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異世界に来たけど戦いません。 作者:カッパ永久寺

北の荒城編

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5.街の人形劇 下

 1時間後、人形劇は最終章あたりに差し掛かっていた。
 勇者ウルスラとその仲間(黒づくめの魔女とハチマキした盗賊と白い布を纏った神官)が魔王オルフィリウスが住まう『北の荒城』に到着していた。
 荒城に着いた勇者ご一行は魔王の手下である四天王を倒して、ついに最上階の『魔王の祭壇』に到着したようだ。
「魔王の祭壇に到着した一行は、魔王と対峙し、魔王と戦うことになりました」
 ついに魔王との対決。勇者ご一行の前に、歴代のRPGのラスボスの平均値みたいなよくある魔王の姿の人形が現れていた。容姿を簡単に説明すると、ムラサキ色した、オランウータンを直立させ、マント付けさせたような奴である。あと頭に角が二本生えている。
「あー、ああいうラスボスのときって、回復アイテムをいつ使っちゃおうかどうかすごくなやみますよねー。アイテムが切れたら頭が真っ白になっちゃいますし」
 俺の友人には『アイテムを一切買わず』にゲームをクリアーしてしまう、すごいのかズボラなのかケチなのかよくわからないやつがいるものだが。
 魔王の前に謎の球体? みたいなのがおもむろに現れて、そこからワーウルフや、一つ目の怪物や、豚のゴブリンなどがぞろぞろと現れる。勇者たちがそれと戦っている間にも、その球体から紫色した光の柱(紙風船を膨らませて演出している)が放出され、それを仲間たちが受けて倒れる。
「勇者ウルスラとその仲間たちは果敢に魔王に立ち向かいましたが、勇者と仲間たちは魔王の“無限の力”によって生成される魔物、強大な力によってなすすべなく倒れてしまいました」
 あの球体が魔王の『無限の力』ということか。そんな熱力学第一、もしくは第二法則を無視した機関が存在するわけがないと思われる。あくまで“お話”の中の話なんだろう。
 勇者とその仲間が魔王の力になすすべなく倒れている情景を目にし、子供たちはどよめいていた。
「しかし、勇者はあきらめませんでした。勇者のあきらめない心は力となり、勇者の身体は光り輝きました」
 主人公が覚醒――という、よくある展開である。
「勇者は己に内在していた白の“無限の力”――白の特異点【ホワイトホール】を発動させ、魔王を無限の力によって、亜空間へと封じようとしました」
 勇者ウルスラが手をかざすと、その前に白い球が現れる。その白い球はおどろきの吸引力で魔物を吸い込み、そして紫の光の柱をも吸収する。
「魔王は白の特異点【ホワイトホール】によって、他の魔物と共に亜空間へと吸い込まれそうになりました」
 「オノレェエエ!」と魔王オルフィリウスが叫びながら白い球へと引き寄せられていく。その時、魔王は勇者に対して掌を突き出した。
 するとそこからさきほどの黒い球が現れる。
「魔王は掌を突出し、己の“無限の力”――黒の特異点【ブラックホール】を展開し、自分を吸い込もうとする勇者を逆に吸い込んでやろうとしました」
 両者の前には白と黒の球が。二つは引き合い、それを発動させる両者も磁石のように引き合う。
 突然、背景が真っ白になる。
「黒と白、二つの無限の力が衝突したとき、強大な光があたりを包みました」
 そして、二つの人形が消滅した。
「魔王と勇者は、両者とも“彼岸の世界【イデア】”へと飛ばされ、この地から消えてしまいました。魔王は、勇者の犠牲によって、この地から消え失せたのです!」
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