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あけましておめでとうございます。

大変遅くなってしまいましたが、11話(裏)です。
タイトルどおり、11話前後の機動六課の話になります。
アニメと変わらない部分は割愛しているので、かなり場面が飛び飛びになってます。少々読みにくいかと思いますがご了承ください。
第11話(裏) 『その日、機動六課』

 ついに始まった公開意見陳述会。
 聖王教会騎士カリム・グラシアの『予言』に記された、地上本部襲撃がされるであろう日。
 
 だがしかし、阻止するために設立されたといっても過言ではない機動六課の尽力もむなしく、『予言』通りに地上本部は襲撃された。

 システムハッキングに始まり、ガジェットと麻痺性のガスによる人的掃討。
 そして崩れ落ちる法の塔。

 内部警備の隊長陣は、デバイスを持ち込めなかったためにほぼ無力。
 フォワード部隊は彼女たちにデバイスを届けるために、接近する敵へと向かったヴィータと分かれて地上本部に入った。
 緊急時の合流場所である地下通路ロータリーホールに直行する。
 その途中、戦闘機人との戦闘があったもののそれを何とか切り抜けたところで、スバルに姉から通信が入った。

『こ…ら…ンガ!』
「ギン姉? どうしたの?」

 通信妨害がきいているため途切れ途切れの通信に、スバルは心配げに声を返す。

『現…戦闘…人…名……闘中!』
「戦闘中って、もしかして私たちと戦った奴らがギンガさんに!?」
「ティア!」

 通信内容から、おそらく戦闘機人と戦闘中だと判断したティアナに、スバルが声を上げる。

「……ッ! 二手に分かれるわよっ! スターズはギンガさんの援護に! ライトニングはこのまま隊長たちと合流して!」
「「「了解ッ」」」


 ライトニングの二人は合流場所である地下通路ロータリーホールにてなのはとフェイト、共にいたシスター・シャッハと合流を果たした。

「二人とも、スバルとティアナは!?」
「そ、それがっ! ここに来る途中でギンガさんから通信があって!」
「戦闘機人と戦闘中だって。それで、私たち、二手に分かれたんです!」

 いるはずの二人がいないことを訝しんだフェイトの言葉に、エリオとキャロは肩で息をしながら応えた。

「ギンガがっ!?」
「僕たちは隊長たちに知らせるのと、デバイスを届けに!」
「スバルさんとティアさんは、ギンガさんの方へ向かいました!」

 息を整えながら、二人は預かっていたデバイスを差し出した。

「ありがとう。それで? ギンガたちのほうから何か連絡は?」
「それが、通信妨害がかなりきつくて……。ギンガさんからの通信もかろうじて意味が分かるくらいだったので……」

 心配そうなキャロの言葉に、なのはとフェイトは互いに顔を見合わせた。

「ロングアーチ。こちらライトニング01」
『ザザッ……こちら、ロングアーチ…ザーッ』

 硬い表情でフェイトが六課へと連絡を入れるが、帰ってきたグリフィスからの通信が、雑音交じりとなっている事にさらに顔を強張らせた。

「グリフィス? どうしたの? 通信が……」
『ザーッ、こちらは今、ザザッ、ガジェットとアンノウンの襲撃を受けていて、ザザッ、持ちこたえていますが、ザッ、もぅ……ザーッ』
「っ!」

 通信の内容に、その場にいた者たちは揃って目を見開いた。
 なのはとフェイトは互いに顔を見合わせて頷きあう。

「分散しよう。私はこのままスバルたちに合流する」
「ライトニングは六課へ戻る」
「「はいっ!」」

 二人が返事をしたのを確認し、なのはがシャッハに声をかける。

「シスター・シャッハ。上の皆をよろしくお願いします」
「この身にかけて」

 差し出されたはやてとシグナムのデバイスを受け取りながら、シャッハは力強く頷いた。
 五人がそれぞれの方向へと走り出す。



 対するスターズの二人は、ギンガと無事合流を果たしていた。
 しかし戦闘機人との戦闘で、ギンガは命に別状はないものの、絶対安静が必要の重症。

「スバル! ティア! ギンガ!」

 戦闘機人が逃走して間もなく、なのはが現場に到着した。

「なのはさんっ!」
「なのはさんっ! ギンガさんがっ!」

 そこでなのはが見たのは、戦闘跡が残る現場と、血を流し倒れ伏すギンガ。そしてその横に膝を着いているスバルとティアナの姿だった。


 六課襲撃の知らせを受けて急ぐライトニングだったが、フェイトは戦闘機人に阻まれ、エリオとキャロが到着したときには既に六課隊舎は炎上。
 ヴィヴィオは連れ去られてしまった。




