第拾壱話 冥獣四天王篇 第弐部 闇の吸血鬼
遂に迎えた光の犬士と、冥獣四天王の戦いを迎えたのだが、両者一進一退の攻防が続いたのであった。
「オン・アビリタ・ウンケン・ソワカ!」
「飛天流奥義・爆裂流氷斬!」
「必殺・烈風真空斬り。」
「天聖奥義・虚空雷鳴弾!」
「奥義・獣人変化っ!」
「秘術・火炎爆雷破!」
導節、信乃、現八、新兵衛、小文吾、毛野の六人は、それぞれの術や必殺技で冥獣四天王に仕掛けていくが、闇の風使い・白虎将軍が芭蕉扇を取り出し、導節達の術や必殺技を芭蕉扇で仰ぎながら弾き返していった。
『無駄だ、光の犬士よ。我等冥獣四天王に、そんな術などは通用せぬ。』
「な、そんな馬鹿な・・・。」
「俺達の術が弾き返されたぞ。」
「なんて奴等だ・・・。」
「なんちゅう連中や、わいの術が簡単に打ち破られてもうたわ。」
「このままでは、奴等にやられてしまうぞ。」
「導節様、これからどうしましょうか。」
「くっ、仕方ない・・・。一旦この場から離れるしかあるまい。」
そう言って、導節は修験術を施していき、新兵衛、信乃、現八、小文吾、毛野は導節の後を追う形で退却していくのであった。
『あらら、逃げちゃったじゃないの。』
『おいっ、青龍・・・。いいのか、奴等を追い掛けなくても。』
『ああ、奴等が逃げたところで、そう簡単に我等冥獣四天王から逃れるものか・・・。』
『だったら、奴等の後を追って・・・。』
『その必要はない・・・、いずれ奴等を始末するんだ。まぁ、じっくり様子を見ようじゃないか・・・。』
無事冥獣四天王の攻撃から逃れた導節達は、山城の国から遠く離れた西国・ 出雲の国へと身を隠していた。
「くっそ〜、冥獣四天王の奴等・・・。」
「あんなに強いとはな・・・。」
「俺達の術や必殺技が、見事に破れてしまうんだからな。」
「ほんまに、めっちゃ悔しいわ。」
「導節様、これからどうなされますか。」
「・・・奴等は必ず我々を追ってくるに違いない。それまでに、残り二人の同志を捜さなければ・・・。」
暫くして、導節達は出雲大社近くの宿に泊まり、しばしの休息を取ったのである。
「はぁ〜、やっとゆっくり休めるぜ。」
「おいっ、あまり羽目を外すなよ。」
「分かってるよ。」
「奴等は血眼になって捜しているんだ。恐らく、この近くまで来ているのかも知れないぞ。」
「本当に、このままでいいんでしょうか。」
「どう言う事だ、信乃。」
突然、信乃が意味深な発言を導節達に話していったのだった。
「信乃、いったい何が言いたいんだよ。」
「あの冥獣四天王、どうも我々の事を見くびっている様な気がしてならないのです。」
「気にし過ぎなんだよ、信乃は・・・。」
「そ、そんな事を言われても・・・。」
「現八、信乃殿はもの凄い予知能力を持っているんだ。これまでに、数々の予知を的中させたんだぞ。」
「へぇ〜、信乃はんはそんな能力があったなんて知らんかったわ。」
「ところで信乃、いったいこれから何が起ころうとしているんだ。」
導節は信乃に、これから起こる事を聞いてみた。すると信乃は、精神を集中させ、これから起こる事を予言していった。
「・・・南西の方角、赤い翼を持った魔物が大群を率いてこちらに向かって来るのが見えます。」
「何だって・・・。」
「まさかっ、冥獣四天王か・・・。」
「まだ断定は出来ませんが、恐らく・・・。」
「それで、その赤い翼を持った魔物は何処にいるんだ。」
「場所は出雲大社の近く、北西の方角にある『鬼骨城』と呼ばれるところに、その赤い翼を持った魔物がいるのが見えます。」
「鬼骨城・・・か。」
「また、厄介な奴が現れたな。」
「信乃、奴の姿を透視する事が出来るか。」
更に信乃は、神経を集中させていき、透視を試みた。
「・・・・・・。」
「どうした、信乃。」
「・・・駄目でした、全く見えません。」
「正体不明の魔物か・・・。」
「いずれにせよ、冥獣四天王に違いないのは確かだ。」
「導節、いつ鬼骨城へ行くんだ。」
すると導節は、
「暫く休養したら、鬼骨城に向かう。」
「その方がいいでしょう。そうしないと、またこの前みたいな事になり兼ねないですからね。」
「そうや、わい等だけでは冥獣四天王を倒すのは不可能やからな。」
「だったら、あとの二人の同志を捜さないと・・・。」
「・・・ああ。」
一方その頃、導節達が泊まっている宿屋から北西の方角にある、不気味に聳え立つ朱色に染まった魔の城・〔鬼骨城〕では、冥獣四天王の一人、闇の吸血鬼・朱雀将軍が多くの手下を率いて光の八犬士討伐命令を下していた。
『さぁ、準備はいいかしら。急いで光の八犬士を捜して、一気に血祭りにあげるのよ。』
闇の吸血鬼・朱雀将軍の号令の下、約三万の軍勢が一斉に出撃していったのである。
『ほほほ・・・、随分気合いが入っていますね、闇の吸血鬼・朱雀将軍。あれからどうなっているのですか?』
と、そこへ闇の僧侶・幻斎坊が闇の吸血鬼・朱雀将軍の前に姿を現したのである。
『あらぁ、誰かと思えば闇の僧侶・幻斎坊様じゃありませんか。』
『朱雀将軍、この間の失態・・・どう責任を取るつもりですかな。』
『仕方ないじゃない、突然あの連中が変な術を使うものだから、やむを得なかったのよ。』
『全くしょうがありませんね、今度ばかりは大目に見ましょう。が、今度の作戦は大丈夫なんでしょうね。』
『その心配はいりませんわ、私の作戦は完璧なのですから・・・。』
『相当な自信があると見受けられるが、もし失敗した場合には、どう責任を取るつもりかな・・・朱雀将軍。』
『その心配はないわ。こちらには、とっておきの秘策があるもの・・・。』
『ほほう・・・、ではお手並み拝見と参りましょう。』
『期待していてちょうだい・・・、幻斎坊殿。』
それから三日後、導節達は出雲大社の北西の方角にある鬼骨城へ向かっていった。
「もうすぐ鬼骨城に到着するな。」
「ああ、だがこの辺りは昔から邪悪な妖気を持つ屍が多く存在している場所だからな。」
「そう言われてみれば、なんとなく何かが出てきそうな雰囲気だよな。」
「あっ、あれはもしや・・・。」
新兵衛が遂に鬼骨城を発見し、導節達は慎重に鬼骨城へと近付いていった。
「これが、鬼骨城か・・・。」
「全体が頑丈な朱色の骨で出来ているのか。」
「信乃、この中に赤い翼の魔物がいるんだな。」「ええ、間違いありません。」
と、その時だ・・・。
鬼骨城の周りを旋回しながら導節達を襲撃する鳥の様な化け物の軍勢が一斉に攻撃を仕掛けていった。
「な、なんだあれは・・・。」
「まさか、闇の一族の者か。」
「なんやこいつ等、一斉に襲い掛かって来よるで。」
「みんな、気を抜くなよ。」
『了解っ。』
導節達は急降下してくる魔物の軍勢を蹴散らしながら鬼骨城へ進んでいくが、あまりの多さに苦戦を強いられていったのである。
「これじゃ、どうにもならないぜ。」
「数が多過ぎて、先に進めやしないぞ。」
「導節、どうするんだよ。」
「・・・やむを得ないな、こいつだけは使いたくなかったが・・・。」
「どうでもいいから、早くしてくれ。」
「わかっている・・・。みんな、私の傍を離れるな。」
そう言って、導節は懐から〔天地滅殺破〕の巻物を出し、印を結んで術を唱えていったのである。
「オン・バサラ・ナウマク・サマンダ・ボダナン・インダラ・ソワカ!」
すると、導節は巻物を拡げていき、左右に大きく孤を描く様に魔物の軍勢を全滅させていったのだった。
「す、すげぇ〜。」
「あっという間に全滅させやがった・・・。」
「導節様、最初からそいつでやっつけた方が早いんちゃいますの。」
「・・・そ、そうだな。とにかく、急いで鬼骨城に向かうぞ。」
と、信乃が突然導節達を足止めさせていったのである。
「ちょっと待って下さい。」
「どうしたんだ、信乃。」
「かなり強い妖気がこの近くまで来ています。」
「それで、何処から妖気を感じるんだ。」
「・・・あの城の中から妖気を感じます。」
「あの城の中に、目指す敵がいるって言うんだな。」
「とにかく行ってみようぜ。」
と、突然爆音が響き渡り、赤い翼の魔物が導節達の目の前に現れた。
『その必要はありませんよ、光の犬士のみなさん・・・。』
「き、貴様は・・・。」
「冥獣四天王、闇の吸血鬼・朱雀将軍。」
「まさか・・・、こんなところで逢うとはな・・・。」
『随分捜しましたよ。だけど、捜す手間が省けたわ。』
「やはり、赤い翼の魔物の正体は、闇の吸血鬼・朱雀将軍だったのか・・・。」
「なんや、けったいな奴が来おったで。」
「だったら、この場で片付けちまおうか。」
『その必要は無いわ・・・。』
「どう言う事だっ。」
『貴方達には、この場で死んでもらうわ。』
そう言って、朱雀将軍は翼を大きく拡げ、術を唱えながら攻撃を仕掛けていった。
『魔導妖術・幻影爆炎破!』
朱雀将軍の妖術・幻影爆炎破が炸裂し、導節達を窮地に追い込んでいった。
が、すぐさま導節達は朱雀将軍に反撃の狼煙を上げていったのである。
「朱雀将軍、貴様だけは絶対に許さない。」
「こうなったら、我等光の犬士の力を思い知るがいい。」
『何度やっても無駄よ、貴方達が束になっても私には敵う訳ないわ。』
再び朱雀将軍が術を施し、導節達に攻撃をしていくが、すぐさま導節達はそれぞれの術や必殺技で応戦していくのだった。「オン・バサラ・ナウマク・キリセンマンダ・ボダナン・インダラ・ソワカ!」
「飛天流奥義・爆雷衝撃斬。」
「必殺・烈風真空斬り。」
「天聖奥義・虚空雷鳴弾。」
「奥義・獣人変化っ。」
「秘術・火炎爆雷破。」
導節達それぞれの術や必殺技を繰り出していくが、朱雀将軍の前では無力だったのである。
『だから言ったじゃない、私の前ではそんな術や必殺技など、通用しないって・・・。』
「くそっ、どうすりゃいいんだよ。」
「俺達の術なんか、奴を倒す事すら出来ないぜ。」
「何かええ方法ないんかいな。」
もはや手段を講じる事すら出来ない導節達だったが、突如空に朝日が昇り始め、朱雀将軍の動きが若干鈍くなっていったのだった。
『はっ、ちょっとヤバくなってきたじゃなぁい。もう、こんな時に朝日が昇ってくるなんて、ちょ〜最悪ぅ。』
「なぁに、ごちゃごちゃ言ってるんだよ。」
『ふんっ、今日のところは見逃してあげるけど、この次に逢う時は必ず貴方達の命は頂戴するから、覚悟なさい・・・。』
そう言って朱雀将軍は、赤い煙を翼で仰ぎながらその場から姿を消していったのだ。
「くそっ、あともうちょっとで・・・。」
「しかし妙だな・・・。」
「どう言う事だ。」
「朱雀将軍の奴、太陽が昇った瞬間、動きが鈍くなっただろう。」
「ああ・・・。」
「奴は闇の吸血鬼の異名を持っているんだ。と、言う事は・・・。」
「・・・そうかっ。」
「奴は太陽の光に弱いんや。」
「そうと分かれば、奴を倒す武器を探そう。」
「しかし、そんな武器何処にあるんだよ。」
小文吾が朱雀将軍を倒す武器が何処にあるかを導節に聞いてみるが、さすがの導節も分からないと言う。
「・・・導節様。」
と、信乃が突然導節に話し掛けていき、大昔に存在していた〔太陽十字剣〕の事を思い出したのだ。
「確か、今から百五十年前に〔太陽十字剣〕と言う対吸血鬼用の武器が、この世の何処かにあると言う話しを聞いた事があります。」
「それは本当か・・・。」
「はい・・・。」
「それで、その太陽十字剣は何処にあるんだ。」
「今は何処にもありません。しかし、その太陽十字剣を造る材料が、この出雲の国にあると言う事が分かりました。」
「よしっ、早速探しに行こうぜ。」
「そいつを見つければ、太陽十字剣が手に入るんやな。」
「ああ、とにかくそいつを探しに行こう。」
「朱雀将軍、この次は必ず・・・。」
遂に朱雀将軍の弱点を知った導節達は、太陽十字剣の材料を探しに出雲大社周辺を探索していった。
だが、このあと信乃に最悪の出来事が起きようとしていた・・・。
次回、衝撃の物語が幕を開ける・・・。
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