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異世界に来たけど戦いません。 作者:カッパ永久寺

真・北の荒城編

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16.十人十色の魔女(デカラフルウィッチ)

 エキドナからあらかたサバトのことについて話を聞いたのだが……その話はテラスさんから聞いた話とあまり変わりのないものだった。
「あ、あと、サバト様はお菓子はザッハトルテが好きで……」
 エキドナはキメラことマカロンちゃんの喉に手を当て鉛を吐きださせている。初めのうち衰弱していた体もどこか落ち着きを取り戻しているようだ。
「大した収穫はなしか。サバトは強い魔女で、さらなる強さを求めるため魔王復活をもくろんでいる。そのおこぼれをもらう為かわからんが、お前みたいな魔女が寄せ集まっているってわけか」
「そうだ。ちなみに私はこのマカロンちゃんを不死身にするためにサバト会に入ったのだが……。お前たちに倒されて私は考えを改めたよ。マカロンちゃんは、私自身の手で不死身の怪物に育て上げると! ありがとうよお前たち、私を思い起こさせてくれて!」
 エキドナはどこか機嫌のいい感じで言っている。こちらとしては、攻撃してこないなら何の問題もないものだし、エキドナをそのまま上機嫌にさせておくのが上策だ。
「まぁ、サバトのことはこれ以上情報はないか。じゃあエキドナ、魔王復活は36階の魔王の祭壇にて行われるみたいだが、それまでの、33階から35階の部屋にも、お前みたいなサバトの手下がいるのか」
「ああ……。私より上の三つの階には……たしか『十人十色の魔女デカラフルウィッチ』がいるようだが……」
「でからふるうぃっち? なんだそれは?」
「何だお前たち、十人十色の魔女デカラフルウィッチを知らなかったのか?」
 と当たり前のことだと言わんばかりに、疑問を投げかけるエキドナ。
十人十色の魔女デカラフルウィッチは……十大魔法属性それぞれの属性において『一番能力のある魔女』が授けられる称号、またはその称号をもつ魔女の集団――のことだ。魔法の十の属性一つずつに対して、能力の最も長けたものが『十人十色の魔女デカラフルウィッチ』となれるのだ」
「なるほどな。その十人十色の魔女デカラフルウィッチってのは、十の属性おのおのの『最強』が得る称号みたいなものなのか。その十人十色の魔女デカラフルウィッチの……3つの階ということは、3人がいるってことなのか」
「おそらくな」
 そう言いながらエキドナはマカロンちゃんを介抱している。
「その3人の魔女のことについて、お前はなにか知らないのか?」
「いや……実は、私も詳しいことは聞かされていないんだよ。十人十色の魔女の正体っていうのは魔女の世界でも秘密にされているものだから、だれがサバト会に入っているかまるでわからんのだ」
「その十人十色の魔女の一人に、サバトも入っているのか」
「もちろんだとも。あと……『死屍トート』の魔女、プルー・アーロンも十人十色の魔女デカラフルウィッチの一人だったと思うのだが、サバト会には入っていなかったかな」
「プルー・アーロンって……」
 どこかで聞いたことのある魔女の名前だが。
「プルー? ああ先輩! それってあのホネホネの館にいたぼっち魔女ですよ!」
「ああ。俺たちが倒したあいつか。あいつが十人十色の魔女デカラフルウィッチだったのか」
 十人十色の魔女デカラフルウィッチ、なんだか大層な肩書であるが、俺たちはその魔女の一人をあっさりとまでは行かずとも、一応一人倒しているのである。
「ここから先の階は十人十色の魔女デカラフルウィッチが足止めをしていると思う。お前たちの身を案じるのはおかしな話だが、命が惜しいのなら引き下がったほうがいいぞ」
 エキドナはマカロンちゃんのこともあってかどこか自信を無くしたような弱弱しい声になっていた。
「いや、俺たちは階を進んでいくまでさ。俺たちは何としても魔王復活を阻止しなければならないからな」
「そうですよ! 魔王復活を阻止しないとこの世界が暗黒の世になっちゃいますよ!」
 俺の場合は、ただ金のために頑張っているだけなのだが。
「とにかくエキドナ、いろいろ話を聞かしてありがとうな。そこのマカロンちゃんを傷つけてしまってすまなかった」
「何を言うか。お前たちが手心を加えてくれたおかげで、私のマカロンちゃんは生き延びられたんだ。私は魔王が復活しようがどうでもいいが、とにかく頑張って来るんだぞ」
「言われなくても魔王復活は止めてくるさ」
「じゅーにんといろだかなんだか知りませんが、頑張りますよ! 魔女なんて私たちの手にかかればイチコロですよ!」
 ユーカの威勢のいい声のあと、俺たちは次の階に続く階段を上っていく。
 エキドナから聞いた『十人十色の魔女デカラフルウィッチ』の話。それはテラスさんが一言も口にしなった単語だ。テラスさんが話す必要がないと思って話していなかったのか、それとも意図的に話すのを避けていたのか……
 それよりテラスさんはいったいどこに行ったのか。
 まぁ、俺たちは俺たちで前に進んでいくのみだ。後ろを振り返っている暇はない。
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