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ルームメイト 作者:帆摘
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4話

中川遥・・最初の印象は面白い子だと思った。一足先に叔母の所有しているマンションについたのが3日前。スーツケース二個分の荷物と共に、幾度か訪れた事のある叔母のマンションの一室へと辿り着いた。事前にここで暮らす事になるという女の子の話は聞いていた。ベットルームは二つ、そのうち、アトリエに続く部屋を彼女にあてがって欲しいと・・・。あの叔母が身内以外の者に部屋を貸す事には少し驚いたが、どうやらそれは知り合いの娘で、まだその娘が高校1年の頃に描いた絵を見た叔母が随分と気にかけていたらしい。
性格は変わっているが、その業界では有名な新鋭女流画家の彼女の目に留まったのであれば、そこそこに才能があるのだろう。とはいえ、うるさく付きまとうタイプの女であれば敬遠していたが、そう言った心配はなさそうだった。

日本へ帰ってきたのは、親父たっての希望で進学した大学へ通う為だ。どうやら彼女とは同じ大学らしいが、自分の専門は建築なので、校内で合う事はあまり無いだろう。もうひとつは、高校の時に幾度か日本へ遊びに来ていた時、たまたまモデルにスカウトされ、それから毎年日本へ帰る度に、臨時のモデルをしていたが、今回日本に帰国?するにあたり、正規モデルとしての契約を交わした。日本で売れているメンズの雑誌を初め、幾つかの雑誌に顔がでていた為か、帰国してそうそう、遊ぶ女には困らなかった。

それにしても、頬にキスをした時の驚いた顔や近づいて見た時の眼鏡の奥の形の良いアーモンドの瞳と縁取られた長い睫毛を思い出す。手を出さないとは言ったが、なかなかに整った顔立ちだった。あれで眼鏡をとりもう少しましな服装と髪型をしていたならきっと男がほっておかないだろう。

なんとはなしに、これから楽しくなりそうだと笑みをこぼすと隣で寝ていた女が身じろぎして抱きついてくる。
「どうしたの?忍・・何かご機嫌よさそうね?」じとっと斜め目線で誘うように女が首に手を廻して来た。軽く汗ばんだ肌にキスをひとつ落として俺は「何でもないよ。」と言って笑う。
納得していないのか、もっと色々と聞きたそうな女の口を己のそれで塞ぐと女は嬉しそうにそれに答えた。
暫くたってシャワーを浴びると既に服を着替えた女がベットに座って馴れ馴れしく話しかけてくる。
「ねえ、今度はいつ合ってくれるの?」
「さあ・・・明日から大学が始まるしな、またこっちから連絡するよ。」そう言って俺はそれ以上の追求を遮る。この女は帰国早々、夜に出かけたクラブで声をかけて来た幾人の女達の中の一人だった。俺が彼女を選んで連れて出た時の彼女の勝ち誇った様な顔が馬鹿馬鹿しくて素敵だった。簡単に寝る女はドイツにも沢山いたが、やはりアジア系の女の肌は欧米のそれよりもきめ細やかで美しい。体型は・・・まあ、比べるのは止めておこう。

また連絡をすると約束してホテルをでた後、俺はゆっくりと歩き始めた。
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結局、彼の言うまま、この家にそのまま居座ることになってしまった。あれからすぐに私の荷物が届き、荷物を全て運び入れてもらった後、実家へと連絡を入れた。まさか、同居人が男だとは言いだせなくて、適当にごまかして電話を切った。大した量はなかったが、段ボールを開けて当座の荷物を取り出し片付けて行く。そして昨日の夕飯は出前のピザを頼んだ。

大家である、彼の叔母が必要最低限の家具などはそろえてくれていたが、さすがに冷蔵庫の中はほとんど空っぽだった。彼はこの家について2日だと言ったが、食事はずっと外で済ましていたらしい。とりあえず、台所とリビングは共有なので、明日一緒に買い物に行く事になった。
「遥ちゃん、料理できるの?」彼がピザを食べながら興味新々と言った様子で聞いてくる。
ピザを食べる姿も様になるなんて、何故か少し悔しい感じもするのだが、私は頷く。
「母が・・・仕事が忙しい時は私が代わりに作っていたので、料理はできます。」
「へえ、そうなんだ。楽しみだな〜。」
「・・・・。」つまり、何ですか?もしかして、彼の分も作れと言う意味ですか?
おそるおそる聞き返してみると、心地よいアルトが返って来た。
「ん〜、簡単な物なら自分で作れない事もないけど、遥ちゃんが作ってくれるんなら、それにこした事はないし?あ、食事代は払うからさ。」

「はあ・・・。」しぶしぶと私は頷いた。まあ、どうせ、自炊するつもりだったし、一人分も二人分もそんなには変わらない。それに、正直食事代を出してくれるというのは助かる。
親からの援助はなるべく最小限に済ませたいと思っていたからだ。それに、絵を描くのは結構お金がかかるのだ。これからバイトも探して行かないと・・。
最初の夜はそうこうしている間に過ぎ去り、次の日の朝、意外に彼が早く起きて出て行ったのを見送った後、部屋の片付けを始めた。夕方には返って来て、買い物に行くのだという。
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