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異世界に来たけど戦いません。 作者:カッパ永久寺

北の荒城編

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7.ゴートゥーベッド

 宿屋に着き、二階の自分たちの部屋へと入っていく。
 ユーカははしゃぎながらベッドにダイブした。
「さーてさっそく買ってきた漫画でも読みましょーか! って、その前に!」
「なんだユーカ。もう夕食が待ち遠しいのか」
「宿に戻ったんですから、さっそくこれに着替えますよ!」
 ユーカは漫画本と木刀をベッド脇の棚へと乱雑に置くと、携えていた紙袋をベッドの上に置く。その紙袋の中から、白い夏用のセーラー服を取り出した。
「ああ、そういやそれを買ったんだったな。じゃあ着替えろよ」
「はーい!」
 そういうとユーカはベッドの向かいのタンスから、大きなカーテンを取り出した。
 ユーカが紙袋を置いたベッド(ユーカが昨晩寝ていたベッド)と、俺が今座っているベッド(俺が昨晩眠っていたベッド)の間に、そのカーテンの両端と、部屋の両サイドの壁の上の梁がある部分とを括り付けて、カーテンの壁を作り上げた。カーテンは透明度の低い色で向こうの情景はシルエットぐらいしか見えない。
「というわけで先輩私着替えますからこのカーテンを開けちゃだめですよ!」
 カーテンの向こうのユーカが着替えを始める。俺は慌てることなく、とりあえず後ろを向く。
 俺はユーカになんかに発情するわけがないので、反対方向を向いてベッドで眠ってユーカの着替えを待った。
「先輩着替え終わりましたよー!」
 と着替え終わったユーカがカーテンを乱暴に取り除いて現れる。
 そこには久しぶりに見るセーラー服姿のユーカがあった。なぜか懐かしい感じがした。
「どうです、似合いますか先輩!」
「ああ。なんかお前は制服の格好の方がしっくりくるな。富士に月見草がよく似合うように、似合っているぞ」
「そ、そーなんすか! あ、それでそのー、私のセーラー服姿を見て、先輩は、かわいいーとか、萌えるーとか、そういう感想はございませんか?」
「……俺はセーラー服マニアのおっさんか」
 セーラー服を購入する際の騒動の中、ユーカの中の俺のイメージがまたも曲解されてしまったようだ。まったくバカなやつは曲解ばかりする。
「せ、先輩! なにか感想はないんですか! ほら、このヒラヒラとかそそりませんか!」
「そうだな……お前のその容姿を芸能人で例えるなら……」
「ほほう! 芸能人で例えるとどんなアイドルなんですか!」
「イモトアヤコだな」
「なんでよりによってその人!」
 だってセーラー服着ているし、雰囲気が似てるし。
「ぎゃー! 私は世界を駆け巡る珍獣ハンターじゃない! 私はヤマザキホウセイな女の子なの!」
「品行方正と言いたいのか。お前にはその四文字熟語は一生似合わないだろうな」
「うぉおおおおお! いつか大人になったら先輩がソットウするような美人になってやりますから! 覚悟してくださいよ!」
「へいへい。俺が卒倒するのは自分の株が暴落するときだけだ」
 実のところ、元の世界で100株買っていた**ホールディングスの株価が気になって気になってしょうがなかった。その株価を知るためにも、早く元の世界に戻らなければならない。
「まったくもー、先輩はよくわからない人ですねー。えーと、女の子が出てくる“びしょうじょげーむ”はちゃっかりプレイしているくせに、現実の女の子については、お金が絡んでこない限り興味を示さないんですから……」
「現実の女なんてただの金食い虫だ。利益がなきゃなんの価値もない」
「てめーそれファナさんの前でも同じこと言えんのか!」
「それは言え……」なんか断言できなかった。
「なんでそこは言いきらないの! 私の前ではズバズバ言うのに!」
「まぁユーカ。好みと価値観は人それぞれ、千差万別だ。それを突っ込んだらキリがないんだよ」
「まーそーなんでしょうけど……。はぁ~……」
 ユーカはため息をつきながら、ベッドにどっかりと座りこんだ。
 あぐらをかいて。品行方正のひの字もないじゃないか。
「ユーカ、老婆心ながら言いたいが」
「ん? なんですか先輩」
「パンツ見えてるぞ」
「ぎやぁああああああああああ!」
 ユーカはスカートを押さえて股を押さえる。あぐらをかいた足を変形トランスフォームさせて女の子座りとなる。
「このセーラー服スカートが短すぎる! 先輩に見られたぁあ!」
「パンツ見せたぐらいで何を叫んでいるんだ。俺は本読むから静かにしといてくれ」
「せーんーぱーいー! 責任取ってくださーい!」
 一体何の責任を取れと言うんだ。もとはと言えば自分がスカートであるのにあぐらをかいて坐るからだ。俺はなんにも悪くない。
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