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  再転の姫君 作者:須磨彰
チャプター18
夏に咲く花





「おはよう!!」

バシッ ポイッ ガゴッ

「おはようメグ、相変わらずね。」

「おはよう、鈴。今日は夏服にしてきたんだね。」

さっきあったことを説明しよう。
以前浩太の上履きが飛んできたのを軽くキャッチしたのを見ていたクラスメイトが、時々ボクが来るのを見計らってボールやら何やらを投げてくるのだ。
一度黒板消しが飛んできた時はチョークの粉が嫌で避けたが基本は投げてきた本人に投げ返している。
それでも止まないところをみると彼らはマゾなのだろう。

「うん。熱くなってきたからね。夏服解禁になったとたんに変えてきたメグよりは遅いけど、衣替えよ。」

「まぁね。ボクは動き易いから夏服の方が好きなんだよ。」

「おかげで男子どもは大喜びよ。」

「鈴・・・ボクはサービスでしてるわけじゃないぞ。」

「そうよね。竜くんに見せるためだもんね。」

「な、そんなわけないじゃないか。」

反論してみるものの、真っ赤になってしまっているのが自分でもわかる。
あの後ボクは司には黄金を送ったが、鈴や麻美のことは許してあげた。
そして登下校の時は二人で帰らせてあげることにしたのだが、なんだか全部司の思惑どおりになってしまったようで、ちょっと悔しい。

「今日もあっちはラブラブだってのに、こっちはメグがこれじゃあねぇ。」

「もう、そんなこと言って鈴だってムグッ。」

「メグ、そこから先は禁句よ。」

そういって口を押さえられてしまった。
首をコクコク縦に振ると鈴は手を離してくれた。

「ごめん。でもさ、この前のことでわかったんだ。」

「ほう。ついにメグにも春が来ましたか。」

「竜はボク以外の女には興味がないってことが。」

そういうと鈴はガクっと椅子からずり落ちてしまった。

「まぁ、間違ってはいないけど、普通はもうちょっと違う解釈をするわよ。」

「冗談だよ。いくら鈍いボクでも流石にそれほどじゃないよ。」

「そう。じゃあお姉さんがとってもためになることを教えてあげるわ。人の気持ちっていうものは変わってしまうものよ。
メグがきちんと向き合わなければ竜くんはそのうち気持ちが離れてしまうのは絶対よ。」

「うーん。心友から一歩踏み出す勇気がないのよ。
竜を失うくらいならまだ鉄砲をもった強面のおじさん達とかと遊んであげたり、人食いサメのプールで泳ぐ方が楽なのよね。」

「女の子のセリフじゃないけど、それができてしまいそうなメグが怖いわ。」

「ん?前にあったよ?おじさんたちは意外と話せば分かる人たちだったし、サメなんて血のにおいをかがなきゃ大人しいものよ。」


・・・・・


「ほんとなんでメグが生きているのかわからないけど、もうそっち系の話は慣れちゃったわね。普通だったら嘘だと思うんだろうけど本当なんでしょうねぇ。」

「基本嘘はつかないよ。この体質だからね。」

キーンコーン

チャイムと同時に司が教室に入ってきた。
時間ぎりぎりまで麻美と話でもしていたのだろう。
司に挨拶をし席についてしばらくすると吉川先生が入ってきてSHRが始まった。






