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織田家の長男に生まれました 作者:いせひこ
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第一次安城合戦終結

本日はとりあえずここまでです。
というか書き溜め分が終わりです。
これからもよろしくお願いします。

念願の、城を、手に入れたぞー!

そして太原雪斎に奪われる。殺されないのが救いかなー。

その後の今川と織田の動きを考えると、この安祥城は今川に奪われないといけない。
俺との人質交換で竹千代が松平家に戻る事で、今川の松平家支配が強固なものになる。
松平家に戻ったすぐに、竹千代は養育の名目で今川に取られるからな。
人質人質アンド人質。それが徳川家康の幼少期です。

俺が余計な事しなきゃ、普通に信長は桶狭間で今川撃退するだろうし、そのまま美濃獲りから上洛へ向かうだろう。
当然、その後の動きも史実と同じになる筈だ。

俺も俺で、謀反さえ起こさなきゃあとは織田家一門衆のまとめ役として悠々自適な暮らしが待っている。
うーん、ここで頑張る意味が無いように思えて来たなー。

自分が信長だと勘違いしてた時にも思った通り、桶狭間までは時代の流れに身を任せておこうかなー。

「忠政殿の娘を送るのですか?」

俺の前には結構お年を召した老武将が居る。
彼は水野忠政。この人は織田弾正忠家の家臣じゃなくて、知多半島北部に支配地を持つ独立領主だ。
親爺の協力者って立ち位置なんだよね、あくまで。
天文2年に刈谷城を三河に築いて支配領域を広げ、その時点から広忠の父である松平清康と接触したりもしてる。

蝙蝠野郎、とは言わない。
この戦国時代で自分の領地を保持するってのは大変なんだ。

もういっそ親爺の臣下になっちゃえよ、とも思うけど、しかし今度は弾正忠家の立場の悪さが不安視されてるんだろうな。
上司である守護、守護代から疎まれてるからねー。
しかも生まれた嫡男はうつけと評判だ。
親爺の胃が心配されるぜ。
親爺の死因は病死らしいけど、案外胃潰瘍を悪化させたとかじゃねぇかなー。

で、目の前の忠政さんは自分の娘を広忠の正室に送って弾正忠家と松平家の和睦を図るんだとか。
元々清康から言われてたんだけど、森山くずれで清康死んじゃったから、その話自体が立ち消えになってたらしい。

「その通り。現状、弾正忠家も松平家も、これ以上戦を続ける事はできまい。ならば放っておいても、と思うかもしれないが、事はそう単純なものではない」

「尾張守護と今川ですな」

俺の言葉に忠政さんは感心したような表情を浮かべた。
まぁ、この人にとっては、初陣で偶々活躍した若武者でしかないからな。侮られても仕方ない。
とりあえず未来の事は置いておいて、今の事だけを考えたら、この安祥城の後方に位置する刈谷城城主である忠政さんは味方にしておきたい。
土壇場でなくても裏切られたら挟み撃ちになっちゃうからな。
そういう意味でも、松平勢が親爺よりも忠政さんの軍を重点的に攻撃してくれて助かった。
騎馬と歩兵。更に数も少ないとなれば、包囲された少勢が一縷の望みを託すなら、そちらへの一点突破だろうからな。
まさかそこまで親爺は計算していたんだろうか。
忠政さんの軍勢を暫く行動不能にする事で、彼の裏切りを防いだ?

「確かに弾正忠家は上役である尾張守護と守護代との折り合いが悪い。しかしあくまでそれはそう見える、というだけの話。中の人間からすれば、今回の戦で少なくない被害を出した弾正忠家が三河に留まると、尾張で彼らが動き出すかもしれない。だから弾正忠家はこれ以上戦を行えません。しかし外の人間には詳しい事はわかりません。父上を良く思っていない守護代達でも、三河が獲れるなら、と父上を支援する可能性がある。可能性があるかもしれないと思ってしまう」

普通はそう思う。北では惨敗続き。三河侵攻も上手くいっているとは言い難い。その八方塞がりの状況で、お家騒動と敗戦で三河松平家が自滅しそうなんだ。
普通は、これを機に三河を獲れ、と守護代が命じる可能性が高い、と思うわな。

「対して松平家は今川に頼る事が出来ます。今川も織田家の三河進出は容認し難いでしょうから」

「その通り。いや、虎殿のご子息もやはり虎であったか!」

豪快に笑う忠政さんは、まさに猛将という言葉がぴったりのような雰囲気を纏っている。
けど、これまでの経歴と、今回の提案を考えると、この人かなりの策略家だよな。

「そのために、弾正忠家と松平家、双方でこれ以上戦はしないという確約が必要な訳だ」

「しかしそれならば嫁に出すのは弾正忠家の娘でなければならないのでは?」

「流石に弾正忠家から嫁を貰えば今川からの横槍は必至よ。それでは纏まるものも纏まらぬ。あくまで信秀殿の協力者であり、以前より松平家と親交があった儂の娘だから良いのだ」

「なるほど、確かにその通りですな。わかり申した。準備はこちらで行っても?」

「いや、信広殿には信秀殿に許可を貰っていただきたいのだ。その間に話は進めておく」

「わかり申した」

嫁さんかー。竹千代の年齢を考えると既に嫁がいるか、近いうちに娶るんだろうとは思ってたけど、それに俺が関わる事になるとはなー。
俺はまだ独身なのに。

とりあえず祐筆を呼んで書状をしたためさせ、親爺に送る事にする。
メールも郵便も無いけれど、手紙を送るだけなら、脚の速い若者に任せれば半日で古渡城に着くだろう。

うーん、これを利用した通信網でも構築できないかな。この時代の通信手段を後で調べておこう。

親爺に金の無心もしないとな。
竹千代がこちらの人質になる前に安祥城が墜ちたら、俺の命が保障される可能性は低いから、少なくともそれまでは守らないといけない訳だし。
城の補修と改築。周辺に防衛施設も築かないといけないし、周辺領民の取り込みも必要だしな。

そのためには金だ、金がいる。

大丈夫、弾正忠家には唸る程の資金がある。
この時代、交易が盛んな港町を保有しているってすげぇ強いんだよ。経済的には。
2/20追記

後の話の後書きで諱について解説しています。
活動報告でも解説しています。

「諱」について

忌み名とも読み、字面から予想できる通り、「呼ぶこと忌み嫌う名前」という意味です。親や上司が諱を呼ぶことは普通にありますが、同輩、ましてや格下の人間が呼ぶ事は大変失礼にあたります。
なので、忠政さんと信広が互いを諱で呼び合っているのは本来なら失礼な話なのですが、これは親しみの表れだと思ってください。
諱は実名とも言い、その人の人格を現す名前、という意味もありました。
つまり、ここで信広と忠政さんが諱で呼び合っているのは、「渾名」でお互いを呼び合っているような感じでしょうか。
「マサ」「ヒロ」と呼び合っているようなものだと思ってください。
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