 一夜明けて。
 朝も早くから、廃墟と化した機動六課には多くの局員たちによる調査が行われていた。
 そんなかにはティアナの姿もあった。
 現在、この場にいるのはティアナのみ。
 スバルは重体のギンガに付き添い、エリオは怪我の治療に、キャロも海に落とされ体力が低下している状態で竜騎召喚を使った疲労で、それぞれ病院に行っている。
 ボードから顔を上げると、嫌でも崩壊した六課の隊舎が目に入る。
 見るも無残なその姿に溜息をついたティアナに、背後からシグナムが声をかけた。

「酷いことになってしまったな」

 声に振り向き、躊躇いがちに尋ねる。

「シグナム副隊長。病院の方は?」
「重症だった隊員たちも峠は越えたそうだ」
「そうですか。よかった」

 ほっと息をつく。
 今回の襲撃で、前線メンバーよりもむしろ六課に残っていた内勤スタッフや交代部隊の方が被害が大きかった。
 特に酷かったのは、六課で迎撃当たっていたヴァイスとザフィーラだ。
 一時は危なかったものの、どうやら峠は越えたらしい。
 それ以外でも、シャーリーやルキノ、アルト、シャマル、そしてギンガが現在入院中だ。

「ギンガも、しばらくは絶対安静だな。おそらく、当分戦線復帰は難しいだろう」
「ギンガさんの場合、ブリッツキャリバーも全損状態ですからね」
「あぁ。バリアジャケットをリアクティブパージしたからな。まぁそのおかげで助かったようなものだが、自己修復機能があるとはいえ修理には時間が掛かるだろう」

 シロウから最後の一撃を受ける直前、ブリッツキャリバーはバリアジャケットをパージすることで攻撃を全て受け止め、そのため全損状態となっていた。
 しかし、その衝撃を受け止めきれず、ギンガも怪我を負い、未だ意識不明の状態だ。

「こちらは私が引き継ぐ。お前も病院へ顔を出してくるといい」

 ティアナの手からボードを奪い取る。

「で、ですがっ」

 慌てるティアナだが、シグナムはそちらには目もくれず、ボードに目を走らせる。

「行ってやれ」

 常になく柔らかい口調のシグナムに、ティアナは返事を返して頭を下げた。

「はいっ」

 小走りにその場を離れながら、なのはに通信をいれ病院にいく旨を伝えた。



 病院へ向かったティアナは、まず意識が戻らないギンガの病室へ向かった。
 しかし面会謝絶の札が掛かっていて中には入れず溜息をついたところへ、都合よくスバルが部屋から出てきた。

「ティア」

 相棒を目にして小さく微笑んだ。

「スバル。ギンガさんの様子は?」

 いつになく暗い様子のスバルと、その横にある病室の扉を交互に見遣る。

「まだ意識は戻らないけど、とりあえずは大丈夫だって」
「そう」

 ギンガ部屋の近くにあった椅子に座る。

「ちびっこたちは?」
「エリオの病室。でもエリオは腕吊ってるくらいで、すぐにでも退院できるみたい。ちょっと前にここに様子を見に来てくれたけど、この状態だし、部屋に戻ったよ」

 ちらりと、面会謝絶の札の掛かった部屋を見る。

「そう。二人には、話した?」

 言いにくそうに、あえて主語は語らない。
 スバルの方も、わざわざ何を聞くまでもなく、分かっていた。

「とりあえず生まれとか、その辺は……」
「二人に謝らないといけないわね」

 スバルとギンガは戦闘機人だ。
 ティアナは訓練学校からの相棒がそうであると、随分前に聞かされていた。
 聞かされた当時は、だからどうということもなかったが、今回の事件には、戦闘機人が深く関わっている。
 入隊前にそのことについて隊長たちから話を聞いたティアナは、スバルに、緘口令を敷いた。
 仲間とはいえ、相手はまだ小さな子供だ。
 敵である戦闘機人と同じだと聞かされて、もしぎくしゃくでもしたりしたら、それこそ命に関わる。
 だから、ある程度時間が経つまで。あるいは、話さなければならないときが来るまで、秘密にしておけと。
 とはいえ、仲間に隠し事をしていた事実に変わりはない。
 そして、仲間だからこそ。隠し事をしていた事実は重かった。
 
「今後の話もしなきゃいけないし、エリオの病室に行くわよ」

 いつまでも先延ばしにしておくわけにも行かない。
 ティアナはぎゅっと拳を握り締め、スバルが付いてくるのも待たずに歩き出した。


 一般病棟のエリオの部屋の前。
 一つ深呼吸をしてから、ティアナはドアを開けた。

「ティアさん」
「スバルさんも」

 入ってきた二人に、ちびっこたちがそれぞれ声をかける。
 キャロはともかく、エリオはスバルの言葉どおり、右腕を吊っているが、それ以外に大きな外傷はなさそうだった。

「スバルさん。ギンガさんについてなくていいんですか?」

 心配そうにキャロが声をかける。

「うん。意識が戻るまでまだ時間が掛かるらしいし、今後の話をするって、ティアが」

 答えながら、二つあるベッドのうち、エリオとキャロが腰を下ろしていない奥のベッドに腰掛けた。

「まずは二人とも。スバルとギンガさんの体のこと、黙っていて悪かったわね。私が止めてたのよ」
「い、いえ」

 謝るティアナに、子供二人は恐縮して首を横に振った。

「入隊前になのはさんたちから、戦闘機人が関係してくるだろうって聞かされてたの。あんたたちは初対面だし、敵と同じだって聞かされたらぎくしゃくしちゃうかもしれない。そうなったら命に関わるかもしれないから、しばらく黙っときなさいって」 

