。お前の息子がまだ生きているなら必ずやこの地に送り届ける。

ーーーでは、しかと約束したぞ・・・古の竜よ・・
そういってフィクサーはジャングルの奥へと姿を消した。キルケは人型に戻ると船の方へとゆっくりと歩いていった。先ほどまでの殺気に満ちた視線は全て無くなっていた。
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