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 高校を出ると、二人はまっすぐに桜の家へ向かった。その目的は、不幸の手紙を勝に確認させるためだ。手紙に勝の名前が使われている以上、勝にとっても無関係な話ではないと桜が言い出し、勝もその意見に同意し、二人は学校が終わったら一緒に帰る約束をしていたのだ。
 桜の家は聖バーナード学園からは二つ駅を挟む。勝の家も桜の近所なので、二人は通学には同じ電車を使うことになる。ちなみに、今朝は桜が寝坊したため勝は桜より一つ早い電車に乗って登校した(せっかくの入学式なので、今朝勝は桜の家に顔を出していた)。
 さて。二人は電車に乗り込むと、適当に空いた座席に腰を下ろした。しばらくは無言で外の景色を眺めていた勝だったが、やはり、手紙のことが気になるらしい。桜の様子を伺いながら、勝は隣に座る桜に声をかけた。
「ねえ、桜」
「なに?」
「不幸の手紙の入った小包が部屋に置いてあったって言ってたけど、それって、郵便受けに入ってたのを部屋に持って上がったってことじゃないの?」
「違うわよ。知らないうちに私の部屋に置いてあったの。母さんも父さんも知らないって言ってたし」
「ってことは、誰かが桜の部屋に入ってその小包を置いていったことになるね」
「だから、あんたを疑ったのよ。誰にも気づかれずに私の部屋に入るなんて不可能だもの」
「でも……あったんだよね」
「うん……あったのよ」
 ――気まずい沈黙が二人を支配した。
 ちらりと勝を伺う桜。同様に、桜を伺う勝。
「……やっぱあんたなんじゃ――」
「違うよ!」
「やあねえ。冗談よ、冗談」
 ――冗談には聞こえなかった。
「とにかく、確実に犯人は私の部屋に勝手に上がりこんでんのよ」
「う、うん」
「ぶっ殺すには充分な理由だわ」
「……」
「白状するなら、半殺しで許――」
「だから、僕じゃないってば!」
 そんな調子で二人は桜の家を目指すのだった。
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