間奏曲 伍曲目[太陽の人]
太陽の人。
貴女は僕の眼には眩し過ぎるから、直視できないのです。
だけど貴女は絶対の存在。
貴女無くしては、僕の世界は動くことをしないのです。
まるで神の様に。
ねぇ、僕は思うんだ。
神様なんて何処にもいないんだって。いたとしても神が平等であらせられるだなんて嘘に違いない。
だって神様がいたなら(もしくは平等な神であれば)、僕が捨てられることなどなかったでしょう?
神様がいたら、僕は普通の子供で(普通なんて定義の曖昧なモノを引き合いに出すのは卑屈かもしれないけれど)いられたでしょう?
家族に見捨てられると言うのは、最大の不幸なのです。
人が生まれながらにして持っているのは無償の愛をくれる家族、そうじゃない?
ねぇ太陽の人。僕は特別なことなど何一つ求めていなかった。
僕はただ普通の、それ以上でも無くそれ以下でも無い、普通でありたかった。
何処にでも在るような、『その他大勢』の内の一人で良かったのです。
貴女もそう思ったことは無いですか?(きっと貴女はこの質問には答えないだろうけど)
僕らは血の繋がった家族では無いけれど、酷く似通った部分がある。
神様を信じていないこと、人に知らず知らずのうちに距離を置いてしまうこと、そのくせ独りが怖いこと。
もし神様が平等でいて、僕ら二人に血の繋がった(血の繋がりが最大の絆だとは言わないけれど、喩えとして)家族があったなら、それはそれで幸せに生きていけたと思う。
でも、もしもあの日あの時にあの場所に(暗い暗い、底無しと呼んでもおかしくないあの狭く汚い街)捨てられなかったなら貴女と会うことは無かった。
それを想像すると、心の奥底、父と母の記憶を封じ込めたソコがきりりと痛むのです。
神様がいたならば、僕は平々凡々な普通で在ることを許されていたでしょう。
けれど現実(いま針が刻むこの瞬間)には神様などの存在は欠片ほども見当たらないのです(僕が不敬だからですか?ならばこれほどまでに不平等な神はいない)。
そう、そのお陰で貴女と出会えた。これは誰に感謝するべきだと言うのでしょうね、太陽の人。
祈ると言う行為は、こんな僕でも無駄では無いと言える。
祈りは神様に捧げるだけでは無いのを知っているからです。
「神に祈るのでは無いなら、それは祈りとは呼ばない」
そんなことを言う人は、祈りを知らないのです。
祈ると言うことと、想うと言うことはきっと同じでしょう?
だから、僕は。
貴女の幸せを、僕に幸せを。
僕の世界に神様はいないから。
姉さん。
貴女は僕の眼には眩し過ぎるから、直視できないのです。
まるで太陽の様に。
血は繋がらないけど貴女は絶対の存在。
貴女が笑えば僕も笑う。
貴女が泣けば僕も泣く。
貴女の喜ぶ顔が見たいから、貴女に普通の子供みたいに褒められたいから、一生懸命に生きている。
僕を照らすことが出来るのは神でもなく、光でもない。貴女だけなんだ。
ねぇ太陽の人。
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