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俺のパンツが異世界に飛んで行ったけど、好きな人に告白する。

作者: lukewarm

 下半身に違和感を感じた。


 何か物足りないような不思議な感覚。これは何だろう。普段あるべきものを急に失ってしまったような。不思議な感覚。頭の中に疑問は浮かんだが、今はそんなことを考えている場合ではない。


「それで話ってなにかな……?」


「……あ、あ、たのことが!!!す、好きで、す!」


 緊張して声は震えてしまったが、ちゃんと言えた。3年間ずっと胸に秘めていたこの思い。無事に伝えることができた。


 結果に関してはわからないが、緊張も解け、僕はひとまず息をつく。


 しかしここで違和感の正体に気づく。



 パンツがない。


 俺のパンツがないのだ。


 いつ消えたんだ……?消えたっていうかそもそもパンツを穿いてきたのか……?さまざまな疑問が僕の脳内を駆け巡る。それにしても、ノーパンで好きな人に告白をしてしまったのか。自分でいうのも何だが、とんでもない変態である。


 僕はパンツがいつなくなったのかを思い返して見る事にした。



 朝7時に起床。その時ノーパンだった記憶はない。というかこの段階で消えていたら、パンツを穿かずに寝ていたことになってしまう。


 たしか起きてすぐ、時間がなかったため、急いで制服に着替えはず。その時もパンツを穿いてたし、朝食を食べている時もパンツを穿いてた。これは間違いない。


 学校に向かう途中、全力で自転車を漕いでいたけど、そんなにスースーした記憶はないし、やっぱりこの段階でもパンツは穿いていたと思う。


 学校につき授業を受けていたが、特に違和感はなかった。体育の授業で着替えるタイミングがあったが、パンツはちゃんと穿いてたし、「お前パンツどうしたんだよ」と周りに言われた記憶もない。


 そうなってくると、やっぱり告白する直前に突然消えたと考えるのが正しいようだ。恐らく先ほど感じた、謎の違和感はこのことだったのだ。しかし、パンツが突然消えるという話は聞いたことがない。そんな摩訶不思議な出来事が、この世の中でそう起こるものなのだろうか?


 しかしここで一つの考えが浮かぶ。


 最近はネット小説を頻繁に読むのだが、ニートだろうが、何だろうが異世界に行く傾向にある。つまり俺のパンツは異世界に飛んで行ってしまったのではないか、という考えが浮かんだのだ。あり得ない話ではない。本来僕が勇者として、活躍する予定だったが、何かの手違いでパンツだけ飛んで行ったのだ。そうに違いない。


 パンツが異世界に行ってしまったことに関しては非常に残念だが、僕としてはこれでよかったと思う。たしかにパンツがなくて、めちゃスースーするけど、もし僕が告白する直前に、異世界に飛んでいってしまっていたら、彼女に告白することができなかったのだ。その事を考えると思わずぞっとしてしまう。


 とにかくパンツのことはもう忘れて、彼女の答えを待つことにしよう。今日一日ノーパンで過ごすだけだ。それだけだ。


「実はね……私も前から……好きでした」

「ほ、本当!?」


 二人は照れくさそうに笑いあった後、お互いの温もりを確かめ合うように手をつなぐ。緊張して手が汗ばんでいるのが、向こうに伝わってしまいそうで、少し恥ずかしい。


 それにしてもよかった。異世界に飛んで行ったのがパンツだけで、本当によかった。ありがとうパンツ。


 こうして二人の恋愛はスタートした。




 一方、異世界では。


「王様……どうすれば僕は元の世界に戻ることが出来ますか……!!!」


「聖者の石が隠されている、月の塔に行くのじゃ。この塔にはレベル70を超える凶暴なモンスターが数多くいるからのう……。貴様が思っている以上に険しい旅になるじゃろう」


「でも僕はどうしても帰らないといけないんです……!!!ご主人様のために!!!」


 こうしてパンツの、現実世界に戻るための、過酷な旅がスタートした。


恐らく最後まで読んでくれた人は


何だこれと思っていることでしょう。


安心してください。書いた本人もその状態です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 目のつけどころが良いです。考えもつきませんでしたわ。 [一言] いやいやいや、これ想像すると、おかしいから(笑)。 主人と、そのパンツ、どういう状態になってるんすかww!
[良い点] パンツを受け入れてる王様笑 [一言] 逆を想像したら、もっと変態でした!
[良い点] むしろパンツの長編異世界冒険ファンタジーが読んでみたいです(笑)
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