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何かを感じてもらいたい小説です。ちなみにエッセイとかそんなんちゃうよ
白い足跡
作:bu†io


 

 外はもう白い。

 今年の冬は昨年に比べ、雪が多く、気温も圧倒的に低い。

 気を抜いて垂れた鼻水ですら凍ってしまいそうだ。

 ふと、後ろを振り返ってみる。

 そこには一定間隔に付けられた白い白い足跡が続いていた。

 今は、雪は降っていない。

 だが寒さはいつもと変わらない。

 お気に入りのコート、手作りされたマフラーや手袋を着込んでもあまり着た気がしない。

 思わずはぁとため息をついた。

 ため息すら白い

「なに、ため息ついてんの?」

 横に連れ添って歩いていた彼女が俺の一歩前に出て、俺の顔を覗き込むようにしてそう言った。

「いや、別に」

「ふ〜ん」

 彼女は、また俺の真横に戻って足跡を隣り合わせた。

 沈黙は、冬枯れた町の淋しさを際立たせる。

 本当は何か話したいんだけれど、今になってコトバが出てこない。

 彼女は何を思っているだろうか?

 俺を、今日という日を、この冬を、18回目のクリスマスを…。

 手を繋ぎたいけれど彼女がつくってくれた手袋が今になって邪魔で繋げられない。

 考えているうちにも、二人の足跡は増えていく。

 当たり前だろう?

 俺は俺をフッと嘲笑った。

「どうしたの?」

「少し・な」

 俺は、自分の右手の手袋と彼女の左手の手袋を外して小さな掌をぎゅっと固く握った。

 彼女は目を大きく開け、驚いたような顔をした。

「今日・だけ…」

「…うん!」

 彼女は俺が惚れた笑顔で了解してくれた。

 最後の、クリスマスプレゼントだろうか?

 だとしたら、悲しすぎるだろう?

 フワッフワッと、とうとう雪が舞い降りてきた。

 それはいつもよりゆっくりで大きくて切なげだった。

 顔に触れるとすぐにとけて消えていく。

 時間も、もうそろそろかな?

 無意識に大事なモノを握り締める手の力が強くなった。

 雪は次第に激しくなっていく。

 二人の確かだった足跡も薄れていく。

 前方にあるはずの道も先が見えなくなってきた。

 俺は、ついに立ち止まってしまった。

 それと同時に大事なモノは消えてなくなり、右手だけやけに寒い。

 もはや前も後ろもまったく見えない。

 歩いてきたはずの道も、歩いていくはずだった道も見失っていた。

 吹雪が体と心を冷やし、俺は震えだした。

 時間も感じることを忘れてとにかく考えた。

 今、自分が向かうべき先の終着駅を。

 きっとそこからまた新しい道が開けるだろう。

 確かに失くしたものは大きいけれど、後悔ばかりじゃすすめない。

 ようやく、心を取り戻した。

 過去も大事に大事にしまった。

 見失いかけた未来も新しいカタチで見つけることができた。

 気付いたら、雪は止んでいた。

 俺はただ前だけを見つめてまた新しい足跡を残していった。

 いずれ季節は巡り、また春が訪れるだろう。

 そしてその後、次の冬が来ても大丈夫なようにできるだけたくさんの足跡を残していこう。

 決意を固め、俺は歩みを速めていく。

 新しい明日を目指して…



 


短いけれど短くおさめたからこそ伝わってもらいたいモノがあります













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