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ルームメイト 作者:帆摘
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19話

「こんにちは、お邪魔しています。」
「どうもー、お邪魔してます。」と兄がリビングに入った途端、二人の声が響いた。
「・・・」おずおずとリビングに入って兄の横に並ぶと私は説明する。
「えっと、こちらが、沢田先輩と、秋本さんです。二人とも同じ大学の友人・・です。」
兄は一応営業スマイルを浮かべたまま、二人を凝視している。怖い・・・こういう時の兄は猛烈に何かを考えている事が多い。
「・・・そうですか。いつも遥がお世話になっています。」
「あ、あのっ!立ち話も何ですからどうぞおすわりになって下さい。」真樹ちゃんがフォローを入れると兄が、真樹ちゃんに持っていた紙袋を手渡す。どうやらこちらにくる前に何か買って来たらしい。「つまらないものですが・・」などとやり取りしている。

「あの、皆さん、コーヒーと紅茶、どちらが良いですか?」
「・・今日は出先で何杯もコーヒーを飲んだので紅茶にしてもらえますか?」お兄ちゃんがここぞとばかりに営業スマイルを振りまく。少し真樹ちゃんの頬が赤く染まった。流石だ・・。
「じゃ、俺も紅茶で。」と先輩が続く。
「忍さん、手伝いますよ。」そういって、本物の忍さんが立ち上がって真樹ちゃんと一緒にダイニングキッチンへと向かう。なんかお似合いだ。

残された3人の間にはなんとはなしに気まずい雰囲気が漂っている。何か喋らないと・・と思っていると、じっと兄を見ていた先輩がぽそっと呟いた。
「遥ちゃんと、お兄さんってあんまり似てないんですね。」初めて兄と私を見た人には大抵同じ事を言われる。お兄さんは格好いいのに妹さんは・・といった感じなのだろう。先輩はそう言う意味で言ったのではないと思うが興味深そうに私たちを見ている。
「遥は母親似で俺は父親似だからな・・・。」
「そんな事無いよ。私はどちらかというとあまり両親に似てなくてお兄ちゃんこそ、お母さんに良く似てるって、昔から言われてて・・・。」
「??お前は、母さん似だと思うが・・、まあいい。それより遥、お前俺に何か隠している事があるだろう?」
いきなりの爆弾発言に私は固まる。私は引きつった笑顔を浮かべつつ答える。
「え・・なんで?」

そのとき真樹ちゃんと忍さんが二人で紅茶と私が昨日焼いておいたシフォンケーキを持って来た。先ほどの兄の台詞を聞いていたのだろう、二人とも微妙に顔が引きつっている。
爆弾発言をした兄はと言えば、ホイップクリームの添えられたシフォンケーキを一口食べると、にっと笑って「遥のシフォンケーキは久しぶりだな・・」と呟いた。
話題をそらすように、真樹ちゃんがお兄ちゃんに質問する。
「あの、、お兄さんは一体どんなお仕事をされているんですか?」
「●●商事で営業をしています。」
「うわあ、それって有名な会社ですよね。お兄さんエリートなんですね。」
行った事はないが、話に聞く合コンとはこういうものかと言う雰囲気で話が進む。意外に先輩と忍さんは大人しく時々会話に参加しつつ、お茶を飲んでいる。

私はといえば、先ほどの兄の発言にまだドキドキしていた。何故か昔から兄の前では嘘がつけず、、というかすべて見破られて来た過去を持つ私である。今回は真樹ちゃんたちの協力もあってうまくごまかしたつもりだったのだが、何かばれる様なことをしでかしただろうかと頭の中で猛烈に考えていた。
「遥・・はるか?」考えすぎて気もそぞろになっていた所、兄の叱りつける様な声にはっとして顔を上げる。呆れたような兄の顔と面白そうにこちらを伺う先輩、そして心配そうな真樹ちゃんと忍さんの顔が見える。
ええっと・・・何の話をしていたんだろう・・・・汗)
「お前は昔から・・・何か隠しごとがあるときや嘘をついている時は気がそぞろになる癖がある。お前はすぐに顔にでるからな。今回はさしずめ同居人の事か?」そういって兄は並んで座る真樹ちゃんと忍さんの方を見てにやっと笑った。

「な、なんでわかったの?」とつい口からぽろっと出てしまう。真樹ちゃんがあちゃーといった様子で頭を抱えた。
「何年お前の兄をやってきたと思っている?まあ、母さんからお前の様子を聞いて、何か隠しているだろうとは思ってたが・・お前の考えそうな事はすぐ分かる。それにぽろぽろとボロを出していたしな。まあ確信をもったのはこの家にはいってからだったが・・・。」
そういって兄はじっと忍さんを見つめて言った。「君が遥のルームメイトだね、忍君?」
忍さんは妖艶な微笑を浮かべたまま、答える。
「本当に・・遥ちゃんじゃないですけど、何故わかったんですか?」

兄はやれやれといった感じで一口紅茶を口に含むと話しだした。
「先ほども言った通り、遥と母が電話で話をしていた時に丁度実家にいてね、遥の話す様子に少し違和感を感じたのが初めだった。うちの母は、仕事しながら電話を取るからよく、スピーカーフォンにする事が多くてよく聞こえるんだよ。
それから、今日、遥が迎えに来た時に持って来てくれた傘。ちゃんとした男物の傘だったが、遥が買ったにしてはあり得ない値段だ。あれは●●のブランド物だっただろう?わざわざ男物の、それも貧乏性の遥が買える品物ではない。
マンションの入り口で、靴を見たとき、客人の数にしては男物の靴が多かったし・・・大体最初にお前のルームメイトはクゥオーターだと聞いていただろう?この中でいかにもそれらしいのは彼だからな。彼女は、美人だがやはり日本人だろう?」

兄の説明を聞いて私は大きなため息をついた。確かにそう言われてみれば、すべて兄の言う通りだ。きっとこれだけでなく他にも色々とボロを出していたんだろう。私はおそるおそる兄の次の言葉を待った。
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