ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  烈風のアヤキ 作者:海乃
二章 ~アクリス武闘大会~
『大会の幕開け』
「わ・・・・やっぱり凄いですね」


俺と先生は大会会場の入り口にいた

ポンポンと空に小さな閃光があがっている


「そうね。まぁ喧嘩好きな性分のアクリスの人間が多く集まるのは予想できてたけれどもね」


喧嘩好きなんだ。ってか自覚在るんだ

人の多さや結構大規模な事に驚いている俺の背中をポンと先生が叩いた

振り返る俺に先生が言う


「やることはやったんだから。あと負けたら負けたでそのときは仕方ないって割り切りなさい。もちろん優勝を目指すんでしょ?」


こくりとうなずく俺に先生も答えるようにうなずいた


「なら頑張りなさい。金が欲しいのかは知らないけれど出場することに意味があるのよ。まぁ私がコーチをしたんだからそれなりには頑張ってもらわないとねぇ」

「うぁー、なんかプレッシャー」

「まぁそんなに気構える必要はないのよ。私の動きについてくる事が出来るだけでも十分誇れる事なんだから」

「実感沸かないなぁ・・・」

「大丈夫。5倍くらい強くなってるから」

「聞こえは良いですけど出発点が底辺ですからね」

「気にしなくて良いのよそんなことっ!まぁ頑張りなさいよ。私も見てるから」

「はい!ご指導ありがとうございました!」


俺は指導してくれた先生にありったけの感謝の念を込めてお辞儀した

昨日はたっぷり休んで今日のために備えた

今日は、大会当日

快晴の朝だった



出場者専用入り口に名前を書き込んで入場した

とりあえず受付とは別らしいのでまずは受付をするのが最初である

冷やかしで参加するのを防ぐためにきちんと参加料は取るらしい

ちなみにこの参加料だけは国の方からこっそり支給された

俺は受付をする場所を見つけて其処に行く

二人の受付嬢に言われるがまま、名前や年齢、それと使用武器の記入をされた

今大会中、武器や杖はすべて支給品を使うことになっている

武器の力による優劣をなくすためらしい

まぁ武器は統合されるとはいえ種類ぐらいは選ばせてくれるらしい

長剣、大剣、短剣、弓、槍等々、いろいろな種類が在る中で俺は短剣を選んだ

武器の数は自由で使えるならば大剣二つや剣と弓を組み合わせることも可能らしい

だが正直限られたエリア内で戦うわけだから武器は一種類で自由に使いこなせる量というのが制限されてくる

もし弓と剣を選んだとしても、二つも使い勝手の違う武器を持てば動きが鈍くなるのは目に見えている

本来こういう大会では剣なら剣、魔法なら魔法と一点特化で挑むのがセオリーらしいのだが、今大会のルールでは魔法の使用が許可されている事、武器の使用数が二つまでと定められている

それはつまり魔剣士の出場が可能になってくるという事だ

魔術を使え、剣も使える

一点特化よりもそちらの方が戦いに置いて有利になれるその立場を生かした人が出てくる可能性がある

ただ魔術を使える人間が少なく、その殆どが国に務める騎士であることから参加人数は少なくなると予想されたがそうも行かなかった

この大会に参加できるのは国内の人間だけではないのだ

さらに言えば参加の禁止がされているのはアルデリアのみであり、他国の騎士は自由に参加可能らしい

ただそうなると非常に不利なため、アルデリア以外の国の人間で騎士の参加は3人までとなっている

まぁ騎士はちゃんと三人までしか出してこないだろうから定員オーバーということにはならないはずだ

とはいえそれでも十分脅威である

なんと言っても現在、グレアント、リーナ、ファンダーヌの三国の騎士がこの国に集っているからである

本当に勝てるのだろうか俺?

