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囚われの王子と・・ 作者:帆摘
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38話:竜の聖地2

キルケは一人になるとそびえ立つ頂きの中腹にある洞穴の中で人形の姿のまま膝を抱えた。
ーー俺はいったいどうしたいのだろう。アルファスが戻って来れるかもしれない鍵を握るのは自分自身なのだ。長老の言った通り、これ以上彼が地上に留まっているのはよくない状況だとも思う。何十年か前から、地上の国で竜を欲する国がいくつか動きをみせ、なおかつグランディスに至っては聖地近くまで捜索の手を向けていたらしい事をミルセディが言っていた。

竜の聖地へはゲートキーパーの手助け無しにはたどり着けないが、こんな奥地にまで捜索の手が伸びていたのは正直驚きだった。それに、もうひとつ気にかかる事がある、ジークフォルンの事だ、あいつの情報網の広さは半端じゃない。商売を隠れみのにしているスパイのようだ・・・スパイ・・?ぐるぐるとまとまらない考えに頭を悩ませていると、ばさっと音がして一匹の竜とその上にまたがったミルセディが洞穴に入ってきた。
「キルケ、こんなところにいたのか・・。」ミルセディはキルケの姿を認めると声をかける。もう一匹の若い竜はリンドルンという名のキルケより先に生まれた、比較的歳の近い竜でミルセディと同じく兄妹のように育った仲間だった。
「ミルセにリンド・・」
「なんてしけた面してんだよ、キルケ。」リンドルンは竜体のままキルケに思念を送る。
「ん・・色々と考え事してた。」
「アルファスの事か・・・?」リンドルンはずんっとキルケの横に横たわると尻尾で優しくキルケを包み込む。ミルセディも人型のまま、となりに腰掛けた。
「それもあるけど、、他にも色々ときにかかる事があってさ、なんだかわかんなくなったんだ。」

ミルセディが言った。「アルファスの事は、こっちにくる前に長老に聞いたよ。あいつ、戻って来れるのかもしれないんだってな・・・。あいつがここを出て行ってから5千年、普通の竜ならとっくに死んでいてもおかしくない。人間と血の契約を交わした竜はアルファスの他にも何匹かいたけど、皆地上で亡くなり消えて行ったと聞いている。

うれしくないのか・・?お前ずっとあいつの事をまってたんだろう?まだ成竜になってなくて力も安定してないのに、自分の体が悪くなるの分かっててわざわざ地上にまで探しに行ったぐらいだ。」

キルケはふるふると頭を振った。「分からないんだ。俺、あいつの事大好きだったよ。憧れてた。お前達と一緒にずっとアルファスも一緒にいるんだって思ってたのに・・・あいつは約束を破って帰って来なかった。俺・・・どうしていいかわかんないんだ。多分あいつを助けられるのは俺しかいない・・けど実際にあいつに遭ったら俺、きっと自分の感情をコントロールできない。そんな状態でうまく術を成功させられるか・・・それにもし失敗したら、俺があいつを殺すんだ・・。」

「キルケ・・・。俺らはさ、もしアルファスが戻って来られたら嬉しいぜ。俺ら三匹、よくあいつの後ついて回ってたよな。あ、一番付きまとってたのはキルケか・・・。まあ、あいつが帰って来なかったのには、あいつなりの理由があるんだろうな。キルケもあんま深く考えないでやれる事、やれよ!お前にしかできないんだろ?その術っての。お前ほんと魔力だけは飛び抜けて高いからな〜。」

「リンドルン・・・なんかお前と話しているとばからしくなってくる。なんでそんな簡単に考えられるんだよ。お前ってほんと昔っから考え無し・・・。」キルケは言いながら、だがにっこりと微笑んだ。彼が自分の事を思っていてくれているのが伝わる。

「そうそう、キルケ、お前昔から言ってたじゃないか。アルファスの子供を生むのは絶対に自分だって!」笑いながらミルセディが言う。

キルケは真っ赤になって叫んだ。「っな!それは!・・・・それは・・・そうだけど・・でも、あいつは、今のあいつは、きっと俺たちの知ってる昔のあいつとは違うと思う・・・」

「そうだとしてもさ、俺らがあいつを思う気持ちに変わりがなければいいじゃねーか。」リンドルンが続けて二人に思念を送った。

そうだな・・そうかもしれない・・・。キルケの中で何かが吹っ切れた様な気がした。
「そうだ!俺、地上でもうひとつ気になってる事があるんだ・・・。」キルケは幼なじみの2匹にジークフォルンの事を話し出した。
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