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オリキャラの『真名』設定

馬騰=翡翠=ひすい
馬超=翠の近親者の誰かが、真名に「翡」が付いている筈と、やはり考えました。

龐徳=ほうとく=翡玉=ひぎょく
「正史」の「彼」は、馬超が涼州軍閥だったときは、第1の部下でしたが、
流転の結果、曹操に仕え、最後は関羽に討ち取られる「悲劇の人」でした。
―起―
講釈の25『はるか涼州の草原に燃ゆる心 錦の驃騎は謀に破れて亡命す』
華琳や桂花たち軍師たちも、次々に入ってくる報告に、困惑していた。
・  ・  ・  ・  ・
まずは、荊州からである。
荊州南部4郡の太守たちが、荊州州牧、劉表の名で、その身柄を送り返されてきた。

本来は監察官である刺史ならともかく、州牧は郡太守の上官だ。
その州牧の頭ごなしに、別の州の州牧と戦えと命令すれば、例え官命でも、劉表には文句の付けようがあった。

「考えたわね」
郡太守たちが生きたまま、劉表に引き渡された結果、
まず劉備は「益州侵掠」の時の、劉表にたいする「貸し」を返した事になる。
元々、荊州州牧の「名分」で荊州北部に軍閥としての勢力圏を維持していた劉表にしてみれば、
劉表にとって荊州南部の実情は、形式上の上官でありながら、
実際は中小軍閥となった郡太守を通じての間接支配だったのだから、元々、目障めざわりだったのだ。
そこへ、今回の官命である。いよいよ目障りになった太守たちだったが、
劉備から生きたまま身柄を引き渡された事で、逆に朝廷に対する交渉材料に出来たわけだ。

それで、劉備には何が残るか。
曹魏側の策はすでに破れた。
そして、劉備が荊州に欲しいのは、拠点である益州からの出口。
劉表に逆に恩を売った形で、出口を確保できれば、最低限の目的は達成できた事になる。

「それだけで、満足するつもりかしら」
劉備自身が本当に「お人良し」でも、その軍師たちは油断も隙も無い。
案の定、劉表とも劉備とも、形式上はあずかり知らぬところで、
荊州「名士」グループからの嘆願が、朝廷に提出された。
「空席となった太守職を、益州州牧に代行していただきたい」
…  …  …  …  …  
「ええい、抜け抜けと」
武官の中には、憤慨するものまでいた。
「劉表にも「貸し」は返したし、もう遠慮なしですね」
劉表にしても、荊州「名士」グループの協力は、不可欠である以上、無視はできない。
「ここまで「荊州名士」に与党をつくってしまうとは。ただの「お人好し」に見せかけておいて、恐るべき人たらしです」
(確かに、劉備の恐るべきは、恐るべき魅力チートにあるな。やれやれ…)
しかも対策を出すべきは「蜀」だけではなかった。
・  ・  ・  ・  ・
涼州軍閥の1つ、馬騰が中央に接触してきていた。
確かに、涼州州牧の「名分」でも得れば、他の涼州軍閥に対して、有利にたつ。
目障りだった、旧「董卓」軍が壊滅した好機を逃したくは無いだろう。

涼州に近い古都、長安には、鍾元常という優秀な行政官を派遣していた。
しかし、その鍾元常にしても、馬騰が一族をあげて、都へ嘆願に上ると言えば、阻止し切れなかった。
…  …  …  …  …  
長安からの第1報に続いて、馬騰一族の動きは、次々、報告されてくる。もはや、この許昌に近い。

「どうされます」
「いっそ、馬騰の欲しがっている「名分」をエサに使いますか。そして、劉備を討たせるとか」
「いや、劉備よりも、やはり、近くの呂布とかが危険だ。そっちに使ってみては」

確かに、同じ涼州軍閥だった、旧「董卓」軍の残党という意味なら、馬騰にとっても呂布は危険だろう。
ただ、相手がいかに“もんすたあ”かは、良く知っているはずだ。
・  ・  ・  ・  ・
結局、華琳は馬騰を許昌に招き入れて、精一杯、持てなす事にした。
その結果、次第に馬騰の方も、心を許しかけていた。
…  …  …  …  …  
ある日、草原出身同士で話の通じやすい、霞が馬騰をもてなしていた。
「翠。わしの真名の1字をつけた」
馬騰の真名は翡翠。その1字を長女に譲ったという。ただし、霞が翡翠と呼べるわけではまだ無い。
その長女は、末の妹ともに、涼州に残っている。
この乱世である。一族が1度に全滅する事は避けなければならない。まして草原では。
「末だからな。“翡”も“翠”も真名が足りなくなった。まあ、出来るだけ女らしい真名をつけてやったが」
「確か、花の名前どしたな」
そんな打ち明け話が出来るまで、打ち解けてきた。だが、
・  ・  ・  ・  ・
涼州軍閥の他の1つ、韓遂かんすいが、長安を攻撃。鍾元常が救援を求めてきた。
しかも、馬騰が残してきた娘が加担していると、許昌には伝わった。
…  …  …  …  …  
「いったい、どういう事かしら」
「三公」の職権で、華琳は朝廷に呼び出して詰問した。馬騰としても「官命」では、出廷するしかない。
「そんな、浅はかな娘ではない」
「あなたには、自分の娘だから信じたいでしょうね。でも、私は、いえ、朝廷は信じる事はできないわ」
…  …  …  …  …  
容赦なく、馬騰一族の全員が拘束、いや投獄された。
その上で、華琳は曹魏軍をあげて、長安への急援軍を出動させた。
・  ・  ・  ・  ・
長安は前漢の帝都だった。後漢は洛陽を帝都としたが、
それでも13州のどれかの州都に劣らぬ大都市であり、それだけの堅城でもある。
その城を、行政官としても、守備の将としても堅実な鍾元常が守っていた。
涼州兵が精強で、率いる将が勇猛でも、簡単には落ちない。結局、華琳が許昌から駆け付けるまで、持ちこたえた。

