第六章:カノヴィス平原の戦い(二)
カノヴィス平原の中央よりやや西の位置で、公国軍はその歩みを止めた。隊列を整え、一部の魔術師が詠唱を開始する。
進軍を止めた公国軍を見て、帝国前線指揮官は即座に騎馬隊に号令を発した。騎馬隊前衛が一斉に駆け出し、横に広がりながら速度を上げていく。重装備の部隊が先行する。馬にも甲冑を着込ませ、上に乗る兵士もまた全身を甲冑で身を包んでいた。片手には槍。そしてもう一方の手には大きな薄手の盾を携えていた。盾からは長い取っ手が伸びている。
強めの風が吹いた。砂煙が晴天に届く勢いで舞い上がる。
公国軍後衛の弓兵隊が空へ向かって一斉に弓矢を放った。遠い。届くはずのない距離からの一斉射。空へ向けた矢は、公国軍前衛すら超えることもないはずだった。が、同時に魔術部隊からいくつもの風が巻き起こった。切り裂くような突風。竜巻のようなうねり。空高く舞い上がった矢がそれらに乗る。勢いを増して、更に高く、遠くへ舞い上がる。更に矢が放たれる。今度は水平に射かける。それを突風が追う。風が絡みついた矢は、風の勢いそのままに帝国軍騎馬隊に襲い掛かった――。
正面から疾風に乗せて矢が迫る。ほぼ同時に上空からも矢の雨が降りそそぐ。帝国騎馬隊は隊列を左右に広げる。各々が大盾を馬の前に出す。身体を低くし、盾に身を隠す。上空からの攻撃は捨て、とにかく前へ。いかに早く相手に取り付くか。それだけを考えて突き進む。隣で馬が倒れようとも、後ろから仲間の悲鳴が聞こえようとも、ただ前を見て。
正面からの矢が大盾を穿つ。突きぬけた矢が馬の目を抉る。騎兵の鎧を貫く。
上空からの矢が馬の首に突き刺さる。矢を受けた馬が倒れ、上に乗る騎兵が投げ出され、潰される。
だが、その数は多くはなかった。
初撃の効果はさほどではないと、シャバネル公爵は後方から様子をみて感じていた。もっともそれは分かっていたことだ。公国の戦い方としては基本的なものだった。さすがにそれには対応してきている。問題は次。騎馬隊の動きを止めるための策。
重装騎馬隊は左右に広がった形で公国軍に突進する。僅かに距離を置き、およそ三列になる。このまま包み込むように突撃し、波状攻撃を仕掛けるためだ。初撃で失った兵は少ない。一気に押し込む。騎馬隊の皆がそう思っていたときだった――。
前方の地面から何かが飛び出してきた。人ではない。土が盛り上がり、巨大な円錐をかたどって地面から突き出てくる。凝縮され、岩のような硬さとなる。それが無数に出現する。前進を阻む土の棘に衝突して転倒する者、運悪く馬が棘に貫かれた者、馬の足を止められた物、帝国軍は一時的に混乱状態となった。
土の棘は壁を作るように公国軍の前面を弧状に囲んでいる。馬が二頭通れるほどの隙間が所々にある。帝国軍がそこから進めば、公国軍の重装歩兵が殺到する。速度を殺され、数的優位を取られた帝国軍重装騎兵は苦戦を強いられた。そのため騎兵の多くは土の棘を避け、左右に大きく迂回して公国軍に向かった。だがこちらでも炎や風の魔術で押され、波状攻撃を展開できないでいた。炎の玉が襲い掛かる。風の刃が切り裂く。騎兵は馬に身を屈め、突進する。馬は焼かれ、切り刻まれる。
乱戦になれば魔術部隊の攻撃は行えなくなる。火、風、水、土といった四大元素魔術を含め、攻撃系魔術は物理的に効果を与えるものだ。熟練の魔術師であれば狙ったところに攻撃を仕掛けることもできるが、仮に狙い通り命中しても魔術による攻撃は影響範囲が広いため、周囲の味方を巻き込む危険がある。従って魔術による戦闘ではいかに接近を許さないかが重要となる。
魔術による戦闘の基本は遠方からの攻撃である。接近されるにしても、それより後方の敵に遠隔攻撃を仕掛け、波状攻撃を防止する。弓矢の戦い方に近いが、威力とその効果は比べようもない。一人の魔術師が炎の魔術を一たび行使すれば、十数人の敵を無力化できる。複数の魔術師が集まって一つの魔術を行使する方法もあり、単純な足し算以上の威力を発揮することもできる。さらに複数集まれば詠唱による攻撃間隔の問題も解決する。交互に魔術を行使することで、連続攻撃が可能となるのだ。
