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ルームメイト 作者:帆摘
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23話

何故こんな状態に陥っているのだろうか・・今私は、右側を忍さん、左側を先輩に挟まれ、両手を繋がれたまま街道を歩いている。言わず物がなこの二人に挟まれている私は大いに回りの視線の注目となっている。
しかし・・だ!私はもう子供ではないというのに、何故か二人とも握っている私の手を離そうとしない。やはりあれがまずかったのだ・・・。
遡る事約1時間前、まず支度をしてでて来た私を忍さんが一瞥して言った。
「今日は俺の買ってあげた服を着てよ。」
「え?これじゃ駄目ですか?」今日はお出かけ用に一応いつもよりまともな洋服を選んだつもりだったのだが・・。
「確かにいつもよりマシ・・いや、なんでもない。ともかくせっかくなんだし、俺のあげた洋服着ていってよ。」
「はあ・・・。でもあの洋服だと例の靴も一緒ですよね〜。私、ヒールって慣れてないから疲れちゃうんですよ。」
「じゃあ、靴だけヒール無しにしたら?黒っぽいのもってただろ?」
って、よく見てんな・・・おい。結局着替えさせられて、待ち合わせの駅まで行ったのは良いが、人が多くて迷子になったら探すのが大変だからといって、またまた手を繋いだまま連れて行かれた。待ち合わせ場所で待っていた先輩もものすごく機嫌悪いし、なんか真樹ちゃんの裏切り者とか何とかぶつぶつ呟いていたが、その後、今の状況にあると言う事だ。
はっきり言ってやたらと目立つし、歩きにくいし、暑苦しいし・・と思っているのだが、どうにかならないだろうか。

そしてやって来たのはルーブル美術展だった。中世の有名な画家達の作品が一同に集まるこの美術展には機体と思っていたのだが、一般でもやたらと人気が高く、チケットの値段は学生料金で1500円程度とはいえ、普段切り詰めて生活している自分には少し高く感じたのは事実だった。
「結構混んでますね。」
「遥ちゃんが一番興味を持ってる絵画はどれなの?」
「う〜ん、難しいですね。フェルメールはもちろん、フランス・ハルスにも興味ありますしルーベンスの作品も来てるんですよね〜?」
「とりあえず端から見て行けば?」私の後ろに立っていた忍さんが提案する。
「まあ、それが妥当だろうな。」
ということで、私たちは時計回りに絵画を見て行く事になった。私は17世紀頃に描かれた巨匠達の作品の細部を少しでも見逃すまいと集中する。こうなると周りの雑音は一切耳に入って来ない。そう、先輩達の会話ですら全て・・・

「すごい集中の仕方だな。いつもあんな感じなのか?」
「大抵アトリエに籠ってる時はあんなだな。呼んでも気がつかない事が多い。」
「ふうん。つーかさ、お前。なんで俺と遥ちゃんのデート邪魔してくれちゃってる訳?」
「まあ、色々と・・面倒見るように頼まれているからな。」
「か〜!白々しい奴!大体なんだよ、見せつけるように手なんか繋いできやがってよ。」
「羨ましいか?」
「おまっ、確信犯か?いよいよもって嫌な奴だな。」
「別に・・・。先輩こそ真樹さんにチケット掴ませたり、裏でこそこそやってたんじゃないんですか?」
「まったく、真樹ちゃん・・・俺が必死こいてチケット手に入れたってのに・・こんな奴にリークするなんて・・・。」
「彼女は中立だと言ってましたからね。」
「で、お前いつまで俺たちについてくるつもりなんだ?この後はレストランにいくんだからお前帰れよな。」
「冗談でしょ?それにしても、先輩は遥の事本気なんですか?俺がいうのも何ですけど、先輩の噂は色々と聞いてますからねぇ・・。」
「マジでお前が言うなって感じだけどな。お前も最近女の整理に忙しいんじゃないのか?」
「・・・。」忍の脳裏に遥の兄の言葉が甦る。今度あうまでには・・・。
「ふん、まあ良いけどな。」

暫くたつと、感動のため息?をつきつつ、遥が戻って来た。
「すごい!もう感動ものですね。本当に1日中居たいぐらいです。というか、先輩達はもう見回られたんですか?」
「え?あ、ああ。」
「そうなんですか?早いですね。じゃあ忍さんも?」
「ああ、遥はもういいのか?」
「はい。十分に堪能させてもらいました。先輩、本当にありがとうございます!」
遥に極上の笑顔を向けられ、沢田はにやっと勝ち誇ったように笑う。
「全然オッケーだよ。それよりも遥ちゃん、お腹空かない?この先にあるレストランのランチメニューすごく美味いんだよ。デザートまでついてるし。」
「へえ、そうなんですか。確かに歩き回ってお腹空いたかも・・。忍さんも行きますか?」
「もちろん」先輩が舌打ちしたのが聞こえたがまったく気にせずに遥に微笑みかける。

少し先輩には悪いかなとは思ったが、二人きりになると、デート・・というものを体験した事のない自分は緊張してしまう。半分は冗談だと分かっているが、つい自意識過剰?に反応してしまう気がして落ち着かないのだ。その点、忍さんは本命さんがいるらしいし、今回何故一緒について来てくれたのかは分からないが、ルームメイトだけあって、気心も知れている。保護者、もといお兄ちゃんについて来てもらってるみたいで安心するのだ。
これで、真樹ちゃんも来てくれてたら楽しかったのにな。と思いつつ、今度は注目される手つなぎを断固拒否して二人の後をついていく。
やはりこの二人は目立つのだ。あからさまに振り返って行く人も居るぐらい。少し居心地の悪さを感じながら私たちはレストランに入って行った。
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