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異世界に来たけど戦いません。 作者:カッパ永久寺

真・北の荒城編

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9.魔女協会都市(ウィザードコミューン) 其の肆

 居住区の奥にあった階段を上って次の階へと向かう。
 次の階も迷路状の入り組んだところとなっていて、俺たちはテラスさんのあとをはぐれぬようついていく。
「ここはいろいろトラップがあるから注意してねぇ~」
 そう喚起するテラスさんにユーカはなぜか満面の笑みで応える。
「安心してください! 私にかかればトラップごときおちゃのこさんさい!」
「あぁ、そこの足場を踏んじゃだめだわぁ」
「え?」
 と声を漏らすユーカの元に光の槍が横から一直線に飛来した。
「きぃえええええええええええええ!」
 ユーカは飛んできた光の槍を反射的にかわして間一髪で逃れた。
「残念だったなユーカ、もう少しで当たるところだったのに」
「ざ、残念だったなって先輩ニホンゴがおかしいですよ! まるで私が串刺しになったほうが面白いと言っているようじゃないですか」
「実際面白そうじゃないか」
「もう先輩はぁ! こうなったら全部のトラップをぶっ壊してやるー!」
「ああぁ、そこはぁだめぇ~」
 テラスさんの声を聞かず、ユーカは突き進む。するとユーカが目の前にパカンと床が割れてできた落とし穴にはまる。
「ぎゃああああああああ!」
 ユーカは一階へと落とされた。どすんという重い音が聞こえる。
「ユーカ、やっぱりお前には謎解きというものが似合わないようだな」
「くそぉ! なんでこんなことになるんだぁ!」
「俺たちは先に行っておくから、ユーカはそこで昼寝でもしていろ」
「そ、そんな! 先輩私をほうっていかないでぇ!」
「さ、テラスさん、あんな足手まといは放っておいて先に進みましょう」
「えぇ~。いいんですかぁ~」
「いいんですよ。あいつにかまっていたら全部のトラップを踏んでしまいますから」
「それもそうねぇ。じゃあ行きましょうかぁ」
 というわけでユーカを置いて俺はテラスさんとともに往く。
「あぁ~。先輩がまた美人な女の人にうつつを抜かしている! またファナさんみたいなことになっても知りませんよ」穴の下からユーカが叫んでいる。
「何を言うか。テラスさんは裏表のない人だ。この人がなにか隠しているなんてことありえない」
「先輩はそうやってなんやかんや美人に弱いんですから!」
「お前はせいぜいそこで叫んでいろ。俺たちは先に進むぞ」
「ああ先輩! おいていかないでぇ!」
 ユーカの空けた落とし穴の脇を通り進んでいく。
「少年くん、ここはまっすぐ行って右に行って左に行って左に行って右に行って三歩ほど直進してそこから一歩ぶんジャンプして左に行って右に行って直進すればいいから、気を付けてね」
「はい」
 俺はテラスさんの言われた通り正面の通路を進んでいく。テラスさんに続くように歩いていくと次の階に続く階段があった。
「これで次の階に進めますね」
「そうねぇ~。それじゃあ次の階に進みましょうかぁ」
 俺とテラスさんが並んで階段の段へと足を伸ばそうとしたところ、
「待てぇ! 御用だ御用だぁ!」
 後ろから威勢のいい声が聞こえてきた。これは言わずもがなのユーカの声だ。
「私を置いて行こうなんてお天道様が許しても、私が許しませんよ!」
「ユーカ、お前来ていたのか」
 ユーカはかなりズタボロの状態になっている。
「あの通路のトラップをなんとかかわしながら通ってやりましたよ!」
「交わしたというより、全身で受けとめていたように見えるのは俺の目の錯覚か?」
 その容姿を見るからに、光の槍をいくらか体に受けたように見える。しかしユーカは霊長類最強なので、それくらいの怪我はかすり傷のようなものである。
「あらあら、剣士ちゃん、ずいぶん傷だらけじゃないの。どれどれ」
「わわわっ! て、テラスさん、わ、私に一体何をしようと!」
 テラスさんはユーカのカラダをなめまわすように眺めている。
「ちょぉおおおおっと待っててねぇ。あなたの傷を魔法で治してあげるからぁ」
「ま、魔法ですか!?」
 そう言うとテラスさんはユーカのカラダに手のひらを突き出していく。そのテラスさんの手のひらがおもむろに光り輝いた。
「治癒【エイド】」
 その白い光を受けたユーカの傷だらけの身体は……しだいに傷が、まるで動画の逆再生のようになくなっていき、ユーカの身体は無傷の身体に戻った。
「わわぁ! これがケアルというやつですか! テラスさんは“しろまどうし”だったんですか! ありがとうございますテラスさん」
「これくらいどうってことないわぁ。剣士ちゃんはこれから頑張ってもらわないといけないから、頑張ってね」
「はぁーい! 頑張りまーす!」
「今度はトラップを踏まないようついてくるんだぞ」
「がってんしょうちです!」
 俺たちは3人階段を上って次の階へと向かって行く。
 まだまだ塔の下層だ。前途多難であるが、なんとか進んでいかないといけない。
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