でも勝たなければ宝玉はお預けとなってしまう

まぁそうなったとしても、宝玉を手に入れる可能性が高いのはこの三国の騎士ということになるので俺たち異邦人の存在を知っている彼らに事情を話せば十分な管理をしてくれるであろう

だが出来るところまでは頑張ってみようと思う

魔法を使えるのは何も敵だけというわけではないのだから

俺はこの世界の言葉で短剣と書かれた文字に○をつけ、必要個数を2と書き記す

ここしばらくの特訓のおかげで俺は自分なりの戦い方というのを見つけた

その結果が二つの剣である

右手を自在に使えないのはかなり双剣使いにとって痛手では在るが、それでも十分戦えるくらいには動かせるはずである

書類を提出して俺は奥へと進もうとしたが受付嬢に呼び止められる


「お腰の武器をお預かり致します。城内へは持ち込み禁止となりますので」

「あぁ・・・」


俺は腰に提げたソーレを外した


「ちょっとだけ我慢してろよ」


そう言ってソーレを受付嬢に渡す

受付嬢からは刀に喋りかけている変な奴に見えたかも知れないが此奴には口がきけないとはいえ意思は残っているらしいからな

だからせめてしばしの別れだけは告げておかないとな

拗ねられても困る


「大事なものなんで、大切に保管してくださいね」

「承知致しました。傷一つつけずに厳重に保管させて頂きます。閉会後にお引き取りに伺ってください。また今日の予選後に引き取ることも可能です。明日の閉会後、もし終了して一日立ってもお引き取りにあがられない場合には預かりしている品は一時的に全て国の所持物となりますので二日目以降のお引き取りはアルデリア城の方で行えます。ご了承ください」

「わかりました」

「それと大会の日程をお伝えします。初日は予選を行い、二日目に本戦を行います。予選と本戦のトーナメント表は直結しておりませんので本戦の順番の抽選も二日目に行います」

