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異世界に来たけど戦いません。 作者:カッパ永久寺

北の荒城編

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22.オークとの戦い 其の弐

「しかし、歩くのは疲れるな」
 しばらく歩いて、ユーカとオークの姿が見えなくなったぐらい。
「ユーカのやつ、よろしくやってるかな。もしかしたら倒されてるかな」
「待ってぇええええええ!」
 どどどとと土ぼこりを舞わせながらユーカが彼方むこうからかけてきた。
 そして俺の目の前で停止。
「先輩私を放って勝手に行かないでくださいよ!」
「勝手も何も、今回の俺の策は逃走だったからな」
「と、逃走って……せめて私を連れて逃走してくださいよ!」
「だってお前がちょうどあのオークを足止めさせてくれてたからな。ラッキーと思って」
「私はアンラッキーです!」
 ユーカはふんふん鼻息を出して怒っている。
「まぁ、あのオークはいなくなったことだし、結果オーライという」
 どしんどしんと。後方からオークがやってきた。
「おいユーカ。お前はオークを倒していなかったのか」
「だって先輩が勝手に逃げるから付いてきたんですよ!」
「実戦担当のくせに役立たずめ。せっかく一難去ったと思ったのに。面倒事を引き連れてきやがって」
 そうこうしているうちにあの汚い顔のオークが目の前に来ていた。
「わっ! 先輩! 早く逃げないと危ないですよ!」
「安心しろ。こんなこともあろうかと策は練ってある」
「お! さすが先輩! 今日はどんな卑怯な手を使うんですか!」
「卑怯で結構。『兵は詭道なり』だ。卑怯でも勝てば正義なんだからな。今回使うのはこのバナナだ」
「えっ、バナナ? なんでバナナ?」
「近頃政治的な問題でフィリピンバナナが安く日本に入ってくるみたいだな。うん、バナナってうまいな」
「いや先輩バナナ食べてる場合じゃないって……ん、まさかまさか先輩、策っていうのはもしやもしやもしや」
 俺はバナナの皮を地面に投げた。
「このバナナの皮でオークをこけさせる!」
「マリォカートかよ!」
 歩いてくるオークは、見た目通りの低能だからなのか、足元のバナナの皮にちっとも気づかず、それを踏んで、見事に後ろへ倒れた。
「うわぉ、ホントに見事に倒れましたね。コントみたいに……」
「あのオークは巨体だからな。巨体ということはその分重さがあるんだ。その重い体が倒れたんだから、相当のダメージを受けたはずだ」
 オークは倒れて、体が麻痺していた。仰向けの状態で、体をぴくぴくさせた。
「でも先輩、体の麻痺はしばらくしたら治っちゃうんじゃないですか? なんかこのオークタフそうだし」
「ああ。だから今のうちにもう一つ策を使おうと思うんだ?」
「もう一つ?」
「このオークは知能がないらしいからな。そこを突いてやれば楽勝なんだよ」
 俺は倒れるオークの頭にすばやく近づき、そして、ポケットから一つの布きれを取り出して、それをオークの目が隠れるように、アイマスクのように頭の後ろから目の位置まで回して結ぶ。これでオークの目は塞がれた。
「え? それだけでいいんですか」
「ああ。これでオークの目は奪われた」
「でもそんなんじゃ布を取られたら終わりじゃないですか?」
「このオークは知能がないからな。布で目を塞がれたという考えにおそらく達しないだろう。突然世界が暗闇になったと錯覚するんじゃないかと思うんだ」
「ほー。なるほど」
「目が塞がれたんなら、あとは音を消してこの場を離れれば、オークに感づかれることなくこの場を去ることができるというわけだ。さぁユーカ。抜き足差し足忍び足でこの場を去るぞ」
「はい! 目指せ北の荒城!」
 俺とユーカはゆっくりと音を立てずに、オークから離れていった。
 おそらく今頃オークは、真っ暗闇に閉ざされて、混乱していることだろう。
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