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  黒白の王 作者:氷雨水夜
第9話:其の言の葉は呪詛となりて
「空露……?それに……彩……亜?」
 二人とも……息を……していない?

「ああ、まだ生きていたのですか。全く『化物』はしぶといですね。気絶とはいえ、あれから10分も経っていないのに意識を取り戻すなんて」
 笑う男の傍らには涙目の黒夢がいた。怒りと悲しみが入り交じった表情で男を睨んでいる。
「あはは!その目ですよ!もっと憎みなさい。怒りなさい。負の感情にのみ込まれて汚れて醜く死んで逝きなさい」

 ――ん……?何だ、この違和感は?

 あの少年を取り巻く空気の何かが……違う。

「黙りなさい」
 黒夢が表情を変えずに突如そう言った。普段の黒夢の言葉ではない。

 男はビクッとして小さな子から離れる。
「……あなたは何です?少なくともその子供は……そんなことは……」
 そう。黒夢はあんな言い方をしない。例えこんな状況でも絶対に。

「罪深き人間に名乗る名前などありません」

 ――この響きはどこかで……

「もしや、ぬしは……」
 虚白が何かを言いかけると黒夢の姿でそれを遮った。
「今は内緒ですよ、虚白ちゃん」
 ――やっぱりこの人は……

「さて、罪深き人間よ、何か忘れてはいませんか?」
「……?」
「……人の呪い……か?」

 この男は彩亜を、空露を殺した。罪を犯した人間への呪い=死じゃないのか?

「ええ、そうですよ、虚白ちゃん。あなたが体験した呪いであればすでにこの男は死んでいる。しかし、この男への呪いは違うものですから生きている。……まあ、やや発症は遅いようですが」
「違う……呪い……?」
 ――何だ、それは?

 そう言いかけようとした時だった。

「う……うわああああっ!こっちにくるなっ!!」
 男が発狂したかのように声を出した。


「あなたの罪、執行させて頂きます」


「え……いや、これは何の呪いなのだ?」
「本人にしかわからぬ――彼が殺めた人の念が迫ってくる幻覚を見ているという呪です。死ぬまで永遠にね」
 クスッと笑ってみせる。
「神のくせに……鬼畜なことをするな……」

 ――この少年の姿をして話しているのは、人間に呪いを、虚白に力を与えた神だ。

「あー、内緒って言ったのに普通に神様って言いましたね」
 神だとは微塵も感じさせないような朗らかな声で言う。
 虚白はやりにくそうに神様に言葉を紡ぐ。
「……に……しても、聞きたいことがあるのだが。何故黒夢の姿なのだ?」
「あれ、わかっていなかったのですか?この子はこの世界に滞在するためにぴったりでしたから」

「……神憑きの子か」
 ――まさかこんな子供が神を降ろせるとは……

「はい、虚白ちゃんの姿も見たかったので、黒夢くんの身体を少し借りました」
「それで……どうするのだ?あの発狂男……」
 さっきからワーワーうるさい。
「騒がしいと思っているのは同感です。しかし放っておきましょう。呪いの意味が無いですから。――さて……その狼をこちらに」

「空露をどうするつもりだ?」
「生き返らせます。今が真の天命ではないですから。ついでにあなたの力も回復させましょう」
「それなら……彩亜は?駄目……なのか……?」
 死んだのは空露だけではない。彩亜もだ。彩亜にとって今が天命だったのか?

 しかし神から返ってきた答えは意外なものだった。

「だって生きてるでしょう?」

「……は?」
「いや、だからその男は生きてますよ?」
 虚白は彩亜に近付く。
「いやいや、神と言えどそんな冗談は通じんぞ。さっき確認しているのだぞ。ほら彩亜は生きてなど――」
 彩亜の脈に触れた時だった。

 ドクン、ドクン、ドクン。

「……ん?」
「あ、バレた……」
 死んでいたはずの彩亜が口を開いた。
「彩……亜……?」
 何か、虚白からゴゴゴゴゴ……とオーラが見える。
「じ、実はあの男の呪いがどうとか言う頃に目覚めていてな。その……話せば少し長いと言うか……」
「お前……っ!」
 一歩一歩、彩亜に詰め寄る。
「す、すまん、色々謝るからっ!理不尽に刃向けたこととか謝るからっ!」

「良かったッ……」
 ギュッと彩亜を抱きしめた。
「……え?」
「もう誰かが死ぬのは見たくなかった。ましてやお前が死ぬだなんてっ……」
「あの……な?お前が従者として親友として心配してくれてるのはわかったけどな……。いくら何でも過保護だ。離れろ、気持ち悪い」
 そこでハッとして慌てて離れる。つい、あの誰かに言われた『王を守れ』という言葉を深く捉えてしまって……重く考えてしまう。
「あ……いや……その……本当に……心配したのだぞ。……と言うかお前、気のせいか少し若返ってないか?」

「その、これは……だな……」
「それがあなたに課せられた呪いなのでしょう?」
「……ッ!」
 我が子の姿をした者にあっさりと真実を告げられる。
「呪い……?」
 虚白はポカンとした様子で言う。
「自分自身、人に呪いを与えた身ですからそういうのわかるのですよ。あなた、死ねないのでしょう?」
「つまり……不死……?」
「ここからは、俺自ら話す。不死と言うのはあながち間違ってはいないが、正確には一度死んだら呪いを与えられた時の姿に生き返る。つまり、俺はあの毒矢で死んで、呪われた数年前の姿で生き返った」
「ちょっと待て、お前は何の罪を犯した?呪いと言うことはそういうことだろう?」
「お前を殺そうとした時に話しただろ?獣共に襲撃された、と」
「まさ……か……」

「……俺がその獣を残らず駆逐した。呪いのことなど怒りで忘れていた」

 その時に呪われていたからこそ、黒夢を殺そうとした母、つまり彼の妻を裁いても何も起こらなかった。
 だからこそ、今まで王自ら人に仇なす者らを葬りさっていた。

「結局、呪われてるのはお互い様ではないか……」

 雪はずっと、降り続くばかりだった。
展開、早……。

虚白が異様な程、彩亜曰く気持ち悪い程、王に執着してるのは訳ありで。
後々本編に書けたらいいなあと(希望かよ)
当然変な意味じゃないってことだけは把握してほしいッス……。

虚白の王への執着&バカ保護者っぷりを想像以上に表現しようとした結果。

精進して己の小説の腕をもっと磨かないと……(涙目


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