「予選の抽選はいつやるんですか?」

「はい。予選の抽選はこの受付で行います。どうぞ、この中から好きなものを一本お引きください」

「なんかおみくじみたいだな」


丸い穴に棒が入った長方形の木箱を手渡された

残り物には福があるのかどうかは知らないが残った棒は10本ほどとなっていた

棒を引く順番は先着順らしい

別にどれになっても良いんだけど最初だけは勘弁な

そんなことを思いながら目を瞑って棒を一本引く


「3・・・か」

「それでは予選の順番は三回戦ということになります」


同じ数字が入った二本の棒が入っているということか

そして同じ数字に当たった人と戦うことになり、棒に書かれた番号は何回戦かという事か

ま、三番をもう誰かが引いたのか、まだ残っているのかは知らないが俺は引き当てた棒を受付の女性に返した

受付の隣にあった扉を抜けるとそこはどうやら選手の借りの待機場所となっているらしく、選手と見受けられる屈強そうな体つきをした男の人たちが沢山いた

ムキムキマッチョばかりではないにしろ、その静かでピリピリとした雰囲気を感じて俺は此処にいる者達は本当に強い人間なのだと思った

まぁこんな大会には腕自慢達ぐらいしか参加する気は無いだろうしね

とは言っても中でも本当に強いのはごく僅かな数人だけだとは思う

全く面倒くさいよ

勝てる気がしないね、うん

歴戦の戦士と、こんな付け焼き刃な特訓をした高校生なんてはなっから勝負になるはずがないのである

それでもまぁ、頑張っては見るけれどもね

自分にも、決して彼らに劣らないカードが在ると信じて

彩輝はそう思って部屋に置かれた椅子に座る

出来るだけ端の方のあいている席を探してそこに座った俺は小さく腕を回した


「やるぞっ」


小さく気合いを入れた





開会式が始まった

選手全員は会場へと移動させられた

大勢の観客の歓声が、選手達の入場と共に会場を包み込んだ

思わず耳を塞ごうかとすら思うくらいの大音量で俺は入場と共に遠くを見つめた

前方に視線を向け、そのずっと上を見上げると特等席とも呼べそうな場所があった

他の観客席とは隔離されており、大きく迫り出したその場所には5つの席が設けられていた

一つは赤く、一つは蒼く、一つは黄色を、そして並んだ二つの緑色の席が遠くからでもよく分かるほどの威圧感が醸し出されている

5つの席はどれも空席であるが、そこに座る者が誰なのかということは安易に予想できた


「やっべ、マジで異世界って感じだ」


先導されるがまま参加者が闘技場の中央へと集まる

人数にしておよそ40ほどであるが、誰も彼もが強そうである

とりあえず端に並んだ俺は周囲を見渡した

ものすごい人の数だ

こんな数の人間に囲まれるなんて初めてである

絶対に自分は逆に囲む方の人間だと思っていたのだが・・・・

野球選手とかサッカー選手ってこんな気持ちなのかなぁ

なんて事を考えているうちに、どうやら開会式が始まるような雰囲気である

あーやべ、緊張する


「今宵、ここに集まりし騎士達に最高のショーを演じてもらいましょう!!」


歓声がワッと大きくなる

聞き覚えのある声が会場に響き渡る


「ここに集まった者達ならばもはや無粋な言葉はいらないでしょう!!勝利をつかむのは只一人!大会の主役の座をつかむのは誰なのか!?頂点に輝くのは誰なのか!?さぁ、今それをこの場で決めてもらいましょうじゃないですか!!」


魔法か何かで声を拡声しているのだろうか?

観衆達の声よりも大きく響くその声はトルロインさんの声だった

今回の大会の開催者であり、宝玉を持っている貴族

今回の大会は4国で先駆けて精霊台保持国での会議をするための意見交換の場として提供されたアルデリアで行われるついでに、余興として開かれたものである

こんな展開は滅多にないことで、さらに其処に各国の騎士も参加するとなればとてつもないほどの大事である

会場は超満員

入場料取ってるんだろうなぁきっと

ボロ儲けじゃないですかあの人。なんというか、ダシに使われただけな気がしてきたぞー俺

商売上手だなぁ。時期もきっと会議のために合わせてきたんだろうなぁ

もしかしたら国の方とつるんでたりするのか?各国のお偉い様のためにいい余興の場を提供したりとかいう話し合いとかもしてそうな気がするなあの人

流石、成り上がり貴族ってところか

それなりの力は持っているんだなぁと少なからず思う

ま、お家を成り上がらせたのは父君の方だとは思うけどね

でもあの人も結構頭は切れる人ではあると確信できる

此処までいろいろとセッティングしたのも広く通じる顔と実力あってのもの

こんな大事、金だけで動かせるようなものじゃないからな

この闘技場だって恐らく一個人の持ち物としては大きすぎるはずだ


「ノリいいなぁ此処の人たち」


ま、KYな展開よりかはマシな展開だけどね

これでしーんとしてたらあの人恥ずかしいだろうなぁ、と俺は壇上に立つ主催者を眺める

たしかエフレル・トルロインと言っていただろうか

俺は以前彼がツキの家に乗り込んできたときに言い放った名前を思い出した

そして、気がつけば更に大きな、盛大な歓声が上がっていた

俺はすぐさま視線を先ほどの迫り出した、5つの椅子が置かれていた場所に目を向けた

視界の隅で、何かがそこで動いた気がしたのと同時に、何となくではあるが周囲の歓声がその一カ所に向かっている気がしたからだ


「では、今回大会の同時期に行われる会合のために余興としてご覧になられる方々をご紹介いたします。アルデリア王国の第一王女、セレシア・ルミレ・キルト・アルデリア様!!」


