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どうやら、ピノコにはこの女性が唄う声が聞こえたらしく、ジャンもおそらく同じだろう。
「ピノコ!」
ブラックジャックがピノコに問い掛けると、突然言い放つ。
「この人ね、ジャンさんが教えてくれた唄を唄ってたのぉ」
女性の事情を聞くことにした。
「なぜ、キリコに依頼を?」
静かな低い声をひねり出しながら答えてくれた。
「もう…長くはないのです」
すると、耐えていたものが切れたのか、割り込むようにジャンが問い掛けた。
「あ、あなたのその唄…」
「母が唄ってくれた、子守唄です」
「やはり……」
するとジャンはうなだれ、泣き崩れてしまった。
「何故か…君の声が懐かしく…だけど何故かせつないのは…一体なんなんだ!」
ブラックジャックはただ黙っていた。
これ以上、長居が出来ないのは明白。
三人はとりあえず病院を後にした。
近くにホテルを予約し、そこに落ち着いた。そしてジャンはまた語りだした。
「あの唄は私の生まれたオザレリアの一部で唄われた子守唄なんです…なぜ違うこの地域の彼女が知っているんだ…」
その様子を見てブラックジャックも語りだす。
「今回の依頼料はすべて無効にしたい。あなたの腹部をひらいて、なおさらそう思った。何故なら、移植された肝臓はかなり若い、いや若すぎる!ありえん!そんな驚異的な医術をもった医者がこの世に存在する証明を見せられた瞬間だったよ。だから協力をしたくなった。明日、もう一度病院に足を運んでみよう」
するとジャンはうつむき、泣き震えていた。
翌日。病室を尋ね、話を聞いた。彼女にも事情を話した。すると彼女は頬笑んで答えてくれた。
「同じ夢を私もみます。もしあなたのみてる少女が…私と同じ人ならば、おそらく…私の姉でしょう」
「お姉さんは?」
ブラックジャックが聞く。
「はい!数年前に亡くなりました。オザレリアとの戦争の最中、まだ十代だった私の姉は爆撃に飲まれ即死だったと。ですが内蔵の一部をある患者に移植されたと両親から亡くなる前に聞かされました……」
すると、ジャンが近寄る。
「では、それは私の…中に…」
彼女はジャンとは裏腹ににこやかに答えた。
「はい…姉はあなたの中で生きているようですね」
すると泣きながら病室に年老いた男が入ってきた。
「帰ってきたのだねエリーネ」 |