BJ・山猫の子守唄!混ざらない黒と黒(3/14)縦書き表示RDF


久々になってしまいました。他の半端な作品もはやく完結させなければ。
BJ・山猫の子守唄!混ざらない黒と黒
作:士功征宗





 あのキリコとの出会いから数日後、ブラックジャックはピノコにせがまれてオフを長めにとり、ヨーロッパをエクスプレスで廻っていた。
 ピノコがブラックジャックに淡い恋心を抱き、遠目に空ろな眼で眺めていると、隣の車両から中年の男が入ってきた。
ブラックジャックはその男に眼がとまり、じっと通り過ぎるのを視ていただけだったが、頭のなかでは瞬時に医者としての性が過っていた。
 男はがっちりとした体格だが、どこか弱々しく見えた。
一度、病に侵された事の事実もブラックジャックの眼には映っていた。
 
「しぇんしぇ!しぇんしぇってばっ!何をしゃきから見てるの?私との淡い時間を無駄にする気!!」

 膨れっ面のピノコがフォークを片手にブラックジャックに説教をし始めた。
「あぁ、悪かった!埋め合わせはきちんとするから、そう怒るなぁ」

 この旅行の理由は、ピノコを家に残し、勝手に診療に一人で出たブラックジャックのお返しでもあった。
「あの人がどうかしたの?」

「いや。なんでもない」

ブラックジャックはいつもの事だが、洞察力に長けてはいるものの、大金を叩いてでもすがりついてくる患者にしか興味はなかった。
ただ、特別な理由を除いては……

 ブラックジャックとピノコはある町に数日滞在するため、駅に降り立ち宿を探し始めた。
しばらく歩くと、車両で見かけた男が、海を眺めていたのを見つけた。それにピノコが気付いた。
「しぇんしぇ!あの人確か…」

ブラックジャックは、只、黙って見ていた。

 その日の宿が決まり、さっそくホテルにチェックインし、ホテルのラウンジで寛いでいるとき、ホテルの従業員達が慌ただしくうろつきだした。
「はやく、アナウンスをながすんだ!医者をはやく手配するんだ」

ホテルないで何かがあったらしい。
だが、それでもブラックジャックにはお構いなしだった。
するとその時、聞き慣れた声が自分を名指しした。
「しぇんしぇいなら、あそこに居るのら!」

ピノコだった。
時折のこのお節介が、ブラックジャックの悩みの種でもあった。
「ピノコ!また余計な事を…」

するとまわりが騒めきだし、応じざる得なくなってしまっていた。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう