外伝11:ある邪神の嘲笑
『資格者「アンリ」の信仰と恐怖が一定量を超えました』
『種族が「人族」から「神族」に変更されました』
『職業が「魔導士」から「管理者」に変更されました』
『称号「邪神の御子」が「戦慄の邪神」にクラスアップしました』
『称号「第三管理者」を獲得しました』
『スキル「アドミニストレーション」を取得しました』
「へぇ、まさかここまで早く芽が出るとは思わなかったよ」
つい先日送り込んだばかりの存在が早くも神格者へと転生したことを映像越しに見ながら、笑う。
元々は単なる暇潰しだった。いや、それは今でも本質的には変わっていない。
創作を元にした下位世界の一つで、宙に浮いた状態になっている信仰を偶然見掛けたのが切っ掛けだった。同系統の信仰であった為に自分で喰らうことも考えたが、ふとした思い付きで器になれそうな者を送り込んで、どうなるかを眺めてみることにした。上手くすれば新たな眷属が一柱誕生し、失敗したところで別に大した損は無い。
「過程もなかなか愉しかったし、人族のままで送り込んで正解だったね」
使徒にして送り込めばもっと手早く信仰を集められたかも知れないが、そうなる過程も含めて娯楽として愉しむ為に敢えて人族のままでスキルだけを詰め込んでみた。正直、魂が崩壊しないのがおかしいくらいの無茶な詰め込み方だったが、そこは素材が良かったと言えるだろう。
上位世界であの少女を見付けた時は思わず感嘆したものだ。人でありながら僕らに近しい目を持つ存在などそうはいない。
「新たな管理者が誕生した以上、他の神格者も黙ってはいないだろう。
これからどうなるか、実に興味深い」
あの世界には元々二柱の管理者が居る。
新たな管理者が誕生したことは、直に彼らも知るところとなるだろう。いや、既に把握している可能性もある。自身の管理する世界で新たな管理者が誕生することなど無視出来ないだろうから、何らかのアプローチを仕掛けてくる筈だ。
そして、基本的に僕らの系統は他者から忌避されることが多いので、まず間違いなく和平の道はない。
神格者同士の勢力争いが世界を巻き込んで繰り広げられることだろう。
「ああ、愉しみだ。本当に愉しみだよ」
勢力争いとはいえ、あくまで下位世界の中での話であり、自分の眷属が関わっているからと言って何かをするつもりはない。
負けて眷属が滅ぼされたとしても、それはそれ。お気に入りの玩具が一つ潰れるだけだ。
全ては娯楽、ただの暇潰し。
しかし、今回の暇潰しは随分と愉しめそうなのも事実だった。
それもこれも、送り込んだ愛娘のおかげだ。単なる思い付きだったがやってみて正解だった。
「嗚呼、君を創って本当に良かった」
現地の者達に痺れた足をつつき回されて芋虫の様にのた打ち回る眷属の姿を映像越しに見ながら、嗤う。
「他の二柱を制して主導権を握れたら、ご褒美くらいはあげようかな」