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蝉は鳴く
作:夕焼け



PM0:25 いつだったかどこだったかで買った古着のシャツを2枚重ねて羽織り、
メーカーも分からない裾が窄まってるブラックデニムをはいて家を出る。
靴はアディダスのなんかペタっとした赤い奴。

暑い。
どう考えてもシャツを2枚羽織ったのは間違いだった。
こんな晴れた暑い日にブラックデニムを選ぶのもどうかしてる。
ベルトをジャラジャラつけてるせいで、
それが太ももにペシペシあたって実に不愉快だ。

蝉が鳴いている。
ああもううるさい。
いらいらする。
腹が減ってるせいだ。
きっと。

コンビニに着く。
訳の分からない格好をした
わけの分からない若者であふれかえっている。
お昼時だからだ。
ああ、本当にもう、
全員並べて縛ってベネッセビルの屋上から放り投げたい。

糞だ糞だ。
もう糞ばっかりだ。
なんなんだこの世界は。
うざい馬鹿ばっかりだ。
いらいらする。
なんでおばさんおにぎり一個しか入ってないかごもって
通路の真ん中に突っ立ってんだ。
弾き飛ばされたいのかババア。
マジ邪魔だ。

食パンとジャムを手に取り、レジに向かう。
俺の目の前には家族連れが並んでる。
買い物籠にすっぽり入った赤ちゃんが
「ヴぁああ」といって女の店員さんに品物を一個ずつ差し出す。


その様を見て家族連れのみんなの顔がほころんでる。
店員さんも微笑む。
俺も何故か微笑む。
あきらかに俺が笑顔なのは不自然だし、
恥ずかしいからこらえたかったけれど、
こらえきれず笑顔になってしまう。


子供は素敵だ。

彼らは笑顔をつれてくる。

何の理由も根拠もない世界から、

何の論拠も後ろ盾もない笑顔をつれてくる。

そしてそういう笑顔は

俺のむっつり顔だって一瞬にしてぶっさいくな笑顔にしてしまう。

やつらはすげえわ。

素直にそう思った。






彼らは一体どの地点で
その「根拠もない、理不尽なまでの素直な笑顔」を失うのだろう。



なぜ失わなければならないのだろう。
きっとぼくらが彼らに「つまらないこと」を教えてしまうからだ。
かれらはそれを学習し、
やがて笑うことに理由と根拠を求めるようになる。

彼らの笑顔は世界を揺るがすほどの絶対性を失う。





糞だ糞だ。
もう糞ばっかりだ。
なんなんだこの世界は。
うざい馬鹿ばっかりだ。
いらいらする。
蝉が鳴いている。
ああもううるさい。
いらいらする。
腹が減ってるせいだ。
きっと。
ああ、本当にもう、
全員並べて縛ってベネッセビルの屋上から放り投げたい。
糞だ糞だ。
もう糞ばっかりだ。
蝉が鳴いている。









そうだ、蝉が鳴いている。







今日もどこかで無垢な笑顔は失われる。
糞な奴らが汚しちまう。
糞な俺が汚しちまう。


本当は分かってるんだよ。
俺達が間違ってる。






おいボウズ。
俺が今から超いい事言うから鼻の穴かっぽじってよく聞け。











お前の笑顔がこの世で一番正しい。













つまり言いたいのはこういうことだ。














子育てって大変ね。

うはっwwwwっをkwwwwwwwwwwwwwwww











追記


なあお袋、これみてるか?
なんてね。

見てないの知っててあえて書くけど、
なんだかんだいってあんたを尊敬してる。
あんたの子供でよかったと思うよ。
いや、ジョーダンじゃなくてさ。



だから今度帰る時、ちゃんと寿司用意しとくように。














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