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突然の彼女・エピソード2
作:ヒロヒト.JJ



その44 ドキドキ慰安旅行・前編


 ドキドキ慰安旅行・前編

 ●森田卓の視点

 ここは温泉旅館の宴会場。
 温泉は好きだけど、バカにされる同僚と食事をするのは苦痛でならない。
 案の定、僕は園崎頼子さんの横でお酌をさせられていた。
 もちろんこんなこと好きでしているんじゃない。
 コーヒーを彼女の服にぶっ掛けて以来、私用で子分扱いされるのだ。
 酔いのまわた園崎さんの話し声がだんだんでかくなってきている。
「森田、あんたドジだけどお酌のタイミングはうまいわね♪」
「そうですか、そう言ってもらえると嬉しいです。」
 そんな心にもないことが口から出てしまう平和主義な僕。

「おい森田、なかなか様になってるじゃないか。」
田嶋君がニヤニヤしながらこちらを見ている。
「園崎のわんこにもってこいだな。アハハハ」と次は白石君。
それを聞いて園崎さんは少し困惑したようだ。
「ちょっと待ってよ。アタシ、女王様みたいじゃない。」
 その時、女王様という言葉を聞いて、そばにいた部長がビクッと反応したのに気づいたのは僕だけのようだった。
「困るわ。森田はわんこじゃなくてただの召使い。勘違いしないでね!」
「わんことどう違うんだ?」
「わんこは慰めてくれるけど、召使いはアタシが拒否するからw」

  みんな好き勝手なこと言ってるよ・・・( ̄Д ̄;;

「森田、家でも嫁さんにお酌してんだろ?」と田嶋君。
「いや、家では逆なんだけどねヾ(´▽`;)ゝ 」
「想像つかねぇよそんなの!」
 なにげにちょっと離れた席の三木綾乃さんを見ると、まるで無関心のように黙々と料理を食べていた。
一瞬僕と視線が合うと、彼女は自然に目をそらせた。

 良かったぁ…今日の三木さんは全く僕に近寄って来ない。ちゃんと立場をわかってるんだ。ゆりかも着いてる頃だし、このまま無事に済みますように。。。

「森田が一晩いなくても、嫁さんが寂しがってるとは思えんな。」
黒崎君がまだ僕の話題で引っ張ろうとする。
「逆に嫁さんはせいせいしてるんじゃないか?今頃、男呼んで浮気してるかもしれんぞ?( ̄ー ̄)」
「それはないと思いますけど(^_^;)」

 そんな会話をしてるちょうどその時、出入り口付近にいた是枝君が僕を呼んだ。
「森田さん、ちょっとこっちへ…」
「え?」
「面会の人がふすまの向こうに…」
 僕は直感した。ゆりかに違いない。でもどうして宴会場なんかに…
「森田に面会?こんな場所で?一体どんなオタクが来てるんだ?」
「別に僕はオタクじゃないんで…(⌒-⌒;」
 僕より先に田嶋君が立ち上がって、酔った勢いで強引にふすまを開けた。
「誰か知りませんが一緒に飲みま……!!!」
 田嶋君が固まった。ゆりかを目の前にして硬直してしまった。
 宴会場の一同の視線も一斉に開いたふすまに注がれている。
「あ!ひょっとして…森田の嫁さん?」白石君が見開いた目で僕に言う。
「うん。来るとは聞いてたんだけど、部屋で待っててって言ったのに。。」
 僕も立ち上がってゆりかの元へそそくさと向う。ゆりかは遠慮がちに会場に一礼して僕を待っている。
 硬直がとれた田嶋君が後ずさりして近くの同僚に小声で囁くのが聞こえた。
「びっくりしたぁ!瞬間でときめいちゃったよ。」
「森田の嫁さん見るのは結婚式以来だけど、相変わらずすっげぇ美人だな。」
「あぁ。前よりも綺麗になってるし。」
「なんかギンギンにオーラで出てるぞ。」
「悔しいほどに綺麗だわ。森田がなんでわんこになれたのかしら。」

 そんな囁きの中、ゆりかが小声で僕に話す。
「卓さん、我慢しなくていいから途中で抜けてお部屋来ていいのよ。」
「え?聞いてたの?(⌒-⌒;」
「ちょっとだけね。もうお料理も食べつくしてるみたいだし、おいとましたら?」
「うん。途中抜けるのは構わないんだけどさ。上司の万歳三唱のときは戻らなきゃなんないんだ。」
「新年会でもないのにそんなことするの?」
「部長がやりたいらしいんだ^_^;」
「へぇ〜」
「今ならちょっと抜けれるから行くよ。」
「良かった。じゃ一緒に行きましょう。」

 僕は同僚たちに振り返って言った。
「すみません。ちょっとの間だけ抜けますんで。。あとで必ず戻ります。」
 反対する人は誰もいなかったが、思い切りひやかされた。
「森田やらしい〜!どスケベ!」
「いいなぁ〜もうかよ!」

 それを聞いたゆりかはカチンときたようで、少しムッとした顔で一同に答えた。
「今はしませんっ!それはもっとゆっくりあとで!」
会場がシーンとなった。。。

 僕はゆりかの後について行く間際に、三木綾乃さんをチラ見してみた。
 彼女の顔はドキッとするほど無表情で、視線はゆりか一点に注がれているのがわかった。
            (続く)







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