ファイル527:ゲレンデの推理対決・リアンVS美保『4』
マシュー
「ええ!?女優の台矢さんが自殺した?それ、本当か美保!?」
美保
「大きな声出さないでよ!まだオフレコなんだから・・・」
マシュー
「けど何でそんな事・・・」
美保
「さぁ、そりゃまだわかってないわ!それが自殺だってのも怪しいし・・・4年前の事件と同じで・・・リフトに1人で乗った女が自分の頭撃ち抜いた拳銃握って死んでいて、その傍らには子供がやっと入れるぐらいのバッグが置いてあって、中には雪がたくさん詰まってるんだからね・・・」
銀一
「それ、自殺じゃないの?」
美保
「だから、それを父さんの撮ったビデオで確かめに来たのよ!ホラ、撮っといてって言ったでしょ?リフトの乗り口!あの中に台矢さんの・・・」
マシュー
「ああ、あるある!台矢さんがリフト乗るトコだろ?」
ゴソ・・・
銀一
「どう?美保・・・何かわかる?」
ジ〜ッ・・・
美保
「・・・(やっぱりだわ・・・こりゃあ殺人で・・・決まりね!)」
マシュー
「けど、そのビデオ大人気だなぁ・・・」
美保
「ん?」
マシュー
「オマエの他にもいたんだよ!そのビデオ観せてくれって人が・・・」
美保
「まさかその子中学生だったんじゃ・・・」
マシュー
「ああ、1人はそうだ・・・」
銀一
「1人はって?」
マシュー
「もう1人いたよ。その子より随分前に来た、赤い帽子かぶった赤髪の青年がなぁ・・・」
美保
「あ、赤帽と赤髪の男ですってぇ!?」
リリー
「もう1つの雪男の物語?それがこの事件を解くヒントになるん?」
ユーリ
「まぁ質問は聞き終わってからにしてくれ。ある吹雪の夜、家路を急いでこの山を降りていた茂菜という女がいてね、その道の途中で髪の長い銀色の衣を身にまとったとても賢い男性と出会ったんだ・・・男はすがるような眼差しで茂菜にこう言った、『足を挫いてしまいもう1歩も歩けません。どうかボクの家まで連れて行ってくれませんか?』。茂菜が男に家はどこかと尋ねると、男は黙って道のない真っ暗な森を指差した。『よし、わかったわ』と茂菜は力強く答え、背負っていた籠の中に男を入れて、山の奥へと入って行った。だが行けども行けども雪が深まるばかりで家なんて見えて来ない。女は尋ねた、『私は道を間違っていないかしら?』。男は無言で頷く。男は待っていたんだ、女が疲れて自分を放り出すのを。そう、その男の正体は女を人里離れた山奥に誘い出し、精根尽きた所で女の魂を食らっていた雪男だったのだから。やがて茂菜の歩みが遅くなり、しばらく黙っていた茂菜の口がかすかに動いた、『お兄さん・・・』。男は待っていたかのように口元に笑みを浮かべて答えた、『はい、何でしょう?』。茂菜は息を切らせながら、絞り出すような声で言った。『寒くないかしら?』とな・・・」
リリー
「え?」
ユーリ
「女の意外な問いに男は戸惑い、言葉に詰まる。茂菜は寒さで感覚のなくなった足を必死で踏み出しながらさらに続けた、『籠の中はキツくない?』『お腹は減ってない?』『もう少しの辛抱だから頑張って!頑張って!!』。男は『はい』としか答えなかったが、次第にその声は聞こえなくなり、ついには聞こえなくなった。心配になった茂菜は足を止め、籠の中をのぞいたら、中には男の姿はなく、代わりに大量の雪が銀色の衣に包まれるように入っていた・・・とさ!」
リリー
「そっか!茂菜の暖かい真心が、雪男の冷たい心を溶かしたってワケやね!」
ユーリ
「ああ・・・」
リリー
「で?どこがどうヒントなん?」
ユーリ
「フム・・・やはりオマエには荷が重すぎたか?だが、アイツなら良い練習問題になるかも・・・」
リリー
「アイツ?」
ユーリ
「恐らく今、ホテルで前に台矢さんが出ていた映画を観ているであろう・・・我らが妹ならね・・・」
ホテル
リアン
「ホラ!やっぱりそうや!!昼間見た台矢さんの滑りとこの映画の滑り、ちょっとちがうやろ?」
平次
「そーお?どっちもスゴくうまいけど・・・台矢さんのスキー。プロ級やって評判やし・・・」
リアン
「そやけど膝の使い方が微妙に・・・」
「ハートネス先輩〜!」
「スキー授業サボって、従兄弟とビデオ鑑賞ですかぁ?」
「ラブラブでんなぁ♪」
平次
「アホ!そんなんとちゃうわ!!」
リアン
「ん?ちょお見て!台矢さんが雪の中に倒れた俳優にスキーで駆け寄るこのシーン!上から滑り降りて来てフレームアウトするまでは帽子止めがついとるけど、再びフレームアウトして駆け寄る時にはついてへん!ワンカットやのに・・・」
平次
「ホンマや!」
「まさか影武者!」
「ホンマは滑れんかったり?」
和葉
「そんなワケあらへんよ!さっきもバリバリに滑っとったし!」
「それ、ホンマに本人か?」
和葉
「当ったり前やろ?彼女、ファンの子や監督さんと話しとったし、アタシ、ビデオに撮ったもん!」
リアン
「和葉!そのビデオ、今、観せてくれへんか?」
ジィィ・・・
『アンコール!アンコール!』
風子『ダメダメ!今日はこれ1回だけ!続きは映画でヨロシク!』
震蔵『もう4時前じゃないか!!早くゲレンデの上のシーンを撮らないと・・・』
風子『じゃあ先にリフトに乗せてもらいましょう!5時過ぎると真っ暗ですから・・・』
和葉
「ホラな!」
リアン
「なぁ和葉・・・台矢さんのこのバッグ、どこに置いてあったか知っとうか?」
和葉
「ああ、台矢さんが自分でファン達の前に置いてたで!大切な物が入ってるから、私が滑って降りて来るまで取られないように見ててくれって・・・それよりさっきからホテル前のリフト止まっとうけど、何があったが誰か知っとう?」
「さぁ・・・」
平次
「リ、リアン・・・」
リアン
「・・・(そういえばこのバッグ、ホテルの売店で売っとったな・・・)」
お土産物売り場
美保
「何!?このバッグを女子中学生が見に来たですってぇ!?いつよ、それ?」
「本当にたった今・・・買ってくれませんでしたけど・・・あ、それが小さいようでしたら、同じデザインの1サイズ上のこんなバッグもありますが・・・」
美保
「ああ、そうですか・・・」
「ベルトもこ〜んなに伸びて色々と便利ですよ〜!」
マシュー
「わぁ、ホントだぁ・・・」
美保
「(何が便利なのよ・・・)」
銀一
「ちょっと美保?何怒ってんの?」
美保
「当たり前じゃない!!どこぞの中学生に1歩ずつ先に行かれてんのよ?ホテルのビデオも先に借りられてたし、変な赤帽の男も絡んできたし、このままだと先に事件解かれちゃうわ・・・」
銀一
「じゃあ美保、まだ事件の事全然わからないの?」
美保
「イヤ、犯人も殺した方法もわかってるのよ。さっき売店に行った時にねぇ・・・」
銀一
「だったら、早くその事警察に・・・」
美保
「でも解けないのよ。逆さについてたストックの輪と凍ったバッグ、その中に入ってた雪の謎が・・・あれが解けないと私の推理が成立しないのよ・・・」
銀一
「じゃあ、わかってるトコだけ警察に・・・」
美保
「アホ!そんな中途半端な事できないわよ!」
京都府警本部
白野琴葉『当時31歳』
「何よ?マシュー。仕事中に私用の電話かけちゃダメって言ったでしょ?何?事件ですって?」
リアン
「あった!これや!!」
平次
「何それ?」
リアン
「ホラ、台矢さんの遺体を乗せたリフトが上に着く前に鳴ったやろ?銃声のような音が・・・あれは多分、このペットボトルにロケット花火のような物を刺し、掘った雪穴に入れ雪や風を避け、導火線に火をつけて飛ばし鳴らしたんや。口の所が焦げとうのがその証拠!」
平次
「ほな、犯人はあの音がした時ここにおったってワケ?」
リアン
「イヤ、直接導火線に火をつけたんならそうやが、その導火線に火のついたタバコか線香のような物をつけとったとしたら、だいぶ前から仕掛けておけるで!しかもまだこれを回収してへんっちゅう事は、犯人はまだ動きが取れへんでおるっちゅう事・・・」
平次
「おやおや、もう何もかもお見通しっちゅう口ぶりやねぇ・・・」
リアン
「イヤ、犯人も死体の側にあった雪のバッグの謎もわかたけど、肝心の殺害トリックがまだしっくりこないんや。台矢さんの左脇の座面に残っていたキズもうまくつながらへんし・・・」
平次
「え〜?犯人わかったん?」
リアン
「ああ!今、警察に事情聴取を受けとう容疑者は4人!台矢さんの前のリフトに乗っとった地山監督、台矢さんの後ろのリフトに乗っとった探偵の濃崎さん、監督達を呼びに行くためにゲレンデを滑っとった女流スタントマンの落俣さん、そしてリフトを降り損ねた特殊メイクの火立さん!リフトに乗ってる時間は7分!さて犯人は誰でしょう?」
平次
「っていうか、地山監督はわかるけど何で他の3人の事リアンが知ってるんよ?ホンマにわかったん?犯人・・・」
リアン
「あ、ああ・・・」
リリー
「他の3人の事はウチが教えてあげたんよ・・・その人らが警察に話を聞かれてるトコ、バッチリ聞いとったからな!」
平次
「リ、リアンのお姉さん!?ええっ!?何で、どして!?」
リリー
「たまたま偶然、兄姉の旅行とリアンちゃんのスキー旅行が重なったんよ!」
リアン
「(重ねたんやろうが・・・)」
リリー
「そやけどリアンちゃん、30分遅れやで・・・」
リアン
「ん?」
リリー
「さっきここに来たんよ!リアンちゃんみたいな中学生ぐらいの女の子が・・・」
リアン
「え?」
リリー
「何やそのペットボトルやリフト見ながらブツブツ言うとったで?やっぱりあの銃声はウソやったとか、リフトまで3メートル近くあるからムリやとか・・・」
平次
「へ〜っへ〜っ、リアンみたいな中学生の推理アホが他にもおるんですね!!意外〜!!」
リアン
「(アンタも探偵やろうが・・・)」
リリー
「他にもっていえば、知っとう?この山に伝わる、もう1つの雪男の銀衣伝説を・・・」
美保
「ダメ・・・もう陽が暮れちゃう・・・せっかく警察の事情聴取で犯人足止めくらってるのに、解放されたら証拠隠されちゃうわ・・・」
マシュー
「美保!!雨が作るのは水溜まりぐらいだけど、雪だとダルマが作れ、それが氷になったら巨大な像を作る事もできる!見てくれに惑わされたらいけないわよ美保!!by琴葉!!!」
美保
「ハァ?何言ってんのよ?今、雪ダルマの話なんて・・・」
ウルウル〜・・・
平次
「と、とっても哀しいお話ですね・・・」
リリー
「でな、ユーリ兄ったらこれが事件解くカギになるって・・・」
リアン
「・・・。!!」
美保
「!!」
銀一
「み、美保?」
平次
「リアン?」
美保
「フッ・・・」
リアン
「そういう事か・・・」
母と兄の助言から、確信を得た美保とリアン・・・
次回、ついに解決編!! |