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狂い咲く花のように
作:三三



眠りを求めて


眠れない苛立ちは、どこにもぶつけようがないので、厄介である。

子供の頃、よく鼻がつまっては眠れなくなった。

風邪をひいた時はもちろん、季節の変わりめや、雨の日は必ずつまる。

そして未だによく分からないだのが、旅行や親戚の家などに泊まったりして、布団が変わるとつまるのである。

一体どんな仕組みになっているのか、横になると待ってましたとばかりに片方の鼻の通りが悪くなる。
その度に起き上がってみたり、跳びはねてみたり、首を激しく振ってみたりするのだが徒労に終わる。

そんな必死な私をもし他人が見たら、きっと頭がおかしい子なのだと思うに違いない。

不思議なことに、つまった方を上にして横向きになると、今度は下がつまるのだ。
つまる穴が入れ代わるだけで何の解決にもならない。

もう嫌だとジタバタしながら仰向けになると、見事に両方つまる。

「神様、お願いします。息がしたい。眠りたいです!」

暗闇の中、布団の上で正座をし、両手を合わせて本気で祈っていた。

「鼻がつまった!」
と半泣き状態で訴える私に、両親もまた途方にくれていたのだと思う。
ある日、鼻うがいという方法を教えてくれたのだ。

普段は冷静な父親が実践して見せてくれた方法とは、大きめのコップにぬるま湯と塩を入れ、鼻から吸って口から出すのである。

まだ慣れていないせいか、咳き込む父の姿に
「なんか、かっこわるいし、汚い」
と思ったが、母も同じようにやって見せ笑顔で
「ほら、簡単でしょ」と言われると、親心を無下にしてはいけないという思いと、苦しみから逃れたい一心で挑戦してみたのだ。

しかし、これまたお湯の温度と塩分の量を間違えると、とんでもないことになるのだ。

ズズっと吸い込んだ瞬間、激しい痛みが脳天を突き抜ける。
何度か失敗を繰り返しながら、やっと「オリジナル鼻うがい液」を完成させたのだ。

基本的には、口内の温度と同じぬるま湯に、ちょっと汚いが鼻水と同じ塩分がお勧め。

しかし、これだけ努力しても横になるとまた、つまるのだ。

さすがにぐったりした私は、そこでやっと眠りにつけるのであった。

いつの間にか大人になると鼻づまりはなくなったが、風邪をひくと時々鼻うがいをしたくなる。

夜中に親子で奮闘した日を思い出すと、想われていたのだと感じるのだ。

そして、ただ安眠を求めていた子供時代に「幸せってお金じゃない」
と学んだ気がする。












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