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織田家の長男に生まれました 作者:いせひこ
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夫婦の会話

この話は元々プロットにあったものです。
後付けや言い訳のために急遽考えたものではありません。
おかしい。言えば言う程怪しく思える。
あと、若干下品な表現がありますので、苦手な方は於広登場辺りで後書きへどうぞ。
三行にまとめておきます。

「おお! 動いたぞ!」

天文14年1月中頃。
新年の挨拶だの、地元の名士達との新年会などの面倒事、もとい、お仕事をこなした俺は、於大の部屋でイチャついていた。

於大の腹は大分大きくなっており、時折中で胎児が動くのを感じられるようになっていた。
医者が言うには、出産は五月頃だろうという事だ。

於大の腹に耳を当ててはしゃぐ俺を、彼女は慈しむような目で見ている。

「於広でございます! お呼びでしょうか?」

そんな時に、障子の向こうから元気な少女の声が聞こえてきた。

「お方様、どうぞお入りください」

於大がそう言うと、ゆっくりと障子が開かれ、俺の正室である於広が入って来る。

ちなみに、於大はあえて『お方様』と呼んでいる。
水野家への信頼度はともかく、於大のお腹が大きくなるにつれて、家中の者達の態度は於大を敬うようになっていった。
元々女中なんかは、於大のおっとりとしていて、大らかだが、よく気が付く性格に、完全に彼女を奥方様、として敬っていた。
そんな中にやって来た於広姫。
自分達のアイドルである於大の立場を危うくさせる存在。

良い感情を抱く人間は少ないだろうな。

だから、於大はあえて於広をお方様と呼ぶ。
自分はあくまで側室でしかないのだと、周囲に知らしめている訳だ。

対して於広は於大を「お姉様」と呼ぶ。
これは於大を俺の側室と認めていない、なんて訳じゃ勿論ない。
自分と於大は姉妹のように仲良しだ、と示している訳だ。

そうなると、俺が姉妹にまとめて手を出した鬼畜のような気分になるが、まぁ、二人の仲が良く、二人に対する家中の者の態度が良くなるのなら、そのくらいの評判は甘んじて受けよう。

「お姉様、なんの御用でしょうか!? あ、殿……いらしたのですね。これは失礼いたしました」

「いや、よい」

俺の存在に気付いた於広は気まずそうに目を逸らした。

原因はあの初夜。というかその翌日の晩。
初夜は於広が酔って寝てしまったので、文字通りの同衾だけとなってしまったので、改めて仕切り直そうとしたんだ。

入りませんでした。

ナニがかは、敢えて言うまい。
前世でそれっぽいタイトルの本を見た気がするけど、それはともかく。

俺って体格良いじゃん?
だからアレも相応の大きさを持っている訳よ。
確かに、今世で、臨戦態勢のソレを比べた事はないけど、臨戦態勢になった自分のモノを見て、俺はでかい、と思ってしまった。
前世での自分のモノと比べたのか。それとも、前世は女性で、他人のモノと比べたのか。
それはわからないけど、とにかくそう思った。

そして於広は身長が低いだけでなく、体つきが全体的に幼い。未成熟だ。

「遠慮なさらず、どうぞ」

なんて於広は言ってくれたが、苦痛に顔を歪め、涙を溜めるどころか、ポロポロと流しながら、それでもなんとか笑顔を作ろうと唇をひきつらせる於広を見て、遠慮しない奴がいたら、そいつは真正だ。

於広が俺の可愛らしい正室で初夜。更に、前世ではタブーだった事に踏み込めるという事で、膨れ上がっていた俺の欲望は、そんな於広を見て萎んでしまったんだな。

誤解しないように言っておくと、このタブーは、年端もいかない少女に手を出す事じゃない。
行くなと言われたら行きたくなる。
覗くなとある穴は覗きたくなる。
押すなと書かれたボタンは押したくなる。

