表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ある契約

作者: ペイザンヌ

「どうして殺したんですか?」


「…………」


「もう一度聞きます。なぜ殺してしまったんですか?」


「すべてを終わりにしたかったから」


「どうして? 彼はあなたに良くしてくれたはずだ。殺す理由などどこにもないはず、そう思いませんか?」


「あんたに何がわかる? 人に会えば、口を開けば、みんなみんなあいつのことばかり。わたしは──わたしのことも少しでいい、見てほしかっただけだ」


「驚きましたね。嫉妬ですか?」


「嫉妬? 何を言ってるんだね、馬鹿馬鹿しい。確かにわたしは彼のことが妬ましかったかもしれない。しかし、私は子守りじゃない、あいつがいると他の自分のことができないんだよ。もううんざりなんだよ」


「金だけ手に入れば用済みですか」


「何を言うんだ! 人聞きの悪い」


「後悔してますか?」


「後悔しても遅い。死んだものは生き返らない」


「時間を巻き戻したいと思いませんか?」


「きみは何が言いたいんだね?」


「私と“契約”すれば彼を生き返らせることも可能です」


「“魂”でも差し出せというのか?」


「ずいぶん古風な言い回しですねえ。まあ、捉えようによってはそうかもしれませんね」


「…………」


「あなたが殺したあの男はそうとうな有名人だった。ファンだって多い。このままではあなたの罪はこの先一生、いや、あなたが死んでからも世間から攻め続けられますよ? いいんですか、それでも?」


「私は彼を滝壺に突き落としたんだぞ! 既に溺死か、全身打撲、バラバラ……どうしてそんなヤツが生き返る?」


「大丈夫、なんてったって彼は頭脳明晰。乗り越える術を知っていたということにして。ではドイルさん、次回からは私どもの出版社で“ホームズ”を書いて頂けますね?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=37122200&si
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