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突然の彼女・エピソード2
作:ヒロヒト.JJ



その5 仕事にならない残業


仕事にならない残業

●森田卓の視点
「ぷはーっ!すきっ腹には効くわねー!すいませーん。生おかわりー!」
同じ部署の園崎頼子そのざきよりこさんが豪快に中ジョッキを一気飲みした。
「Σ|ll( ̄▽ ̄;)||lえ?お、おかわりするんですか?」
 おごり役の僕は冷や汗ものだ。今月のおこづかいも底をついてしまう。
「あんたバカじゃないの?今のは乾杯の1杯でしょ!これからじゃないのっ!」
「はぁ・・しかし。。」
「ちょっとスポンサーしっかりしてよね!あんたが悪いのわかってるでしょ!」
「はい。。確かに僕が迷惑かけましたから。。(⌒-⌒;」
「じゃグチグチ言わないの!安い焼き鳥屋で我慢してんだから!ね、三木さん。」
「え、ええ。。(^_^;)」

(;´д`)トホホ。。参ったなぁ。

 この場にいるのは僕を含めて3人。この姉御肌的な園崎頼子さんと、逆に控えめでおとなしい三木綾乃みきあやのさん。
まさにさっきまで一緒に残業をしていたメンバーなのです。
園崎さんは言いたいことを平気で言える勝気な人なのはわかっている。
でも三木さんに関してはまだ何も知らないし、これまで会話もろくにしていない。
まだ来たばかりだからなのかもしれないけど、僕にも親切にお茶を入れてくれるし好感が持てる。
 しかしながらやっと残業が終わったというのに、僕が彼女たちにおごらなければならないなんて本当についてない。
そもそもこうなった原因は、僕たち残業組が会社でやらかしたこと。
てゆうか、園崎さんが言ったように僕がやらかしたことにある。( ̄ー ̄;

 ーーー今から1時間前ーーー

「ε- (^、^; ふぅ・・のど渇いちゃった。三木さんなんか飲まない?」
「え?あ・・はい。じゃあ私、下の階の自販機でなんか買って来ます。」
そう言って彼女がイスから立ち上がろうとした。
 年齢的にも幾分年下の三木さんが先輩の園崎さんに気を使っているのだ。。
「ちょっと待って三木さん。」
「はい?」
「ねぇ森田、ちょっとひとっ走り行って来てくれない?」
いきなり僕にお鉢がまわってきた。
「あー・・僕もうすぐで終わりそうなんで。。」
「終わりそうなら今すぐ行けるじゃない。アタシたちまだまだ終わらないんだからあんたが行くべきでしょ?」
「は、はぁ・・」
 なんとも妙な理屈があるものだ。でも彼女に逆らってもいい事は何もない。
「アタシ、缶コーヒーがいい。エスプレッソね。ホットで。三木さんは?」
「私は・・じゃあカフェオレがいいかな。森田さん、私が行ってもいいですよ?」
「いえ、僕が買ってきますからいいですよ。仕事続けてて下さい。」
「そうよ三木さん。森田に任せとけばいいのよ。森田だってここから離れてこっそり奥さんと携帯で話したりメールしたりしたいはずだから。」

『ヘ( ̄ω ̄|||)ヘぎくッ!・・当たりだ。やっぱり鋭いな園崎さんは。。』

 給湯室はあるけれど、上司や来客のためにだけお茶が用意されているだけで、僕たち自身が利用することはまずなかった。まして園崎さんが自分でお茶を入れたり人に入れたりするなど想像もつかない。彼女はそういうキャラなのだ。

 少し薄暗い廊下を小走りして、突き当たりのエレベーターに乗り階下に下がる。
そして僕は自分の分と、リクエスト通りの缶コーヒーを買って、来た道を折り返す。
『しまった・・上着脱いできちゃったよ。。』
 これが失敗の素だった。部屋の暖房が効き過ぎて、つい上着を置いて来たため、熱くたぎった缶コーヒーを入れるポケットがなかったのだ。
「あちちちちっ・・!!」
僕は手の上で3本のホット飲料をお手玉のようにもてあそぶ。人から見たら芸をしてるように見えるかもしれない。だが僕は必死だった。
途中、ズボンのポケットに入れてはみたものの、太ももが火傷しそうですぐにまた出してしまう始末。
それでもなんとか熱さに耐えながらもエレベーターに乗り、部署の階に着くまでじっと待つ。
「よしっ!ドアが開いたら部署まで猛ダッシュだ!」

 確かにここまでの意気込みは良かった。
だが僕のことだから当然のように今回も空回りしてしまった。
 エレベーターのドアが開いた瞬間、予定通りにスタートをきった。
もう缶コーヒーが熱くて一刻も早く手放したい。そんな思いが先走りして、前傾姿勢のまま足がもつれて僕は前のめりに廊下に倒れた。
当然のように缶コーヒーたちはコロコロと床を転がってゆく。
だがそれだけならまだマシだった。
エスプレッソだけが一直線に部署のドアの前まで勢いよく転がり、更に運の悪いことにちょうどドアから園崎さんが出ようとしているところだったのだ。
彼女は床下など何も気づかずに、ドアから第1歩を踏み出した瞬間、その足がエスプレッソに乗り上げた。

「\(◎o◎)/キャーーーッ!!」

園崎さんの足が前にズルッと開脚して廊下にべチャっ叩き付けられた。
おすもうさんに例えるのも何だけど、まさに股割り状態。
「うぐっ!!・・今グキッっていったぁぁ〜(T◇T)」
そのあと彼女はバランスが取れなくなり、足を開いたまま後方へ倒れた。
僕は目のやり場に困った。たくしあげられた制服のスカートの中身は丸見え。
すぐに半身だけ起き上がったものの、どうやら彼女は自分の内ももの筋を痛めたようで手で揉んでいる。
「痛ぁぁぁい!森田のバカぁ!筋違えちゃったかもしれないでしょ!」
「す、すいません。。僕どうすれば・・さすってあげたり・・できないですよね?」
「当たり前でしょ!えっち!!」
「(;´д`)ごめんなさい。。」
「(゜〇゜;)ハッ!」
園崎さんはすぐに開いている足を閉じて僕を睨んだ。
「森田、ずっとアタシのパンツ見てたでしょ?」
「いえいえいえいえ、とんでもない。」
「じゃ全然見てないってわけ?」
「はぁ・・目を伏せてたんで。。」
「見てたから目を伏せたんでしょ!」
「いやその・・それは成り行きで・・(⌒-⌒;」
「全くもうっ!」

 騒ぎを聞きつけた三木さんが中から出てきて、園崎さんに肩を貸して起こした。
「大丈夫ですか?」
「・・ええ、まぁなんとか歩けるわ。ありがとう。」
僕は園崎さんにかけてあげる言葉が何も思い浮かばなかった。
ただ、何か言わなくてはいけないと漠然とした思いがあって、
「廊下は寒いから中に入りましょう。」
と言ってみた。
「あんたのせいでしょうがっ!!ヽ(`⌒´)ノムキィ」
「そうでした。。ハハ(⌒-⌒;」
        (続く)







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