5話・特訓
目が覚めると、やはりというか見慣れない部屋だった。
…もう少し夜中に何かありそうな予感がしてたんだが。
「朝だな…」
意味もなく呟いてみた。
その声は、独りの部屋に虚しくこだまし
「ええ。いい朝ですね。おはようございます」
「…………!」
「昨日はゆっくり眠れましたか?」
「リアっ!?」
「はいっ」
こだましなかった。
ベッドの脇では長い青髪を風にゆらしつつ(窓は彼女が開けたのだろう)、アーリアがリンゴを剥いていた。
「俺は病人かっ!」
「はい?」
ツッコミを入れてから気づく。
ベッド脇のリアの脇には、朝食が置かれていた。
そっか、わざわざ持ってきてくれたのか。
「すまん、何でもない…それ、デザートか?」
「はい♪私のデザートです」
ちょっと残念だった。
☆
「さぁっ!第一回!マコト特訓大会を始めるよっ!いぇーい!」
昼。
中庭に俺はいる。
…広い。広すぎる。
「よろしく」
「…むー」
なんだかほっぺたを膨らませている。
魔王に見えないんだが。
「何だ?不満そうに」
「タメ口は許すけどさ、語尾には『師匠』って付けてね」
「わ、わかった…師匠」
変なこだわりだった。
さて、どうするか
【→普通に師匠とつける
不意をついてマイハニーとつける
師匠と呼ばなければいけない自分をなぐさめる】
ふぅ。
下の二つを我慢するのにHPを九割は消費したぜ。
「マコト?なんか疲れた顔してない?」
「俺はいつでも疲れた顔をしてるんだ」
「?まぁいいや、始めるよっ」
さくっ。
刹那、俺の前髪をかすめて剣が飛んできた。
飛んできた方を見ると、リアが微笑んでいた。
どうやら俺はこの剣を使うらしい。
☆
「おつかれー」
魔王さまとは対照的に俺の体はボロボロだった。
強すぎる。
この世界ではやけに体が軽い。
今の俺ならプロレスラーの一人や二人くらい素手でも楽勝のはずだ。
なのに、魔王さまは本を読みながら俺の相手をしてのけ、今だにピンピンしているのだ。
「終わりましたよ」
「さんきゅー」
ちなみに、現在リアの回復魔法を体験したところだ。
魔法ってすげぇな。
「おつカレー、ってことで今夜はカレーだよっ」
ダジャレかよっ! |