予想以上に吐き気をもよおす醜態
公園に集まってきた人々は、いきなり信じがたい光景を見せつけられ、瞬間、その場で凍り付いた。
グホォ! グホォ!! グホォー!!!
ギェェ! ギェェ!! ギェェー!!!
ツンドラ候は、背後から渾身の力を込め、自らの△△△をブライアンの○○○に…… いや、これ以上は止めておこう。とにかく、このゴリラとイボイノシシ……ではなく、ツンドラ候とブライアンの×××の様子は、とても言葉で表現できるような(ある意味、やおい的世界観に見られるような、ほのぼのとした)ものではなかった。
しかも、この2匹の野獣……ではなく、このふたりは、多くの市民から丸見えになっていることには気付かず、一心不乱に×××を続けている。
やがて、人々はショックから我に返り、
「あっ、あれは、なんだぁ!」
「ちょっと、男同士で、不潔よ! あの人たち、誰なの?!」
「あの小さい方は、見覚えがあるぞ! ブライアンだ!! 市長選の候補者だ!!!」
等々と、ツンドラ候とブライアンを指さし、口々に声を上げた。「ブライアンが恥ずかしいことを」という話は、迅速に(まるでドミノを倒すように)、少々遅れて公園に集まってきた人々にも伝わり、あちこちから、笑い声や悲鳴や怒号が漏れた。
ブライアンは、ここに至ってようやく気付いたのか、目を大きく見開いて周囲を見回している。でも、既に手遅れで、自らの恥ずかしい姿は、バイソン市の市民の目にしっかりと焼き付いていた。
「ちっ、違う! これは、何かの間違い!!」
ブライアンは、×××されながら、泣きそうな声を上げた。でも、今更、何を言っても無駄。彼の評判はガタ落ちで、おそらく、政治生命も完全に絶たれるだろう。
ところが、ツンドラ候……いや、ゴリラ……ではなく、やっぱりツンドラ候は、
グホォ! グホォ! ゲホォー! ゲボォォー!! ゲボォォォーー!!!
周囲が見えていないのか、事態を理解できないのか、さらに激しく×××を……
とりあえず、お下劣な話は、以上にしよう。これだけ破廉恥ぶりをさらせば、今回の選挙はアイアンホースの勝利だろう。これも、ダーク・エルフたちが手伝ってくれたおかげ。お礼を言おうと思って、クラウディアに顔を向けると、彼女は顔面蒼白の状態で口を押さえ、
「始まる前は、馬鹿……、いえ、面白い趣向と思ったのですが…… でも、さすがにこれは……、当初の予想をはるかに超え、なんとも……、オエップ……」
その傍らにいたガイウスも、気持ち悪そうに咳き込んで、
「ひどいね。久々に腹の底から大笑いできるかと思ったが、これは、あまりにも……」
他のダーク・エルフたちも同様に、始まる前とは違って、気分が悪そうにしている。エルフには、生来的に、醜いものへの免疫が備わっていないようだ。