「わぁ。綺麗な生地ですね。」

授業も終わって今はクラブ活動の時間だ。
ボクは夏に向けて浴衣を作ろうと考えちょうど今日生地が届いたので寸法などを測っている。

「由香ちゃんの分も作ってあげるから期待して待っててね。」

「ええ?いいんですか?でも、生地とかって結構高いはずですよね?良く学校がお金だしてくれましたね?」

「今回は自費だよ。でもお金の当てはあるから心配しないで、その代わりちょっと協力してね。」

「浴衣を作ってもらえるならどんな協力でもします。」

うん、由香ちゃんは本当に純粋な子だ。
まぁ、作る前に報告しなくちゃいけなかったんだろうが、みんなボクの言うことなら結構聞いてくれるから問題ないだろう。

「うちらにもつくってくれるんですか?」

「もちろん花火ちゃんの分もあるよ。その代わりボクのイメージで作りたいから、生地を選んだりはできないけどそれだけは許してね。」

「いや、うちもこんなん着たことないし、女神先輩のセンスなら間違いないんでお任せします。」

「うん、じゃあ二人ともちょっとサイズ測らせてね。真奈美ちゃんもそんなところで妄想に浸ってないでこっちに立って。」

真奈美ちゃんは頬を赤くしてニヤケた顔をしている。
そろそろ慣れてきたボクはスルーだ。

「はい。女神様はもうご自分のサイズを測ったのですか?」

「うん。二年になったときの身体測定で測ったから大丈夫だよ。」

「でも、せっかくだからきちんと測り直した方がいいのではないでしょうか?」

ふむ。
確かにその通りだ。
ボクもこの前からブラがCではきつくなってきたのを知っていたので納得する。

「じゃあ測り直そうかな。由香ちゃん手伝ってくれる?」

「はい。そくらいでよければ手伝います。」

「なぜ女神様は私を指名してくださらないのですか?」

「はいはい、自分の胸に手を当ててよ〜く考えてみようね。」

「では、お言葉に甘えて。」

そういうと真奈美ちゃんはボクの胸をモミ出した。

「あん。違うんわよ。真奈美んちゃんの・・・」

「女神様の胸また大きくなったんじゃありませんか?」

鼻息を荒くしながらも真奈美ちゃんの手はエスカレートしていく。
誰か助けてと周りを見渡すと由香ちゃんは手で顔を覆い、でも指の隙間からちゃっかり見ている。
花火ちゃんは顔を赤らめながらも凝視していた。

「はいはい。真奈美ちゃんはサイズ測ってもらったら自分の作品に取り掛かりましょうね。」

ふぅ。
鈴がいてくれて助かった。

「はぁい。でも本当に女神様の胸大きくなってますよ。サイズを測り直した方がいいのは絶対ですね。前はCだったのにDになってました。」

おいおい、なんで触っただけでサイズがわかってるんだ。
結局浩太もいるので準備室に行くと三人とも順調にサイズを測ることができ、それをメモってボクのサイズは鈴と由香ちゃんが図ってくれることになった。

「わぁ。真奈美ちゃんじゃないけど、これはすごいわね。」

「あんまり見ないでよ。結構恥ずかしいぞ。」

「恥ずかしがるようなプロポーションじゃないわよ。んと、B86・W58・H83どこのグラビアアイドルよ。」

「先輩はボンキュボンですね。」

「由香もそのうちおおきくなるさ。まぁ先輩の場合その体系を維持するのに何もしてないってのがすげぇけどな。」

「花火だって結構おおきいじゃない。」

「花火や鈴先輩には負けてると思ってたけど、まさか由香にも負けてたなんて。」

だいたいの順番はボク>鈴=花火ちゃん>由香ちゃん>>真奈美ちゃんだった。
というか真奈美ちゃんは凹凸がなかった。これで勝っている子はいないだろうに。

「女神様。詰め物するんで胸の部分は上手にごまかしておいてください。」

「はいはい、みんな成長期だからある程度ゆったり着られるように作るつもりだったからそこら辺は大丈夫よ。
真奈美ちゃんはうまくラインを作って胸があるようにしてあげるわね。」

「ありがとうございます。」

普段百合後輩の真奈美ちゃんも一応乙女なのでそこら辺は気にするようだ。
花火ちゃんと鈴は十分胸があるので問題ないが由香ちゃんと真奈美ちゃんにはうまいデザインを考えてある。