公国軍は基本に忠実な戦術を取っている。相手の出鼻を挫き、帝国の先行部隊は壊滅的な被害を受けつつあった。だが、それは表面的なものに過ぎなかった。
騎馬は止められた。土の棘や魔法攻撃により多くの騎馬が使い物にならない状況に陥った。だが、先行した騎兵にとっては、馬が使えない程度なら問題はなかった。
帝国軍の重装騎兵のほとんどが、帝国の侵略により併合された国の出身だった。帝国に徴兵され、まさしく『駒』として扱われていた。今回の作戦で最も危険な任務が、当然のように彼らに与えられた。だが最も危険であるが故に、その対価も大きい。
――自由。
彼らに与えられる対価。生き残ること。それだけで、彼らは奪われて久しい至宝を手にすることができる。この戦いに勝利を収め、最後まで生き残っていれば。だからこそ、勝利のために、生き残るために、彼らは手段を選ばない。
騎馬の足が止められたのであれば、今度はそれを有効に使えばいい。一部の騎兵はまだ動ける騎馬から降りると、馬の尻を槍で突き、公国軍に突進させた。次々と重装備の騎馬が公国軍に襲い掛かった。混乱に乗じ、騎兵は歩兵となって公国軍に立ち向かう。数では押されている。小手先の奇策ではすぐに対応されるだろう。だが少しの間、魔術部隊の気を引くことができればそれでよかったのだ。
帝国軍の残りの騎馬隊が地響きを轟かせて突進する。
装備は標準的なものであるため、速度は先行部隊の比ではない。槍や剣、自らが得意とする武器を手に、風になって疾走する。正面、左右の三列に分かれる。左右の部隊には弓を携える者も多数いた。
風の魔術師は前線に取り付いた先行部隊の相手で対応が遅れていた。弓矢による長距離攻撃を行ってはいるものの、初撃に比べると数がかなり少ない。加えて、初撃のようにタイミングを計ることができないため、上空からの面攻撃ができないでいた。
帝国軍騎馬隊の左右の部隊は中央の部隊から大きく離れた。土の棘を避けるように迂回する。公国軍の側面に到達すると、一斉に矢を射掛けた。同時に剣と槍を持った騎兵がぐるりと公国軍に向かって奔る。
左右の部隊にやや遅れるかたちで、中央の部隊はいくつかに細かく分かれ、土の棘の間を縫って突進していく。倒れた仲間の上を飛び越え、公国軍重装歩兵に目もくれず、正面を突き破っていく。公国軍の重装歩兵が展開しているため、魔術部隊は攻撃できない。
左右に展開した帝国軍騎馬隊は公国軍の側面を打つ。弓部隊も剣に武器を持ち替え、公国軍の歩兵部隊に突撃する。動きの遅い重装歩兵を複数で取り囲み、一斉に襲い掛かる。止めは刺さず、負傷して動けなくなった重装歩兵は無視する。中央の公国軍歩兵部隊に狙いを切り替えた。
乱戦となった。
ゲルトラウトはその様子を見て、号令を下す。帝国軍歩兵隊が前進を開始した――。
――カノヴィス平原南東。
「下がるな! 数人でまとまって前を向け! 槍を前に出せ!」
クラウディアの怒号が響く。自身はマルガリテスを手にして右へ左へ休むことなくそれを振るう。帝国兵はクラウディアの突進を散開して躱そうとする。攻撃の回数を重ねても一気に切り倒すことができない。クラウディアは焦っていた。そして、迷っていた。
兵の質では圧倒的に劣っていることは分かっていた。帝国兵はよく訓練されている。数的優位を作り、決して一対一の状況にはならない。個々の能力で圧倒しながらも、基本に忠実に仕掛けてきていた。対して公国軍――エッフェンベルク家私兵はまとまりがなく、目の前で血飛沫を上げる仲間を見て混乱し、半狂乱になる者もいた。崩れそうになるところをクラウディアが帝国兵を蹴散らすことでなんとか戦線を維持していた。多くの味方を背にしながらも、歩兵として敵を倒しているのは実質的にクラウディア一人であった。公国歩兵は壁としての機能しか果たしていなかった。それでもクラウディアが援護しきれないところは、突風が壁となり、矢が敵を怯ませていた。
