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ルームメイト 作者:帆摘
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7話

またしても強引に引っ張られながら、今度は同じショッピングモールの5階にある、ブランド物に疎い自分でも名前を聞いた事のある店へと入ってく。私の顔からは既に血の毛が引いていた。ここの店の人とも知り合いなのか、スタイリストさんらしきお姉さんにはなしかけると、幾つかの洋服を持って来られ、着せ替え人形のように有無を言わさず着替えさせられた。
「可愛い!よく似合うわ!」と店のお姉さんが声を上げる。御丁寧に靴まで履き替えさせられた。確かに鏡の前に映っている自分は普段とは到底かけ離れた別人だ。店員さんが私が今まで来ていた服を綺麗に手提げ袋に入れてくれていた。
「じゃ、これそのまま貰って行くから」との声が後ろから聞こえ、またしても私は彼に手を引っ張られ歩き出した。
「ちょ、ちょっと忍さん、この服!」
「ん?大丈夫、あそこ馴染みの店だから。」
「そうじゃなくて!なんでこういうことしてくれるんですか?」とりあえず一番の疑問を口に出す。すると奴はぴたっと足を止めじっと私を凝視する。
やはり見れば見る程綺麗な顔なので、見つめられるとちょっとドキッとしてしまう。
「そうだなあ・・・趣味?」
「は?」今この人趣味って言った?人を連れ回して着替えさせるのが趣味ってことか?
「趣味って・・・趣味でこんな高いものいただく訳にはいきません。」またむっとしながら言い返すと彼はクスリと笑って言った。
「じゃあ、入学祝いってことで。」それ以上の追求を許さず、結局私は彼に振り回されっぱなしだった。結局当初のプラン、食材の買い物を終えて帰って来たのは夕方過ぎだった。

思いもしない行動に精神的に疲れていたが、私は手早く買って来たものを冷蔵庫にいれると一度部屋に戻り、今まで来ていたブランドものの洋服を脱いでしまう。今から夕飯の支度をするのに、こんな高そうな洋服を着たままでは出来ない。
部屋着に着替えるとダイニングキッチンに戻り夕飯の支度を始めた。家に帰ってすぐ、携帯にかかって来た電話を取り部屋に籠っていた忍さんがでてきた。

「あれ?遥ちゃん着替えちゃったの?」
「そりゃあ・・あんな洋服着たままで料理はできませんから。」少しつまらなさそうに頬を膨らませた忍さんを横目で見つつ、私はテーブルの上に料理を並べて行く。
「すっげ、これみんな遥ちゃんが作ったの?」
「大したもんじゃないですけど・・・」今日は春野菜を中心に和風メニューだ。あ、でも彼はずっとドイツにいたんだっけ?日本語が上手過ぎてそんな事はすっかり頭から抜け落ちていたが、大丈夫だろうか。
「電話してたようなので、何も聞かずに作っちゃいましたがこれで良かったですか?」
彼は満足そうに頷く。二人対面に腰を下ろすと、いただきますと言って食べ始めた。
目の前でおいしそうにご飯を食べる姿を見ているとなんだか不思議な気分だった。3日前には全然想像もしていなかった展開だ。

「遥ちゃん?」考え事をしていた私は彼の呼ぶ声にはっと顔を上げる。極上のスマイルで私の顔をのぞき込んでいた彼と目が合う。
「あ、すみません、何ですか?」
「遥ちゃんって、考え事とかしていると周りが見えなくなるタイプなんだね。」
確かに・・・特に絵を描いているときなどは回りの雑音は一切耳に入って来ない。よく言えば一点集中型だが、よくそれで、お母さんにしかられていた。本当に人の呼ぶ声なども耳に入らなくなるからだ。
私は少し顔を赤くして答えた。「よく言われます・・・。」
そんな私の様子を面白そうに眺めて彼は言った。「明日から学校始まったらお互いのスケジュールとかも変わってくるだろうし、色々と連絡つける事もあるだろうから、遥ちゃんの携帯番号教えてくれる?」
そう言われてみればそうだ。同じ大学とはいえ学部が違えばこれからのスケジュールはまったく違うものになるに違いない。私は頷いて彼に自分の番号とアドレスを教えた。

「じゃ、俺から電話するから。」そういうと彼は食べ終わった食器の片付けをしだした。
「あの!いいですよ、私しますから。」
「いや、作ってもらってんだから片付けぐらいするよ。」そう言って彼は洗い物をやってくれた。その後、またかかってきた電話を受けて彼は、また出て行った。
「遅くなるから戸締まりはちゃんとしとくんだよ。」とのメッセージ付き、というか私は子供か?!シャワーを浴びて昼間着ていた洋服からまた着替えて出て行った彼を見送りながら、ふと彼女の所にでも行ったのだろうかと考えた。
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