「さぁ。みんな自分の作品に取り掛からないと学園祭で展示物の無いブースを出すことになるわよ。」

「「は〜い」」


美術部は学園祭の時に特別に出し物をすることになっている。
というか去年ボクがあまりにもすごい作品を作りすぎて発表の場を作ろうということになって、今年もあるので、後輩たちにはそれを目標に作品作りをさせることにした。

後輩たち三人が出ていくと準備室には鈴と二人だけになった。

「ねぇ、メグ?さっきお金のこといってたけど、本当に大丈夫なの?」

「ああ、むしろ部費としては余ることになると思うわ。みんな個性的な性格ではあるものの見た目はとってもかわいいからね。」

「ん?見た目とお金が関係あるの?危ないことじゃないでしょうね?」

「大丈夫よ。夏に合宿に行くことは前に決めたでしょ?」

「ああ、海の近くなんだってね。これも部費でしょ?余計にお金がなくなるんじゃないのかしら?」

「ふふふ、ところがその合宿先の民宿の近くで結構大きな浴衣コンテストがあるのよ。」

「ああ、なるほどね。そんでもってコンテストの賞金をいただこうってことか。だったらメグ一人でいいじゃないの。」

「優勝賞金だけで元手はとれるんだけど、どうせなら副賞なんかも総なめしたいじゃない?
この前調べたところによると、このメンバーならそれも不可能じゃないからね。ついでに合宿には安全を測るために竜と司と麻美も呼ぶから。」

「安全って、まぁ確かに竜くんはいた方がいいとは思うけど、部外者三人なんて学校側は大丈夫なの?」

「あら?ボクをなめてもらってはいけないよ。
そこら辺の交渉もコンテストの日程もすべて調節済みよ。
【校長先生は作品展示のためにどうしても必要なんです。】って言ったら鼻の下を伸ばしながら
【活動の記録はしっかりと撮ってきて提出するように。】なんて言ってたわ。
私の浴衣写真でも数枚持っていけば問題ないわよ。」

「メグから黒いオーラが見えるわ。普段はこんなに可愛いメグちゃんなのに不条理や悪に対しては本当に容赦ないわね。」

「いいのよ。向こうが大人の都合で動くなら、こっちは子どもの都合で動くだけよ。」

「まぁいいわ。それだけ自信があるならお金のことは心配いらないし、私は学園祭に向けて自分の作品と後輩たちの指導をしてあげるからメグは浴衣作りに専念しなさい。」

鈴はこういう時に気を配ってくれるのがすごく嬉しい。
ボクも流石にすべてを一人でできるわけではないのでこうしてボクの手が届かないところをうまくフォローしてくれる鈴には本当に感謝している。

「ありがとう。でもデザインとかはもうほとんどできているから、あとは作業だけなのよ。
結構すぐにできると思うわ。できたら試着しなきゃね。竜たちも呼んで試着してもらって、あとは、またボクも他の作品とか後輩の指導とかに周るよ。」

「ほんとメグの頭の中を一度でいいから見てみたいわ。じゃあ、がんばりましょ。」

そう言って鈴は準備室を出ていき、ボクも今から作業する分だけの生地を手に取ると残りは準備室に保管して美術室の方に向かった。






夏の花の一つに浴衣を持ってきました。

しかし、秋は本当に抜かりがないですね。大きすぎず小さすぎず。
身長は以前160前後となっており、こちらも大きすぎず小さすぎず。


作者であるAKIの夢がいっぱい詰まった秋でした。

さて、今回のテーマは“夏の準備”です。
春の遠足が終わり、夏が近づく様子を鈴の衣替えあたりから浴衣に至るまで表現したつもりです。

そして合宿では海が近くにあります。海って聞くと嬉しくなるのはAKIだけですか?AKIは海が大好きです。海の家の焼きそばっておいしいですよね。祭りの時のたこ焼きっておいしいですよね。


というわけで、夏の準備である18話を読んでいただきありがとうございました。


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