「はあぁぁっ――!」
帝国兵を鎧ごと斬り潰す。帝国兵は人形のように宙を舞い、その仲間の下に向かって落ちていく。帝国兵はクラウディアを避けるように丘の上を目指していく。クラウディアはそれを追う。森からは続々と帝国兵が現れる。魔術部隊と弓兵の活躍により、森から出てきた帝国兵はなかなか前線に到達できないでいた。
なんとか凌いでいる。まだ持ちこたえられる。クラウディアはそう考えながらも、見えない敵に心をかき乱されていた。何故いない。まだ出てこないのか? それともここにはいないのか? 当然、真っ先に切り結ぶことになると思っていた。いないのならそれでいい。だが、もし自身の消耗を待っているとしたら、勝ち目があるだろうか。この状況で体力の温存などできない。戦闘開始当初からマルガリテスの能力は解放していた。不安が襲う。それを剣に乗せて振り払う――。
緩やかな丘の中腹。
弓兵隊は森から現れる帝国歩兵隊に矢を浴びせていた。二つの隊に分け、交互に矢を射掛ける。だが歩兵同様、訓練がまるで足りていない。狙ってなどいない。そんなことをするよりも、とにかく遠くへ飛ばすことに集中するよう命じられていた。
その中にあって、確実に敵兵に矢を突き刺す射手がいた。周りの射手とは明らかに形状の異なる弓を手にしている。手摺り(弓の中央部分にある矢をつがえるところ)の周辺は歪な形をしており、そこには長い突起が二つ上下に取り付けてある。弓の両端には滑車が付いていて、通常の弓よりも複雑な構造をしていた。
矢を放つたび、一束に纏められた黒く長い髪が揺れる。額に汗を滲ませ、複雑な表情で帝国兵を見下ろす。時折、その中を駆け巡る騎士に目を向ける。その度に胸が締め付けられていった。
『あの日』以来、できることは何でもやった。『欠片持ち』にしか利かない魔術。『欠片持ち』に極めて有効な魔術。その力を手に入れてから、状況は一変した。基礎体力を付けるため、自分の身を護るために武芸を習った。中でも弓の技術はみるみる上達していき、帝国でも屈指の射手となった。帝国を去るときに大切な人から渡された弓。今まではクラウディアのおかげで使うことはなかった。それが、どうしてこんな形で使うことになったのだろうか。カティアは自問する。
矢を放つ。帝国兵の喉下に突き刺さる。帝国兵は糸が切れた人形のようにどさりと倒れる。その姿を見るたびにやりきれない思いが圧し掛かってくる。本来なら守るべき自国の民だ。それをこの手にかけている。カティアはただ、苦しかった――。
弓兵隊の後方、オーギュスト率いる魔術部隊がいた。オーギュスト自身は魔術は扱えない。守備隊を控えさせ、魔術隊を指揮していた。そのすぐ側では、ジェネが魔術を駆使して敵を食い止めていた。
風の魔術の詠唱を終える。刃と化した風が帝国兵の身体を裂いた。血飛沫が上がり、緩やかな坂を転がりながら倒れる。ピクリとも動かない。
手が、震えた。今日何度目だろうか。また、人が死んだ。人を、殺した。覚悟はしてきたはずだった。国のため、民のため、貴族としての責務を全うする。その思いに奮起もした。だが現実はこうだ。帝国兵を倒すたびに恐怖に慄く。帝国兵が公国兵を斬り倒すたびに震え上がる。今はまだ遠くにいる。それがここまで迫ってきたら、次にあの公国兵のようになるのは自分かもしれない。
ジェネは恐怖を振り払うように詠唱を続ける。やらなければやられる。それに今は守らなければならないものがある。そこで首を振った。あの少女を言い訳に使う自分に腹が立った。いずれこの罪は自分に返って来るだろう。少なくとも、目の前の光景は一生自分を縛り付けるだろう。ふと、「戦争に行くつもりはない」と言った剣士のことが頭に浮かんだ。彼もこんな気持ちになったのだろうか。
