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超Q探偵 作者:赤瀬紅司
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9.『薔薇』 9-1

「メイヤ君。なんでもいいから花束を見繕ってきてくれないかな」
「へっ? 花束、ですか?」
「うん。花束だ」

 事務所のデスクに着き、例によって二日前の新聞を読んでいる私と、二人掛けのソファで仰向けに寝転がっているメイヤ君との間で交わされた会話である。

「急に花束だなんて、どういうおつもりですか?」メイヤ君がソファの上で、ぴょこんと起き上がった。「まさかわたしへのプレゼントですか?」
「君へのプレゼントなら、君に買って来いだなんて言わないよ」私は新聞を折り畳み、それをデスクに置いた。「というより、君は花より団子だろう?」
「うわー、ヒドい言い方です。たまには花だっていいですよぅ。花をいただいたって喜びますよぅ。だって女のコなんですからぁ」
「とにかく、君への贈り物じゃないよ」
「非常に残念でーす」
「そうかい?」
「もう一度うかがいますけれど、花束だなんて、どういうことなんですか?」
「どうもこうもないよ。贈りたい相手がいる。それだけだよ」
「贈りたい相手って、男性ではありませんよね?」
「そりゃあね」
「だったらわたし、かなり嫉妬します」
「どうしてだい?」
「だってマオさんはわたしのモノだからです」
「初耳だ」
「嘘ですよ、それ。わたしってばことあるごとにマオさんへの愛情を示しているじゃありませんか」
「そうなのかい?」
「そうですよ。鈍いんだから、まったくもう」
「まあ、いいから、買ってきてくれないかな。君が嫌だと言うのなら、私が買ってくるけれど」
「いいですよ。おつかいくらい行ってきます。ただし、花束をどなたかにお渡しされる際には、わたしもその場に居合わせますからね?」
「いいよ。そういうことでかまわない」
「えっ、かまわないんですか?」
「かまわないよ」
「浮気相手にわたしを引き合わせてもかまわないってことですか?」
「誰が浮気だなんて言ったんだい」
「むぅ。浮気ではないのですか…」
「とりあえず、買ってきてもらえるかな」
「わたし好みのすっごく派手なのを買ってきますよ?」
「それでいい」
「変なマオさーん」
「かもしれないね」

 メイヤ君がソファの前のテーブルに置いてあった茶色いボルサリーノを頭にのせた。立ち上がり、近づいてくる。私は懐から財布を取り出し、紙幣をデスクに置いた。

「えっ、ちょっとお金、多くないですか?」
「金に糸目はつけないよ」
「ケチな花束を買って、残りはお小遣いとして頂戴しちゃうかもしれませんよ?」
「その点は君に一任する」
「本当に、一体、誰に花束を差し上げるのですか?」
「誰だろうね。まあ、買ってきなさい」
「しょうがないですね。わかりましたーっ」
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