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男は呼吸を調え、語りだす。
「私の名前はジャン・ピレスと言います…かつてオザレリア共和国という国で兵士をしてました。私はそこで無線の傍受を専門に最前線を駆け巡っておりました…」
ブラックジャックは黙って聞いている。
「国は独立した国でしたが石油がもとでかつての本国が裏で糸を引き、内戦を持ちかけ、国全土が戦火に散りました。私は軍で電波傍受を命ぜられ任務し、何時しか敵からは傍受の天才、山猫と言われておりました。ある日、私は反政府軍の無線を傍受し、それを上層部に報告。作戦がねられ、部隊が派遣された。だがそれは、味方を見殺しにしてまで、敵の大部隊を爆撃するものだった…」
ジャンのシワに滲みでるものがあった。
「我々の部隊はほぼ全滅。そこで怪我をしたものを含む数人が捕虜になったが、私が山猫としられれば拷問も止むを得なかった。味方に裏切られ、怪我をしたものまで堪え難い苦痛を負わせるのはしのびなかった…そこで私たちは味方の情報を流す代わりに、裏で操るかつての本国に亡命を希望した。そして亡命後…我々は手厚い看病を受け、命は助かり、除隊後、今にいたるわけです…」
ブラックジャックは沈黙のまま、ピノコはベットへと潜り込んでいった。
「なんか…悲しい話なのら…」
ピノコなりに何か思い当たったんだろう。そしてブラックジャックが聞き出した。
「その時に、腹部の手術を?」
「いえ…」
ジャンは黙り込んでしまった。
「言いたくなければ結構だ」
「いえ…違うんです。何故かはわかりませんが、腹部の手術は記憶にないのです…」
するとブラックジャックは椅子から立ち上がる。
「さっそく明日に病院を手配して、細部まで検査をしよう」
ジャンの顔が晴れわたり、涙を流し蹲る。
「ありがとう…ございます…」 |