ジェネは詠唱を終え、再び魔術を放った――。
――カノヴィス平原 バール街道
遠くから帝国軍歩兵部隊の進撃の音が聞こえてくる。敵陣の真っ只中で槍を振るう帝国騎兵の一人、小隊を指揮する男は勝利を確信していた。公国軍は混乱状態にある。魔術部隊も何をどうすればいいかわからないように見える。所詮は長い間平和に胡坐をかいていた弱卒に過ぎない。この三十年、帝国は連邦諸国と激戦を繰り返してきた。実戦経験で言えば、公国兵は三年前に一度あるだけ。帝国兵はその比ではない。魔術などに頼り切った兵士に力はなく、押し切るのに時間はかからない。そう、考えていた時だった。
背中に鋭い痛みが走った。油断していたはずはなかった。振り向いた男の苦悶の表情が、驚愕に変わった。何故? お前は何をしている? 自身を突き刺す槍を持つ者は、味方であるはずの帝国騎兵だった。その騎兵は何事か呟いて槍を抜くと、周りにいる帝国兵に襲い掛かった――。
「裏切りだ!」
「幻影魔術だ!」
「操られているぞ!」
それらの声は帝国兵のもの。狙ったように味方に斬りかかる帝国兵。正気を失い、闇雲に槍を振り回して味方を傷つける帝国兵。そして混乱を促すような言葉を叫ぶのもまた、帝国兵だった。帝国兵の動きが急激に鈍る。同士討ちをする姿を目の当たりにして、『幻影魔術』や『操られている』といった経験のない事態を指し示す言葉に動揺が広がる。恐怖が、瞬く間に伝播する。
無論、戦いの最中にそのような都合の良い魔術を敵にかけることができる筈はない。幻影魔術や、他の人間を意のままに操る干渉魔術と呼ばれるものは確かに存在する。だが、それらは精神系魔術と呼ばれ、極めて難易度が高く、使用できる者は限られる。さらに特定の条件や制約がかかるため、戦闘で有効に機能させることは不可能に近い。そう、敵に対しては不可能といっていい。だが――。
バール街道の戦場から南に下った草原。その上空に三人の魔術師がいた。中央に黒いローブを纏い、フードを目深に被った女性。茶色の髪がフードから覗いている。その左右には同じ衣装の男性魔術師が二人、中央の女性魔術師に向けて魔術を展開していた。正確には、二人の魔術師が飛翔魔術を展開し、女性魔術師とともに空中に浮かんでいた。
女性魔術師――アヌシュカは口元を歪めながら、魔術を続けていた。時に詠唱を再開し、さらに魔術を行使する。
――干渉魔術。
他者の精神に作用し、その人物の意に反した行動を強制することができる。だがそれを実現するには二つの条件を満たす必要がある。
一つは、強制する行動を植えつけるための魔術行使を効果が認められるまで繰り返し行うこと。術者の熟練度合いや強制する行為によりその回数は変わってくる。「人を殺せ」というような命令は被術者の抵抗が激しいため、最も強制力が必要となる命令の一つである。
もう一つは、植えつけた命令を実行に移すための魔術を行使すること。被術者をその目で捉える必要があるため、被術者を見ることができないほどの遠方からや、物陰に隠れて魔術を行使することはできない。
また強制する行動は簡単なものに限られるため、複数の命令を一度に行わせるようなことはできない。更に命令を与える際には、それと気付かれないように催眠術など別の手段を講じる必要がある。
使い勝手があまりにも悪いため、干渉魔術は廃れていた。扱うもの、いや、扱おうとするものがほとんどいなくなったのだ。それでもなくなりはしていない。うまく使えば被術者に術をかけられているという自覚を与えずに、意に反する行動を取らせることができる。
帝国兵は恐怖と混乱で統率を欠いていた。そんな中、指揮官クラスの騎兵が命令を発した。
「退け! 一旦退いて主力と合流する! 急げ!」
これで箍が外れた。方々で「逃げろ!」と叫ぶ声が聞こえる。それに背中を押されるように、帝国兵は我先にと退却を始めた。
