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ルームメイト 作者:帆摘
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10話

目が覚めるとそこには忍さんがいて、優しそうな目でこちらを見ていた。だんだんと頭が冴えてくるに従って自分がソファーで寝ていた事に気付き慌てて起き上がると、自分の身体にブランケットがかけてある事に気がつく。どのくらい寝ていたのか、窓から外はもう暗くなっていた。実のところ其処から暫く私の記憶は曖昧だ。
色々な事がごったになって頭の中でショート気味。まずい、夕ご飯作らないととか、考えているといきなり腕を引っ張られてあっという間に広い胸の中に抱きすくめられた。耳元で甘やかに囁かれ心臓を掴まれたかのようにびくりと身体が跳ねた。

だが、それと同時にむくむくと疑問がわき上がる。一緒に暮らし始めて分かった事だが、普段彼は必要な事以外で一切私にかまってくる事はない。確かに最初にあった日のキスや翌日の買い物騒動には吃驚したが、それからは本当に彼が言った通り、お隣さん状態だったのだ。
たまに一緒にご飯を食べるだけの・・。まあソファーで寝てしまったのは私の不覚だったけど、それにしても、なんだか彼の様子が変に思えたのは気のせいではないだろう。そういった思惑がつい口からぽろっと出たのは仕方が無い。でも、彼は何事もなかったかのように蕩けるようなスマイルを私に向けている。さすがに私も女なのでちょっと見惚れてしまうが、それと同時に彼の携帯が鳴りだした。ちらっと着信元を確認して彼は電源ごと切ってしまった。

やっぱりなんかおかしい。彼女・・さんと喧嘩でもしたんだろうか?マンションを出た所でまた手を握られ歩いて行く。そういえば、こんな風に男の人に手を握られて歩いていると昔のお兄ちゃんを思い出す。最初のときは戸惑いと怒りが強くてあんまり考えなかったけど。無言で手を引っ張って歩くのも兄と似ている気がした。
「あの、忍さん、夕飯どこで食べるんですか?」
「君がきめていいよ。この先にレストラン街があるから、好きな所選んで?」
「はあ・・・。」
「どうしたの?元気ないね・・・?この間連れ出したときはずっとプンスカ怒ってたのに」
それはあなたのせいでしょ!と思うがふと先ほどの切なげな瞳を思い出して踏みとどまる。そうだ、忍さん、彼女と喧嘩別れとかしたかもしれないんだからここは何か盛り上げてあげた方が良いのかもしれないけど・・・でも今までみじかに居た男性はお兄ちゃんか、お父さんしか居ないしこういう時はどうすれば良いのか・・・

***
色々な女の子と付き合ってきたけど、ルームメイトになったこの中川 遥という女の子は他の女の子達と一味違う。大抵の子は、少し誘う振りを見せるだけで落ちるのに、この子は何を考えているのか読めない部分が多い。

女の子をエスコートするのは慣れているはずなのだが、何故か、彼女とは話が続かない。女の子が喜ぶ様な会話、お洒落といったものに一切興味がないようだ。どうやったらこんな変わった子になるのか少し親の顔が見て見たいと思う・・・が、そうか、あの叔母の友人だというのであれば変わっているのも頷ける。
ちらっと横目で大人しく手を繋がれて歩く彼女に目を向ける。今日は髪をひとまとめではなく、寝ていたせいもあるかもしれないが、艶やかな髪を背中に流している。
服装は・・・まああまりあえては触れないが、彼女にとってはそう言ったものはあまり意味をなさないのだろう。

そういえば彼女が寝ている時に見た指先は、少し黒く汚れていた。2〜3日だけ付き合った(つまり寝た)美術科の女が木炭を使ったデッサンのときは爪が汚れるとすごくぼやいていた事を思い出す。美術の話題なら、好きだろうか・・・?今までほとんど女にあわせる会話なんて考えてもいなかったが、このルームメイトに関しては、自分でも不思議なぐらい真剣に考えてしまう。確かに彼女が言ったとおり、俺は少しおかしいのかもしれない。

しばらくレストラン街をふらついていたが最終的に彼女が選んだのは・・牛丼で有名な吉○屋だった。これには俺も少し驚いた。臆する事なく、うきうきと牛丼屋に入っていく彼女を俺は不思議なものをみるように眺めていた。

「へい、らっしゃい!2名さまで?、そこのテーブルか、カウンターが空いてますがどうします?」
彼女はちらっと俺を見ると、「じゃあ、テーブルで」といっていかにも大衆食堂のテーブルらしいところに腰を落ち着けた。
「忍さん、どのくらいお腹空いてます?」
「え?ああ・・・普通かな。」
「・・牛丼嫌いですか?」
「嫌、そんなことはないけど、遥ちゃん・・は牛丼食べるの?」
「そりゃあ、もちろんです。でも色々メニューあるんですよ。忍さん、ずっと外国にいたから知らないかもしれないですけど・・。ほら、このカルビ定食とか、セットメニューとか・・」そういいながら彼女はメニューを指差して、にっこりと笑う。

オーダーを取りにきたおじさんにそれぞれ注文を終えると改めて俺は彼女と向き合った。
が、彼女の口から出て来た言葉は俺の予想を遥かに裏切った?ものだった。
「忍さん、もしかして今日一緒にいた彼女と喧嘩でもしたんですか?」
「今日一緒にいた彼女?」
「はい、校門近くのところで、綺麗なお姉さんとキスしていたでしょう?」
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