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織田家の長男に生まれました 作者:いせひこ
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尾張の虎

三人称視点です

天文9年 尾張国 古渡城


「信広が元服を果たしたか」

評定の間において、城主である織田信秀が呟いた。彼の手には酒の入った杯がある事から、それほど厳格な場でないとわかる。

「家臣の話では、文武に優れた名将の器があるとか」

「自分達の御輿だからな。多少は贔屓目もあろうが……」

とは言え、自分の長男だ。その動向は逐一報告させていた。彼が入手している信広評も、勤勉で聡明、武術に優れている、とある。
それでいて、野心のようなものは見られないという。

「良い手駒になるか」

戦国の世では家督争いなど日常茶飯事だ。六年前に生まれた嫡男は、奇妙な行動が目立つ。
教育係の平手政秀からは、時折これは、と思う言動をする時があると聞いているが、それこそ、知恵遅れの特徴ではないかとも思っている。
ならばと、先に生まれた優秀な男子が、後継者を狙っても不思議ではないが、信広にはそれが見られないという。

嫡男ではない自分の立場を弁えているとしたら、随分と頭が良い。

「物足りなくもあるがな」

戦国乱世の男子ならば、もっと野心を剥き出しにするべきだとも思っていた。

「松平が戦の準備をしておる」

「聞き及んでおります」

「安祥城に兵が集まっておるそうだな。目的は鳴海か」

「恐らくは。いかがなさいますか?」

「今の松平の当主は広忠だ。先年に今川の協力を得て岡崎に戻って来たばかり。大して戦力は整えられんだろう」

「では鳴海の戦力だけで?」

「いや、だからこそ古渡と那古野からも兵を出す。ここで松平軍を徹底的に叩けば、こちらの三河侵攻が楽になる」


二月、松平広忠は、岡崎城において自らの支配基盤を盤石とするため、長年争って来た尾張国織田弾正忠家に対して攻撃を仕掛ける。
しかし既に情報を得ていて、万全の態勢で待ち構えていた織田軍によって散々に蹴散らされ、敗走する事になる。
岡崎城を守るため、その西側に築かれた安祥城を防衛拠点とするため、父清康の大叔父にあたる松平長家を城代に任せ、千名の兵を守備に置いた。

同年六月、信秀は刈谷城の水野忠政と併せて三千名を率いて安祥城に攻撃をしかけた。
その中に、織田信広の姿もあった。
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