そういった、背徳感のようなものが俺を後押ししていたんだと思う。

「於広、其方に話がある」

「は、はい!」

俺は居住まいを正し、そう告げる。
於広もすぐに正座をして背筋を伸ばす。

「其方とは暫く床を共にしない」

「え…………?」

血の気が引くって本当にあるんだな。
俺の言葉を聞いた於広の顔は真っ青だった。

「別に、其方と離縁するとか、そういう話じゃない」

「そ、そうなのですか!? 先日の失態で嫌われてしまったのではないかと、於広は不安で……」

その日以来、俺は於広と床を共にしなかったし、色々仕事もあったから、フォローは於大にまかせっきりだった。
寂しい思いをさせていたんだろうな。

「ああ、すまん。忙しさにかまけて疎かにしていたな」

「いえ、お姉様がよくしてくださっていましたから……」

それでも於広の目からは大粒の涙が流れる。
俺はそんな於広の肩を抱き、涙を掬ってやった。
で、この指はどうすればいいんだ?(二年振り二度目)

「於広、やはり其方は幼い。だから、儂は其方が成長するのを待つ事にした。とりあえずは、三年だな」

「さ、三年も……!?」

「夜伽もそうだが、それが可能になったとして、儂の子を孕んで、無事に産めると思うか?」

俺は於大の腹を見た。於広もそれにつられて、目線が行く。
ある程度は胎児の大きさは母体に左右されるらしいが、それでも大きな違いは無い。

「う……が、頑張ります」

「頑張らなくて良い。母子共に危険だ。子供も勿論だが、其方にも儂は無事で居て欲しいのだからな」

そもそも、産めるんだろうか?
帝王切開の知識なんか流石に無いぞ?
輸血ができなきゃ無理だろうし。

「これから三年間を目途に、体を大きくする事を考えよ。良く食べ、良く動く事が大事だ」

「はい」

「特に肉が良いぞ? そればっかりでは駄目だが、儂が証拠だ」

子供の頃から鍛錬と称しては、山や森に入って鹿や猪を狩っていたからな。

「お肉は、あんまり……」

「好き嫌いをすると大きくなれぬぞ?」

「頑張ります!」

「うむ、頑張れ」

於広はあまり肉を食べた事がないらしく、ウチで出された時にもあまり良い顔はしていなかった。
西広瀬城は山の中にあるから、日常的に食べていてもおかしくないんだが、於広は木の実や山菜を中心に食べていたらしい。
武士など男子はよく食べていたので、於広の中で、肉は武士の食事、という印象が強いんじゃないかな。

「し、しかし、それでは殿は大丈夫なのでしょうか!?」

なんとか涙も治まった頃、俺の腕の中で於広は顔を上げてそんな事を言った。

「大丈夫、とは?」

「於広も輿入れにあたって男性の事を聞き及んでおります。男性は、その、あまり長く我慢はできないのですよね?」

「あー、まぁ、自分でできるしな……」

「大丈夫ですよ、お方様」

「お姉様?」

俺が言いかけるが、於大が口を挟んだ。
その目の艶やかさに、背筋がぞくり、と震えた。

「男性を悦ばせる方法は幾らでもございます。これから、私が教えて差し上げますよ」

「本当ですか!? 是非!」

「ええ、早速、今夜からでも……」

言いながら、於大は俺を見てちろりと舌を出した。

前から於大には言い知れない色気のようなものがあった。
しかし最近、笑顔の奥に凄みのようなものが感じられるようになっている。

母は強しって事なのかね。
下品な表現が苦手な方のための三行まとめ
・於広とは実はいたしていない。
・於広が成長するまで待つ事になった(三年目途)。
・於広と於大は仲が良い。

「お方様」にも色々意味はあります。江戸時代以降は「女性から男性」を呼ぶ際の尊称になってたりしますしね。
とりあえずこの時代は、「身分の高い大名の妻を呼ぶ際の尊称」として使っていた事もあるそうなので、それを若干拡大解釈して、「身分の高い大名の妻=身分の高い女性」とし、「身分の高い奥方を呼ぶ際の尊称」としています。
ご了承ください。
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