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ルームメイト 作者:帆摘
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17/41

17話

簡単な自己紹介が済むと、部屋を案内してもらい、色々な情報を頭に詰め込んで行く。
「で、こっちが俺の部屋・・。まあこれに関してはどう見ても男の部屋だし、見せないでいてくれるのが一番助かるけどな。」
「まあ、普通初対面で部屋に勝手に入るってことは無いと思うから大丈夫じゃないですか?」
「うん、お兄ちゃん、無神経じゃないからきっと大丈夫!」
「へえ、でもすごく綺麗に片付いてますね。なんか吃驚・・無駄なものが無いっていうか。」
「ああ、あまり荷物持って来なかったから。必要なものはこちらで買えばいいと思ってたし。」
「そういえば、忍さん・・はドイツからの留学生なんですよね?」
「よく知ってるね。」
「まあ、有名人ですから・・・。」
「そう?」
私はひょうひょうとした雰囲気の男を観察しつつ会話を進める。
「で、遥のお兄さんがくる日は忍さんはどうするんですか?」
「あー、それなんだけどさ、俺遥ちゃんのお兄さんってちょっとあってみたいんだよね〜。」
「ええ?」遥が声を上げる。
「俺、兄弟とか居ないしさ。どんな感じなのかなーとか思って。」もちろんそれが理由ではない。自分でも不思議だが、遥と一緒に暮らすようになってから、彼女に関する些細な事は、なんでも気になるようになった。写真でしか見た事の無い遥の兄は、モデル仲間やその他のいわゆる見目の良い男達を見慣れている自分が見ても、なかなか、格好の良い男だった。遥とはあまり似ていない感じだが、一度あってみたいと思ったのは本音だ。

遥が目を白黒させているとなりで、私は男の顔をじっと見つめた。「・・見たいっていってもこそこそ見る訳ではないんでしょう?一体どうするつもりなんですか?」
「う〜ん、そうなんだよね。友達・・が遊びに来たとか、たまたま近くであったので遊びに来たとか?」
「・・微妙ですね。その辺の事は後で話しましょう。それにしても、遥、実際に何日の何時にお兄さんがくるのかわからなかったら、色々困ると思うんだけど、その日程はちゃんと調べられないの?」
「うん。そうだね、お母さんは来週としか言わなかったし。もう一度電話して確認してみるよ。お兄ちゃんにかけた方が早いかもしれないけど。」

それからしばらく会話をした後、遥は夕飯を作るためにキッチンへ行った。私も手伝おうかと思ったが、後で、お皿やお箸を出すときに手伝って欲しいと言われ、リビングの方でルームメイトと顔を突き合わせ座っている。今日一日観察していて、私の中で確信に近いものを得た気がする。私は目前の男に小声で話しかけた。
「遥の、頬の傷、あれどうしたんですか?」半分釜をかけて問いかける。知っているのだろうと視線で問いかける。
すると思った通り、男は一瞬目を見開き、視線を遥に向けた後、ゆっくりと私を見て口を開いた。「真樹・・さんは感が良さそうだね。たぶん君が考えている通りだと思う。」
「遥は良い子だから何も言わないけど、あんな傷、普通には出来ないですから。まだうっすら後が残っているけど、気をつけて下さいね?今後、あの子を傷つけたら私が許しませんから。」

神妙な顔つきで、忍が頷く。「分かってる。もう二度と遥を傷つけさせない・・・。」そう言って手を握りしめた。
やはりこの人は遥の事が好きなのだろうか?遥に接する様子を見ていると、巷で聞いている噂とは違った姿を垣間見る事がある。だが、なんとなくそれはこの男自身も気がついていないような感じがした。まだ、物事を見極めるには時間がかかりそうだ。

「真樹ちゃん!このお皿、そっちに置いてくれる?!」遥の声が響く。
私はうな垂れている彼を一瞥した後、手伝いをする為に立ち上がって行った。イタリアンを中心とした晩ご飯に舌鼓を打った後、また細かい事は後に連絡し合う事になって、私は疑似新婚家庭を後にした。

真樹ちゃんがでていった後、忍さんがぽつりとつぶやいた。
「頬の傷、まだ少し残ってるんだな・・・。」
「ああ、こんなのどうってことないですよ。そのうち消えますから。」まだ気にしていたのかと自分よりも遥かに背の高いルームメイトを見上げる。
「償いができるとは思ってないけど、何か欲しいものとか、してもらいたい事とかあればなんでもいってほしい。」
「大丈夫です。最初にいった通り、これは事故みたいなもんですから気にしないで下さい。それにしても、忍さん、本当に家の兄に会いたいんですか?」
「え?ああ。まあ、できれば・・・。」
「そうですか。わかりました。何か方法考えておきますね。それと、今日は、色々と付き合って頂いてありがとうございました。」

***
それから1週間後、遥の兄、中川 柾樹は駅に降り立つとゆっくりと周りを見渡した。仕事は順調に終了し、少し早めにここまで来たのだが、あいにく今日は雨だった。
「お兄ちゃん!」小雨の中を傘をもってぱしゃぱしゃと小走りにやってくる妹の姿を認めると、柾樹はその端正な顔に笑みを浮かべた。
「遥」
ゆっくりと二人並んでマンションへと歩いて帰る。兄とこうして二人並んで歩くのは本当に久しぶりだった。たわいのない近況報告をする妹を見て、少し安堵する。というのも、実家に帰ったとき、丁度そう、遥がこちらに移って間もない頃だったか、電話をかけた母が、遥の事を心配していたからだ。だがしかし、それも家族と離れて生活を始めた最初だったからかもしれない。
「そういえば、母さんが是非ともお前のルームメイトに宜しく挨拶してくれといってたが、今日会えるんだよな?」
「う、うん・・・。あのね、お兄ちゃん、実はルームメイトの他にお友達が二名ほど・・・来てるんだ。」
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