 エリオにもキャロにも、ティアナの言いたいことは良く分かった。
 自分たちとて同じようなものだったから。

「……僕も、似たようなものですから」

 エリオは俯きながら呟いた。

「僕は、ヴィヴィオと同じなんです」

 そして顔を上げると、躊躇いがちに、けれどもはっきりと言った。

「ヴィヴィオと? それって……」

「記憶転写型クローンなんです。事故で死んだ本当の『エリオ・モンディアル』の。でもすぐに発覚して、管理局の保護施設に入れられました」

 ティアナとスバルははっとした。
 そういえば、前にエリオは保護施設育ちだと聞いたことがあったのだ。
 まさかそんな事情があるとは思いもしなかったが。

「ずっと、怖かったんです。話して、それで否定されるのが……」

 エリオは再び俯いた。

「あたしも一緒だよ」

 スバルの言葉に、エリオがはっとして顔を上げた。

「ずっと怖かった。人と違うこと、普通と違うこと。ティアは受け入れてくれた。隊長たちも。でも、エリオやキャロはどうだろうって。ごめんね、黙ってて」

 小さく微笑んで、そして頭を下げた。

「そ、そんなっ! 僕も一緒です! 謝らないでください!」

 そんなスバルにエリオが慌てて否定する。
 するとスバルは頭を上げて、それから笑った。

「それじゃ、お相子だね」

 エリオが唖然とスバルを見つめる。

「ね?」
「はいっ」

 同意を求めるようにウインクするスバルに、エリオは目を見開いて、それから嬉しそうに同意した。

「それで、あの、今後のことって?」

 笑いあうを二人を見遣りながら、キャロが言いにくそうに声を上げた。
 その言葉に、二人がはっと顔を見合わせ、そしてばつが悪そうにティアナを見遣った。
 それらの様子を見ていたティアナは、呆れたように溜息をついた。

「私たちはこれから、レリック捜査からスカリエッティ一味の追跡に任務が変更になるそうよ」
「え? でも、六課は……」

 エリオが声を上げる。
 確かに今の六課隊舎の状態では、任務の遂行などままならない。
 ものの見事に瓦礫の山と化してしまっているのだ。

「そのあたりは私も良くは分からないけど、八神部隊長がなんとかするって」
「なんとかって、なんとかなるのかな」

 スバルはまだ直接隊舎を見ていないが、映像では確認している。
 あれは、誰がどう見たところで、なんとかできる状態を軽く越えている。

「ごめんなさい。私たちがもっと早く隊舎についてたら……」
「何言ってるのよ! 確かに隊舎はぼろぼろだけど、二人がいなかったら、もっと酷いことになってたかもしれないのよ?」

 しゅんと項垂れるちびっ子二人に、ティアナは声を荒げた。

「で、でも……」

 なおも言い募る二人に、ティアナは溜息を付く。

「それを言ったら、私たちだって、ギンガさんの負傷に動転して駆けつけられなかった」
「でもそれはっ!」
「そうね。言っても仕方がないわ。だからその分、これから頑張るのよ。ヴィヴィオは連れ去られたまんまなんだから」

 ティアナの言葉に、三人がはっと顔を上げる。

「守れなくて悔しかったのは、私たちだけじゃない。きっと隊長たちや他のスタッフも、皆同じよ」

 三人を順に見遣り、ティアナは拳を握り締める。

「だから、今度は絶対に失敗したりしない。必ず守るし、奪われたものは奪い返す。助け出す。全部よ」
「うんっ!」
「「はいっ!」」

 三人は、そろって力強く頷いた。
 
エリオの事情って皆知ってるんですかね? よく分からなかったので、カミングアウトさせました。この話では、ここで初めて聞いたということで。
ついでに言えば、入隊前になのはたちから戦闘機人が関わってくると聞いていた云々は完全に捏造ですのであしからず。
ちなみにギンガですが、『ランブルデトネイター』と『エリアルショット』を『ディフェンサー』で防御したものの、数が多すぎて防御を突破されダメージを受け、さらにそのあと『脆・螺旋剣』はほぼ不意打ち状態、直前で察知したブリッツキャリバーのリアクティブパージで防ぎますが、完全には衝撃を受け止めきれずにギンガもさらに負傷、ブリッツキャリバーはアニメのマッハキャリバー同様全損状態となっています。

さて次話ですが、地上本部襲撃後の事後処理やらヴィヴィオやらの話になると思います。
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