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片瀬の日々
作:STORM



第3章第3話 片瀬駿失踪事件の全貌はいかに!・・・事件じゃなくて事故なんだが。


6月23日午後7時

「オレが来たときはこんな部屋じゃなかったのにな・・・」
オレの貯金で結構家具が揃ってきていた。
オレの貯金で。
オレの貯金で。(大事な事なので2回言いました)
ちなみに、現在は二人で夕食を食べながらテレビを見ている。
電気はオレが頑張って引いた。
「駿!ゴールデンタイムのテレビが始まっちゃうよ!」
何時からゴールデンタイムって覚えたんだよ。
買ってからまだ3日目だぞ?

今回のテレビはスペシャル番組で、失踪した人の捜査をする視聴者参加型の番組だった。
で、そこで・・・。


<今回の失踪者は片瀬駿さん。友達と旅行に行く途中に失踪したそうです。彼の後ろ盾に椎名財閥が立っているので、今日は世界的超能力者を呼びました>

「ふ〜ん、片瀬駿さん見つかるといいね」
「そうだな、家族が心配するからな・・・って、オレじゃん!?」

<ちなみに発見に最も有力な情報を提供した方には椎名財閥から1億円が贈呈されます>

どんだけ!?
そんなにオレって価値ある人間だったの!?
「ねぇ、駿」
「な、なに?」
なんか湊がエロかわいい顔をしながらオレに迫ってくる。
「ボクの初めてあげるから、君のこと、椎名財閥に突き出して・・・いい?」
いや、エロいから頷くとこだった・・・。
ってかそんな言葉どこで覚えた!?
確かにパソコン買ったけどよ。
たった2日でそこまで情報入るわけ!?

<えーと、今通訳の方が超能力者の透視を通訳しています。暫くお待ちください>

「・・・駿、ボクもう我慢できない・・・」
「お、おい!止めろ!」
ちなみにオレが襲われそうだと勘違いしてる人もいそうだけど、我慢できないのは貧乏生活っぽい。
一度娯楽を味わったらもう無理か。
人間には耐えることはできない。

<えーと、「どこかの山奥で、女の子とエッチなことをしようとしている」らしいです>

「はっ!?どんだけ透視能力あんだよ!?」
「ねえ、駿・・・ボク、またアイスが食べたいなぁ」
「わかった・・・買ってやるからどいてくれ!」
「それと遊園地も行ってみたい!」
「わかったから、早くどいてくれー!」

<えーと、今エッチなことを止めたようです>

もう止めてくれ・・・。
てかテレビ止めようぜ?

そんなとき、依頼主っぽい人が出てきた。
オレと同じくらいの年齢かな・・・ひとつ違いの姉か妹かってところか・・・。
随分豪華な衣装纏ってるな。
すげぇよ、オレってこんなとこの出だったのか?
「駿!見ていましたら早く出てきなさい!私は今怒っているのですよ!」
あの口調から姉かお節介な妹と見た。

<えー、新たな情報ですが、透視の結果駿さんは記憶を失っていて人の名前は自分の名前しか覚えていないそうです>

この超能力者どんだけ透視力すげぇんだよ。
確かに、現在覚えている人の名前はオレと湊だけだ。
他にどんなやつがオレの周りにいたとかは知る由もない。
親も忘れているくらいだからな・・・。
オレって・・・どんな奴だったんだろう。


「湊」
「なあに?」
近くで買ってやった雑誌を寝ながら読んでいる湊は体を起こしてオレを見た。
「オレ、自分を探しにあいつに会いに行ってみようと思うんだ」
オレは決意した。
今までの足跡がどのようなものだったのか確かめに。
だから、オレはあの少女に会いに行くと決めた。

「オレの居場所を電話で伝えてくれ」
「なんで?」
オレは別れるんだから、最後くらい湊には残してやりたいと思った。
十分残してるけどな。
「お前がすれば1億もらえる。それで少しは良い暮らしができるだろう」
すると湊は悲しそうな顔をした。
「そんなの嫌だよ!ボクは駿が大好きなんだから!折角できた友達と別れたくなんかない!」
途中から涙声になっていた。

「ねぇ・・・どこにも行かないでよぉ・・・お願いだよぉ・・・」
湊は泣きながらオレにしがみつく。
「でも・・・オレは・・・」
「・・・駿の嘘つき!」
・・・え?
「駿はまたアイス買ってくれるっていったもん。それから遊園地にも連れて行ってくれるっていったもん。それに・・・それにボクはこんなにも駿を愛してるのになんで駿は気づいてくれないの?」
オレはこの言葉に心をうたれた。
子供っぽい言葉だが、オレには心を射抜く矢のように思えた。




気がついたらオレは涙をを流していた。
それも大粒の。

・・・別れたくない。
こんなにも純真な心をもつ女の子をひとり残してここを去ることなんてオレにはできない。

「ねぇ、駿」
オレは声を出せなかった。
「もし、ここを出ていくなら・・・その前に・・・」


オレは涙で湊の顔を見ることはできなかった。
だけど、最後の言葉は聞き取ることができた。






「ボク・・・いや、わたしを・・・抱いて」


確かに、湊はそう言った。

何この状況?












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