わーっと歓声が上がり、観客の殆どが立っているのが分かった

拍手と歓声の中心にいるセレシアさんは蒼い椅子の前で小さく手を振っていた

あー、なんだか久しぶりに見た気がする


「グレアント王国第一王女、アルフレア・シャレル・ヴィルラート・グレアント王女!ファンダーヌ王国第二王女、エリエル・シェルトール・ロフス・ファンダーヌ王女」


隣にいる赤い髪の女性は自分のものだと主張するかのように堂々と赤い宝石が散りばめられた椅子にどさりと座る

まぁ何ともまぁ、清廉より大胆といった雰囲気を醸し出すその女性は腕を組みながら自らに向けられる拍手と優越感に浸っているかのようだ

うーん・・・何というかまぁいつも通りって感じだね

なんだか自分の中ではアルフレアさんがああいうキャラなんだという位置づけが決まってきた感じがある

そして次に、アルフレアさんの後ろから出てきた女性はベージュ色のドレスを身に纏っていた

紹介通りならばあの人がファンダーヌという国の王女なのだろう

ここからでも女性にしては高く見えるその身長はおそらく170は普通に越えていそうな気がする

最後に残った二つの席の主はすぐに現れた

トルロインさんの紹介と共に扉を開けて入場してきた二人は手をしっかり握って入ってきた

緑色のドレスに身を包んだ二人はトトトと小走りをして椅子に座る


「リーナ聖王国第一王女リリア・ルミーレ・ルッズウェル・リーナ、並びに第二王女、ルア・サムブェル・ルッズウェル・リーナ王女様のご入場です」


歳は低く、まだ年齢的には小学校レベルである二人の顔は遠目で見てもそっくりである

俗に言う双子とかいう奴だろうか

周りの人たちの目線も彼女たち5人に向けられている


「では、役者が全員そろったところで開会の挨拶を始めたいと思います」



それからはトントン拍子で開会式が進み、十分ほどで開会式は終了した

今日は予選を行うだけで終了であるため、予選が終われば一日フリーになってしまう事になる

本戦は明日からなのでどちらにしろ大会は二日に分けて行われる事になる

ただ自分の試合が終わっても好き勝手出来るわけではない

明日のための情報収集もしなければならないため、フリーになった時間の殆どはそちらに割くつもりである

最も、予選すら抜けられないかも知れないけれどね

付け焼き刃な特訓で何処まで戦えるのか、自分ですら分からないがとりあえず勝つための準備は出来る限りしておくべきだ

勝って、宝玉を手にするために


俺の予選は3回戦目のために、序盤の二つの戦いは見ることが出来ないと思っていたのだがどうやら待機室からでも見えるようになっていたらしく、窓を開ければ其処はすでに会場が一望できるようになっていた

すぐに試合が在るために俺は待機室で待つ

静かな待機室の空気は、まるで会場とは別世界なのではないかと思わせてくれた

外の歓声は聞こえてくるが、それすらも押し返してくれるのではないかというくらい、発言すら出来ないほど張りつめた空気が漂っている

選手が全員此処にいる訳ではないのだが、試合が近い選手は俺も含めて皆沈黙を続けている

俺の心臓バックバックなんだけどさ

そんなとき、拡声されたアナウンスが聞こえてきた

この会場には二つに分けられており、一度に二つの試合が出来るようになっているらしい

おかげで三回戦目、とは言っても一回戦と二回戦が同時に行われているために実質出番は二番目だ


「一回戦終了です。次の試合を行いますので第三回戦に当たっている選手二名は入場門側の試合会場に集合してください」


あー、やべ、俺の番だ

急に外の歓声が強くなった気がした

そして同時に心拍数が上昇した気がした

えー、遅くなってすいません。
本当なら先週から書こうと思っていたのですがなかなか時間が見つからず、頭にストーリーが思い浮かばず、気がつけば後回しー見たいな感じになってました。本当すいません。
夏休みにも入ったので出来るだけ一週間分の遅れはガリガリと取り戻していきたいと思います。それと本当は全部一気に修正してから最新話を上げるつもりだったのですが修正と同時進行にしていきたいと思っています。あくまで“思っています”なのでもしかしたら気分でどちらかに偏ることも在るかも知れませんがご了承ください


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。