03
並んで歩いているカズホとナオの金髪カップルは、すれ違う人達から否応なしに注目されていた。
人から見られることに慣れていないナオは、気恥ずかしく思いながらも、カズホの隣を歩けることが何よりも嬉しかった。
「水嶋……じゃなくて、ナオ」
ナオがカズホを見上げ見ると、カズホはちょっと照れている様子でナオを見つめていた。
「は、はい」
カズホから初めて名前で呼ばれたナオもちょっと照れてしまった。
「今更だけど……、その髪、似合っているぜ」
「あ、ありがとう。私、……カズホの彼女に、……合格かな?」
「当たり前だろ。俺の彼女だって自慢しまくりたいくらいだよ」
「そ、そんな……」
「ナオ」
「はい」
「彼女らしく手をつないで行くか?」
「あ、あの……、通学路だし……、まだ恥ずかしいから……駄目です」
ナオは顔を真っ赤にしながら俯いてしまった。
見た目は派手なヤンキー娘のように変わったナオだが、これまでずっと男の子を避けてきたナオ自身がすぐに変われるはずもなく、相変わらず奥手で一途な女の子のままであった。
そんなナオのことをカズホも優しく微笑みながら見つめていた。
「ご、ごめんなさい」
「だから、……ナオが謝る必要はないだろ」
二人は思わず見つめ合って微笑んだ。
遠くにドールが見えてきた。
ナオは、出会いからずっと二人を見てきたマスターに会うことがちょっと恥ずかしくなってきた。
「マスター、何て言うかな?」
「たぶん、マスターは、ナオだって気がつかないんじゃないかな?」
カズホがドールのドアを引いて、二人が店の中に入ると、カウンターの奥に座っていたマスターは、普段通りニコニコ笑いながら立ち上がり、二人を出迎えてくれた。
「いらっしゃい、ナオちゃん。お似合いだね」