第1打席・天才と野球部
オレは今、ヒジョーに困ってる・・・・・・。
なぜかと、いうのは・・・・・・・・・・・無理やり部に勧誘されてるのだ。
「あの・・・・・・・オレ、帰りたいんですけど・・・・・・・・・」
「いいからきなさい!!」
命令系かよ・・・・・・・。
「餐場! オレは、部活に入る気なんか・・・・・・・」
「仮よ! 仮!!」
言語道断か・・・・・・この、娘・・・・・!!
「じいちゃんに、言って追い出すわよ♪」
「うっ・・・・・・!」
オレは正直、コイツに弱い。理由は、オレが住んでいるのはアパートなのだ。
コイツ・・・・・餐場可奈の叔父が大家をやっている。
しかも、その叔父が孫を溺愛してるのだ・・・・・・・孫の言うことはなんでも聞くような、孫馬鹿なのだ。
だから、そう言われるとオレも縮こまるしかない。
「で、何処に連れてく気だ?」
変な部活じゃないだろうな? ここは、変な部活が多いからな。
「野球部!」
・・・・・・・・・ノーマルで良かった・・・・・・・・・・・。
心からそう思えた。
こうして、オレは(無理矢理)野球部に仮入部することになった。
「はっ?」
オレは餐場に質問を返す。自分でも珍しいと思った。
「だ〜か〜ら!」
「キャッチャーがいないだと!!?」
叩かれた。何にだって? 餐場にだ・・・・・・ハリセンで。
「何故叩く?」
「人の言葉を返せ」
「?」
何を言ってるんだ? この、馬鹿は?
そう、思う・・・・・・・本気で。
どうやら、この野球部は今年新設した部活で、2年の先輩が2人、他にオレを入れて6人が1年というこの学校では珍しい部員不足などにも驚いたが、まさか、キャッチャーも欠けてたなんて思いもしなかった。
「まあまあ。そう焦らさんなって。マネジちゃん♪」
と、背の高い痩せた人が餐場に話しかける。
「久隅先輩! ちゃん付けは止めてください!!」
久隅健吾。2年生で、生徒会会長を1年の時に就任した先輩だったな。ファンクラブもあるから聞いた事はある。
「やぁ、オレは久隅健吾、宜しくね☆ ポジションはサードを守ってるよ」
「あ、はい」と、相槌をうつ。
辺りを見渡すと、グラウンドを整備してるのは2人、キャッチボールをしてる2人で外野でパソコンをいじってる人の5人居る。
「あぁ、他のヤツも紹介するね。
まず、グラウンドの整備をしてる、副部長をやってる沖田総氏。センターを守ってる、ウチの1番の強肩と50m5秒の俊足だ」
偉人!!?
「もう、一人がデイビス。ウチの巨砲だよ。ファーストを守ってる」
外人かよ!!
「で、パソコンをいじってるのは、光野一樹。ショートを守ってる」
こっちを見て一礼する。
オレも吊られて1礼する。
「キャッチボールをしてる2人は、あの小さいのが小木彰正。セカンドを守ってて。んで、孫悟空こと竜宮勇斗。ミートが上手いぞ。ライトを守備してる」
「ま、だいたい覚えました」
とくに、外人と、偉人はね。
「で、ボクの独断と偏見で君をピッチャーの位置についてもらうよ」
そんなので、良いのか!!?
「あの、キャッチャーが居ないと、練習できないと思いますが・・・・・・・・?」
「アソコを曲がった先に、『的』があるから。行こうよ」
・・・・・・・・・壁打ちならぬ的打ちですか・・・・・・・・。
「じゃ! 私は適当にキャッチャー探してきますね! 部長!!」
「いってらしゃい」
と、にこやかに笑いながら言う。
キモ・・・・・・・・。
心底そう思う、今日このごろ。
「まずは、基本の動作なんだけど・・・・・・・・」
連行され、結果として辿りついたのは体育館裏にある、空き地だった。
そこで、グローブとボールを渡された。
サイズは・・・・・・うん、ちょうどいいな。
球を強く握る。
そして・・・・・・・見よう見真似の動作で、投げる!!
この際の体重移動は・・・・・・・・ボールに体重をかけるように・・・・・・して、振りきる!!
<ズドォン!!>
ま、こんなものか。
急速は140そこそこかな?
帰って来た球を捕り、そして、ハンズアップ。
「教えるまでもないか・・・・・・・・・」
と、哀愁が漂う感じで喋るがオレは聞く耳をたてなかった。
どうせ、仮入部の期間だけなんだ・・・・・・・真面目に聞く道理などない。
<ズドォン!!>
オレは、小1時間ほど投球練習をした。
それから、基礎体力を付けるためランニング。そこから、ストレッチに入り、次に各自の守備練習をして打撃練習へと進む。んで、最後にミーティングし解散という流れだ。
結局お目当ての捕手は確保できなかったみたいだ。
「あ〜ぁ。無駄な体力を使ってしまった・・・・・・・・・」
「無駄言うな! 青春の汗は素晴らしいのだ!」
と、背景に<ど〜ん!>と、文字があるのは幻覚であろう。
「馬鹿じゃねーの? 1日に人間が動くのに1番ベストなのはな・・・・・・・」
「アンタ、根っからの理屈主義者ね・・・・・」
理屈というものは重要な物だぞ。
「あの時の過ちを繰り返さない為にな・・・・・・・・・・」
「へっ?」
しまった、口を滑らせたか。
て、言うか自分のミスが許せねぇー・・・・・・・・。
オレも、馬鹿の内か・・・・・・・・・。
「なんでもねぇよ」
そう言い、オレはアパートの方に足を進める。
餐場ともここでお別れだ。正直、助かった・・・・・・・と、安心する。
「ちょ! 神也ぁ!!」
叫んできやがった、はぁ〜。うぜぇ〜。
「あんだよ?」
「グローブ馴らしといてねぇ!」
そこかよ!!
だめだ、あの娘・・・・・・・・。
オレの周りには馬鹿しかいないと改めて実感した。
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