しかし、戦いはそれからだった。
…  …  …  …  …  
「手強いわね。馬騰の娘は」
曹仲徳に言わせれば、それもそのはずだった。
…何せ、馬超といえば「あの」関羽たちと並んで「五虎大将」と呼ばれ「た」くらいだしな。
まてよ、確か黄忠のいた筈の長沙も劉備に占領されたから、後は馬超だけだ…

華琳は、しばし考え込み、ある人物を連れて来させた。
…  …  …  …  …  
「龐徳。あなたは馬超にも、馬騰にも信頼されている、譜代の臣だそうね」
…霞。貴女が聞いたところでは、馬騰は自分の真名を、馬超と龐徳に1字ずつ与えたとか。
「孟徳どの」
そこまで分かっておいでなら、さっさとこの首をはねたらよろしかろう。
翡翠様たちを処刑した後に、それがし1人生かしておく意味があるまい。
「あるわ」
馬超が主張するところでは「先に」私が馬騰を殺したから、韓遂に加担しているそうよ。
おかしいわね。貴女も許昌に居たでしょう。
馬超が韓遂に加担して、長安を攻撃したから、私は馬騰一族を投獄したのよ。
順序がちぐはぐね。
「……。…何をおっしゃりたい」
「つまり、今のこの状況は、誰に都合がいいかしら」
というより、私が馬騰一族を投獄するまでの状況は、誰に都合が悪かったかしら。
「…まさか…」
「貴女も確かめたくないの?」
馬超も貴女の言う事なら、聞く耳があるんじゃない。馬超の処に行って、確かめて来るのね。
――― ――― ――― 
草原の騎馬の民にとって、天幕は「土の家」より住み慣れた「わが家」かもしれない。
その住み慣れた天幕で、馬超(真名)翠は驚愕していた。
「お姉さま・・・落ち着いてよ」
妹の馬岱(蒲公英)も驚いていただろうが、先に姉に驚愕されて出遅れた。
「翠どの。それがしとて、曹操の言い分を全面的に信用している訳ではない」
龐徳(翡玉)も困惑していた。
「だが、確かに許昌では、翡翠様たちが投獄される前に、翠どのたちが長安を攻撃したと聞いたのです」
「だが、あたしは確かに聞いたんだ。あたしたちがまだ涼州に居る時に、母上や一族が皆殺しにされたって」
「だれから、お聞きになったのです」
「・・・」「…」「…」
「よし、韓遂どのに確かめてくる!」
――― ――― ――― 
翠、蒲公英、翡玉たちは、韓遂の天幕に押しかけたが、話し合いは次第に、ケンカごしに成り始めた。

「まあまあ、落ち着いて下され。孟起どの」
ますます、険悪な空気に成り始めたが、その時、
「敵襲――!!」
主将たちが、ケンカ中では、とっさに反撃できない。
主将が留守の馬超軍から先に混乱し始めた。
…  …  …  …  …  
「くっそう―曹操め―!」
ようやっと、乱戦から抜け出したが、翠の後に続いているのは、蒲公英だけだった。
あとの部下や兵士は、どこに逃げ散ったか。
「真相がどうでも、もう、かまうものか。きっと、落とし前はつけてやる」
「でも、お姉さま。どこへ行くの?その前に、ここは何処?」
地平線まで草原の涼州では見慣れない、深山幽谷。
そこに逃げ込んで、ようやく曹魏軍の追っ手を振り切ったのだが、
どこに居るのか、どこに向かっているのか、検討も付かない。

そんな場所を、妹とたった2騎で進んでいる。いや逃げているとなれば、勝気な翠でも、内心は心細い。
今は、それさえ曹操への、復讐心に加えて、何とか自分と妹を励まそうとしていた。
――― ――― ――― 
「どうやら取り逃がしたようね」
韓遂は、敗残兵を集めて涼州へ退却したと、確認できた。
龐徳は負傷して、曹魏軍に収容されている。
しかし、馬超と妹の馬岱は行方不明だった。
(…やっぱり、蜀へ行ったんだろうな…やれやれ)

「仲徳。華佗を探してちょうだい」
「華佗を?」
「目的は2つあるわ。とりあえず1つは龐徳とか、他の負傷者の手当。もう1つは見つかってからの事だけど」
「いいよ。(俺もあの先生には、気になることがあるしな)」
・  ・  ・  ・  ・
さらに留守の許昌から来た、報告があった。
荊州「名士」グループからの「嘆願」が受け入れられた。
無論、文官も武官も全員を連れて来ていたわけではないが、それでも華琳自身と部下の過半が留守では、
やはり「ニラミ」が効かなかったようだ。
もしかしたら、曹魏「シンパ」以外の朝廷の臣下が、劉備を当てにしているのかもしれない。

「これで、劉備の拠点は、益州に加えて、荊州南部4郡。もう見逃せないわね」
(…人材面でも、軍師は「伏竜鳳雛」武将は多分、馬超も行っただろうから「五虎大将」…やれやれ)
北郷、いったいお前は、どこまで蜀を暴走させるつもりだ。
この無謀な試みも、どうやら、第1部の「完」近くまではたどりつけそうです。

それでは続きは次回の講釈で。
次回は講釈の26『蜀には五虎と竜鳳が集結し 比翼連理の王に誠をささぐ』
の予定です。


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