千人単位の部隊を優勢にも関わらず混乱させ、退却するに至らしめたのは、二十名に満たない『傀儡』だった。アヌシュカは干渉魔術を専門に扱う魔術師ではない。『傀儡』を作るため、実に数ヶ月を費やした。今も命令の実行のための魔術行使で、魔力を限界まで使っている。二十名が限度だった。だが、たったそれだけの人数で騎馬隊を退却させることができた。恐怖と疑心の伝播は速い。人は理解できないものや危険と感じたものには敏感だ。そこから逃れようとする本能が働く。少人数でも、小規模でも、パニックを起こすことで、それは大きく広がっていく。「退け」と命令した指揮官は『傀儡』だったが、続いて「逃げろ」と叫んだのは恐怖に駆られた一般の兵士達だった。フェルディナントの策は成功した。『傀儡』は無自覚に、その策に協力したのだった。
公国軍は何が起こったのかわからないまま、帝国兵が逃げる様を見送っていたが、後方からシャバネル公爵が追撃の号令を発したことを受け、体勢を整えて追撃を開始した――。
――再びカノヴィス平原南東。
公国軍別働隊が陣を敷く丘の北東方面では激しい戦闘が行われていた。その丘の南側に面した森の奥にグスタ率いる小隊が潜んでいた。公国軍の斥候や使い魔と思しき小動物を警戒しつつ、丘に向かって徐々に距離を詰めていた。
「頃合か」グスタは斧槍を掲げ、それを前方に振るった。
呼応するように左右二手に分かれて小隊が走り出す。グスタも巨躯を駆る。先行した小隊をあっという間に抜き去り、森を抜けた。後方を警戒していた公国軍――ベルジュラック隊の守備兵に向かって斧槍を薙ぐ。一薙ぎで五人が、空に舞った。グスタの眼が鋭く光る。どこだ。あの女は、どこにいる。迫り来る守備兵に眼もくれず、それらを飛び越えるように魔術部隊に襲い掛かった――。
丘の北東側で戦闘中のクラウディアは、異変に気付いていない。その場所からでは、味方の兵や丘の斜面で阻まれて丘の南側の状況を見ることはできない。そちらの異変を知らせる音も、戦闘の騒音でかき消されていた。
既に切り伏せた帝国兵は三桁を超えた。クラウディアを避けるように戦う帝国兵を追いながらであったため、時間と体力を消耗していた。それでも気力は衰えない。
帝国兵の攻撃の勢いが緩んだ。丘の上を窺うように歩みを止めた。不審に思ったその時、正面から突き進む騎士の姿を、クラウディアは捉えた。十字型の鍔を持つ、両刃の剣。その騎士は、クラウディアの手前で疾走を止めた。
「クルト、……ザカ!」
クラウディアは怒りを宿した瞳でその人物を見た。と同時に「まさか……」不吉な予感を抱いた。
「降伏しろ。グスタ将軍は君たちの背後に回った。魔術部隊が全滅するのも時間の問題だ」冷ややかにクルトはそう告げた。
思考が、弾けた。
目の前の空中に斬撃を刻むと、クラウディアはクルト目掛けて弾け跳んだ――。
誤字・脱字、矛盾点等々、お気づきの箇所がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。
また、よりよい作品作りに向けての参考とさせていただきたく考えておりますので、ご意見、ご感想もお気軽にお寄せ下さい。メッセージにて個別でも構いません。
ブログもやってます。
キャラクター紹介や世界設定など徐々に載せていきます。また改版前のものもログとして残してあります。その他、小説に関する雑記やら綴っていますので、お時間があるときにでもお立ち寄りいただけますと幸いです。
http://sumimorisai.blog47.fc2.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
参加ランキングとか相互リンクとか
------------------
もしよろしければ投票をお願い致します。

NEWVEL様は月一回、HONなび様は一日一回の投票を受け付けています。