★青春ゲーム★(57/64)縦書き表示RDF


★青春ゲーム★
作:水姫



第56回戦 予想外の展開




昨日は散々だった。人をおちょくっといて、放置プレイだなんて。

まぁいい。勉強は流華に教えてもらうもん。そうすれば、とりあえず30点以上とれるし。

前に誰も頼らず実力でいったら、大変なことになった。数学に至っては、鈴より低かったね。

(あれ?)

そう言えば、まだ流華来てない。流華が遅刻なんてめずらしいな。

「ほらー、席着けー」

気だるそうに翔兄が入ってきた。ざわつきつつも、みんな着席する。

翔兄は教卓に手をつき、帳簿を開いて一言。

「葉月は欠席なー」

わたしは宇宙の終わりを見た気分になった。



◆第56話 人の優しさプライスレス



『うあー、ぬぃ〜』

休み時間、机に伏して頭を悩ませる。わたしは今、絶望の縁に立たせれていた。

「風邪らしいぜ、あの女。そんな状態じゃ、お前に教えるのは無理だな」

嫌味ったらしい声に顔をあげれば、目の前にはやけに愉快そうな青海が。

『アンタの席そこじゃないでしょうが。勝手に座るなよ』

「いいだろ、休み時間くらい」

フッと笑ったかと思うと、有ろうことかわたしの机に足をのせた。

あ、ヤバイ。こいつの言おうとしてることが分かった。

「ほら、舐めろ」

『公開プレイかコノヤロー!』

勢い余って机を蹴りとばしたら、中に入っていた教科書やらノートをぶちまけた。

青海はサラリとかわしているし。なんかもう、色々とムカつくよ。

「頼りの相手がいないんじゃ、もうこれを舐める他ないな」

『なんでだよ!!』

ずい、と靴の裏を顔面に寄せてくる。そこまでして舐めさせたいか!

でも、無理。テストも無理だけど、そんなことするのはもっと無理。

人に靴舐めさせるのは大歓迎だけど、逆はキツイって。

「じゃあどうするんだ?お前」

『あたしにはまだ頭の良い友がいる!』




――貴公子の場合――

『幸希〜』

「ダメ」

『まだなにも言ってないんだけど!?』

机に広げたテキストとにらめっこしてる幸希。休み時間にまで勉強ですか。

……いや、今気付いたけど、みんな目の色変えて勉強してる。いくらテスト前だからと言って、異常だ。A組じゃあるまいし。

「どうせ勉強教えてとかでしょ?悪いけど時間ないから」

ため息混じりに言われた。
ぐ、読まれてる。
っていうか、冷たくない?いつもだったら、もっと優しい言葉かけてくれるのに。

「今回のテストは難易度高いしね。留年はないけど、悪かったら補習だよ?」

『聞いてない!』

「聞いてねぇのが悪いんだろ」

青海が後ろから口をはさむ。なにさりげなくついて来てんだ。

「青海も余裕だね。舞ちゃんをいじってるなんて」

「まぁな」

『コノヤロー!』

「流華ちゃん大丈夫かな…」

『あたしの心配は!?』

「青海に教えてもらえばいいじゃない」

ケロリと言ってみせる幸希。それが出来たら苦労しないっつーの!

「とにかく、僕には無理だから。ごめんね」

謝ってるけど幸希、一度もわたしのこと見てないよね。

「ほら、チャイム鳴ったよ。席着いて」

わたしは冷酷貴公子を引っ叩いた。




――ヤンキーの場合――

「舞、舞」

クラスメイトに勉強を頼み中、名前を呼ばれた。振り返れば、鈴がケータイ片手に立っていて。

『なに、鈴。あたし今交渉中だから後にしてよ』

「いや、だからね舞。私も余裕ないって……」

ぶつぶつ呟く美紀の声は、まぁ聞こえないということで。

「放課後ゲーセン行こうぜ」

ニッ、と笑う鈴。この子の場合、余裕あるないじゃなくて単に勉強嫌いなんだよね。

テスト勉強なんてしてたら、それこそ大地震が起こる。

鈴はパチン、とケータイを閉じこう言った。

「前に俺らが残した記録、塗りかえられてたんだぜ?」

『なに!?それはまずい!行かなきゃ!』

「ちょっ、舞。あんた勉強するんじゃなかったの!?」

ぐい、とわたしの腕をひく美紀。

う、そうだった。いや、そうなんだけど。この甘い誘惑にわたしは……

「行くだろ?舞」

勝てないッ!!

『もちろん行き──グハァ!』

ます、と続くはずだった言葉は出てこなく、代わりにわたしを襲ったのは痛みだった。

「馬鹿かお前。そんなんじゃ、10点もとれないだろ」

青海。乙女相手に、シャイニングウィザードってどうなの……。

「邪魔するなよ青海ー」

鈴がムッと口を尖らせる。それに青海は無表情で返した。

「鈴はコネがあるだろうけど、このバカ女は何もない」

『何もなくないわよッ』

「精々、体力と運動神経ぐらいだろ?ほら、さっさと靴舐めろ。嫌なら素足でもいいぞ」

『もっと嫌じゃボケ!』




――隠れサドの場合――

『光太、アンタ確か頭は良かったわよね』

「……勉強なら教えないぞ」

『なんで!?』

「面倒くさいから」

ケロリと言い切る光太。彼も休み時間に関わらず、テキストを開いていた。

『ケチ!要点だけ説明してくれればいいんだってば!』

「そんなことしてる時間があったら単語のひとつでも覚える方が得」

くそ、優しくない人間だな。世の中を損得で考えるなんて。

思いきり睨んでも、彼はどこ吹く風。気にも止めず、淡々と手を動かす。

「みんなに見放されたな、お前」

くすっ、と笑う青海。チクショー、その涼しげな面殴りたい。

だいたいコイツ、なんでついてくるんだよ!お前も勉強しろよ!

「青海、教えてやればいいじゃん。どうせ学校じゃ勉強しないんだろ?」

手はとめずにそう言う光太。

「利益が無いことする趣味はないからな」

「ま、そこは同感だけど」

「ついでにこの単細胞の苦しみ姿をもっと見たいし」

「それも同意見」

このSコンビめ!!

「「なんか言った?アメーバ」」

『すみません多細胞様!』





タイムリミットはあと4日。わたしは靴を舐めずに済むだろうか……。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう