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遅くなってスミマセン! 何だかんだで一ヵ月以上かかってしまいました。
ここしばらく、余裕マイナス200(意味不明)だったので…。
さて、七話ですが、前回ご指摘がありました螺旋剣の威力についての話です。またそれにともない、オリジナル宝具の登場です。
第7話 『螺旋剣』
 クア姉から整備や調整に関する細かい説明やらなんやらが一段落した頃。
 俺はドクターから呼び出されて、いつもの部屋へと向かった。

「用と聞いたが?」
「あぁ、待っていたよ」

 部屋に入ると、珍しくドクター一人だった。
 ウーノ姉は席を外しているようだ。
 あるいはドクターの指示か。

「早速なんだがね。前回の戦闘時、どうして手を抜いたのかね?」

 本当に早速だな。

「どうして、とは?」
「君があの時使ったアレは、全力ではなかっただろう? 何故手加減した?」

 さすがはドクター。隠し事はできないな。

「何故とは心外だな。もともとあの時、彼女等を殺す気はなかったんだろう?」
「確かにそうなんだが、君にはその旨、伝えていなかっただろう?」

 はて? と首を傾げるドクター。
 狸だよなぁ。あの状況じゃ、一目瞭然だってのに。

「愚問だな。その気があったなら、彼女たち全員を投入したはずだ。まぁそれは過剰戦力かもしれんが、最悪トーレはメンバーにいれるだろう。それをクアットロに人選を一任した挙句、メンバーは戦闘に不向きのクアットロにセイン、砲撃特化のディエチはともかく、空戦不可能の私と来ては、殺す気がないと言っているようなものだ。違うかね?」

 大仰に肩を竦める。
 するとドクターは、楽しげに肩を震わせた。

「クククッ。いや、素晴らしい洞察眼だよ、シロウ」
「誉められてもあまりうれしくないんだがね。理由を聞かせてもらいたいところだが?」

 まぁどうせあまりいい理由じゃなさそうだけどな。

「実は機動六課には、どうしても手に入れたい素材がいくつかあってね。君が直接戦った、フェイト・T・ハラオウンもその一人なのだよ」
「なるほどな。捕獲が最優先、か」
「あぁ。彼女と、前線メンバーの二人、エリオ・モンディアルとスバル・ナカジマ。この三人はどうあっても手に入れたい」

 パネルを操作して、三人の画像を表示させる。
 それぞれを見やり、再びドクターに視線を向ける。

「その理由を聞いてもいいかね?」

 これまたあまりいい内容じゃないだろうけど、聞かないわけにはいかない。

「勿論。フェイト・T・ハラオウンとエリオ・モンディアルの二人は、聖王の器と同じ記憶転写型クローンなのだよ。私が確立した『プロジェクト・F』の、生きて動いている貴重な成功例なのだ。フェイト・T・ハラオウンに関しては、おそらく、最初の成功例だろうね。スバル・ナカジマは、ナンバーズと同じ、戦闘機人だ。無論、私の手のものではない。誰が、どうやって作り出したのか、詳細は一切不明でね。彼女の姉共々、私は『タイプ・ゼロ』と呼んでいる」

 ちっ。
 思わず普通に舌打ちしそうになるのをどうにか押さえ込み、内心の苛立ちを隠し、努めて冷静に振る舞う。

「……なるほどな。つまりは実験動物として欲しいということか。ならば確かに殺してしまえないな」
「そういうことだよ」

 にやりと微笑む。

「となるとやはり分からんな。なぜ始めに言っておかなかった? もし私が気付いていなければ、他はともかく、フェイト・T・ハラオウンは確実に殺していたぞ?」

 手加減してあれだったんだから、普通に射ってたらどうやったって抉り殺してた。というか、たぶん跡形もなく消滅してたぞ。
 するとドクターはさらに笑みを深めて微笑った。

「殺さずに済むのであれば、君はそちらを選ぶ。違うかね?」

 言い当てられ、内心溜め息を吐く。
 それを顔には出さずに、苦笑しながら肩を竦める。

「ふっ。確かにな」
「まぁ殺さなければならないような状況となれば、君は迷わずやるのだろうがね。もっとも、そこまでの状況にはならないだろうね。フェイト・T・ハラオウンは管理局でもエース級の実力者だ。それを手加減して退けるくらいなのだから、君が殺す気で掛からねばならないような相手は、現在の管理局にはいないだろう」
「そのようだな」

 まぁカラドボルグだしな。やり方次第ではもっと切迫するだろうし、何より俺は空が飛べない。この差は大きいよなぁ。

「今後もそのように頼むよ。なるべく被害を出さないように、可能なかぎり人道的に。それでこそ、管理局に見せつけてやる意義があるというものだ。フフフッ、ハハハハハッ」
「意義、ね」

 高笑いし続けるドクターを見やり、小さく溜め息を吐く。
 要は。
 その力でもって管理局の無能を知らしめ、かつ手加減してやったと。
 その辺りの配慮を取り払えば、もっと成果を期待できるモノなのだと。
 ドクターは、自分のソレが管理局の力より勝っていると、遍く知らしめたいのだ。

「まぁよかろう。どちらにしろ、私に殺す気はない」

 ドクターの思惑は別として、俺自身、できるなら人を傷つけたくない。
 もっともそんなこと、言えた立場じゃないんだけどな。

「話はそれで終わりか?」
「あぁ。それだけだよ」

 頷くのを見て、俺は足早に部屋を後にした。


 部屋に戻ろうと、廊下を歩く。
 それにしても実験動物かよっ。
 だがしかし、俺や姉たちとて、そうやって生み出されたのだから、ドクターをどうこう言う権利なんてない。
 そこでふと、話の発端になったカラドボルグのことを思い出した。
 今後、アレの使用は考えなきゃならない。
 彼女―フェイトは、エースと呼ばれる実力者だ。
 にもかかわらず(まぁ不意打ちではあったが)、加減したカラドボルグすら受けきれないようでは、本来のソレは勿論、宝具系はどれも危険だな。
 ドクターからはなるべく被害を出さないよう厳命されたばかりだし、なにより俺もしたくない。
 魔法みたいな非殺傷設定なんて便利なモン、魔術には存在しない。やるとなれば自分が死ぬか、相手が死ぬかしかない。
 接近戦ならまだ多少手加減のしようもあるけどな。
 遠距離攻撃手段を殆ど持ってない俺としては、カラドボルグはかなり重宝するんだが……。
 使うとすれば、離れたところから放って『壊れた幻想〈ブロークン・ファンタズム〉』の爆発を利用するか、バリアを貫通しても人体にあたらない部分を狙って放つか。いや、掠めるだけでも危険か。それとも、バリアジャケットである程度は平気かな? うーん。微妙だな。まさか試すわけにもいかないし。
 後は、わざと脆く作ってみるか?
 彼女はカートリッジ二発で僅かながら持ちこたえていた。バリアジャケットを見るに、あまり防御力は高くないタイプだろう。まぁそれでも一般的な魔導師よりは強固だろうが。
 よし、試しに作ってみるか。
 出来たらチンク姉に実験に付き合ってもらおう。
 自室に戻り、邪魔が入らないようにロックをかける。
 床にあぐらをかいて体の力を抜き、目を閉じる。


 基本は『螺旋剣』。
 外見はそのまま。中身だけを脆く。
 俺の魔術はイメージの産物。なれば出来るはずだ。
 否。この身は、剣を作る(その)ためだけに存在する!

「幻想、開始〈トレース・オン〉」

 創造の理念を創り変え
 基本となる骨子を変容させ
 構成された材質を劣化させ
 製作に及ぶ技術を退化させ
 成長に至る経験を捻じ曲げ
 蓄積された年月を変質させ
 あらゆる工程を脆く凌駕し
 ――ここに、幻想を歪め剣と成す!

 手に現われた剣を見る。
 うん。イメージどおりだな。
 見た目的には『螺旋剣』そのまま。
 ただし、中身はあるようでないような、ないようであるような。そんな曖昧なモノとなっている。
 これで大体、元の五分の一程度のハズだ。
 よし。とりあえずこれで一度、チンク姉相手に試してみるか。
 手のなかの『螺旋剣』を一度破棄して、チンク姉に連絡を入れた。


 チンク姉に試した具合的には、まだ強すぎた。
 その後何度か試作を重ねて、ようやく完成した。
 形状は元の『螺旋剣』。
 ただ中身だけを劣化させた剣。
 『脆・螺旋剣〈せい・らせんけん〉』
 意外と難しかった。
 強すぎると抉り殺しちまうし、かといってやり過ぎると使い物にならない。
 調整を重ねて、やっと満足の行くものが出来上がった。
 フェイト・T・ハラオウン相手に使ってみないと、最終的な確認は出来ないが、あの時の防御魔法の具合とチンク姉のシェル・コートの強度を照らし合わせて、おそらく彼女の防御魔法(カートリッジロードなし)でも数秒は持つくらいにはなっていると思う。
 撃墜ではなく、足止めを想定しているので、威力はかなり抑えた。
 だが、それで充分。
 これは斃すためのモノじゃないからな。
 さて、そろそろ夕飯の支度をしないとな。
 何にするかなー。
いかがでしたでしょうか?
『脆・螺旋剣』です。威力の方は、カートリッジロードなしのなのはで十秒くらい、フェイトで五秒くらい、カートリッジロードならなのはで2発ロードで、フェイトなら全力でやれば防げる程度と考えています。が、それが適当かどうかよくわかりません。なので、できればその辺りのご意見を聞かせて頂けると助かります。
ぜひよろしくお願いします。
それではまた、次回お会いしましょう。
今度はもっと早く投稿します。


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