ファイル524:ゲレンデの推理対決・リアンVS美保『1』
美保
「私は今月7件よ・・・あなたは?」
刃
「アタシは8件解決したで・・・」
美保
「アチャ〜、また負けだわ・・・あなたの周り、事件起きすぎなんじゃないの?」
刃
「まぁ連敗を止めたいんやったら、その『白野美保』ちゅう名前変えた方がええんとちゃう?アタシは『リアン・ハートネス』・・・『ハートネス』はバラしたら『ハートのエース』、1番やからねぇ・・・」
美保
「アホ・・・あなたは2番目よ・・・」
刃
「に、2番目やてぇ!?」
カチン!
美保
「ええ・・・昔、いたのよ・・・あなたよりもっと頭の切れる・・・探偵がね・・・」
3年前・・・
山形県
「銀一、大丈夫?」
「足の捻挫キツいんだったら、ホテルに戻った方が良いんじゃないか?」
瀬藤銀一『当時14歳』
「平気だよ!1人でホテルにいても面白くないし、みんなが滑ってるトコ見てるの楽しいし・・・(それに・・・ここにいると・・・)」
ザッ!
銀一
「わっ!?」
白野美保『当時15歳』
「あー、ゴメンゴメン!雪の中にブッサイクなお地蔵さんが座ってると思ったら、人だったのねぇ・・・」
「何なの!?オマエこれで6回目だろ!!」
「銀一にちゃんと謝れよ!」
美保
「どうして、謝らなきゃいけないの?この子の捻挫早く治るように、雪かけて冷やしてあげてるってのに・・・」
銀一
「そんなので治るか、アホ!」
ボコ!
「わっ!」
天幕深雪『当時14歳』
「先生〜!美っちゃんがまた男子にチョッカイ出してます〜!!」
鳳美香『当時11歳』
「ニィィ・・・」
美保
「何ですってコラ!!」
「オレらは関係ないだろ!!」
月島弓雁『当時14歳』
「ガキ共が怒った!怒った!!」
バシバシバシィ!!
銀一
「ちょっ、ちょっと・・・」
美保
「銀一・・・ガマンしないで、早くホテルに戻りなさい・・・カゼ引くわよ・・・」
銀一
「う・・・うん・・・」
「何で女子ってああなの?」
「オレらの事敵だと思ってる・・・」
「この山の雪男に食われちまえ〜!!」
銀一
「雪男?」
真柄敦盛『当時14歳』
「午前中のスキー授業の時、先生が言ってたんだ・・・この山には『雪男の銀衣伝説』っていう民話があるって・・・」
銀一
「て、天女の羽衣みたいなもの?」
敦盛
「ちがうちがう〜、昔この山に白くキラキラ光る銀色の衣着たスゴいイケメンさんがいてな・・・山に足踏み入れた良い女に目をつけて、吹雪によく似た歌声で惑わすんだって・・・」
駿河良明『当時12歳』
「『ボクの衣とあなたの大事な物取り替えてくれないか〜』ってな・・・」
熊谷正直『当時14歳』
「アホな女は、その銀色の衣と衣の下の白い肌に目が眩んで、その条件を飲んでしまったんだ!」
銀一
「そ、それで・・・?」
良明
「女はもらった衣を風呂敷に包みながら聞いたんだ・・・『私の大事な物はこの着物ぐらいだけど、欲しいのはこれ?』。」
正直
「男は女の背後で答えた・・・『ちがいます・・・』。」
良明
「それなら銭?」
正直
「ちがいます・・・」
良明
「この笠?」
正直
「ちがいます・・・」
良明
「何なのって聞かれた男は、素っ裸で女の背中に抱きついて・・・」
敦盛
「そんな冷たい物じゃありません・・・オレが喉から手が出るほど欲しいのは・・・オマエのぬくいぬくい・・・血ィの滴る・・・」
良明
「心の臓やぁ〜!!!」
正直
「ってな・・・」
銀一
「ヒィッ!!」
音切達治『当時12歳』
「それでその後女は遺体で見つかって、風呂敷には銀色の衣じゃなくて雪がたくさん詰まってたって話だよ・・・」
銀一
「ま、まぁ、よくある昔話だね・・・」
達治
「けど、ただの昔話とは思えないんだよね・・・」
敦盛
「この山、吹雪いたらよく遭難者がよく出るって言ってたし・・・」
達治
「4年前にも、これとよく似てる事件があったらしいし・・・」
敦盛
「だから先生、『吹雪いてきたら雪男に捕まる前にホテルに戻れ』ってみんなに言ってたんだけど・・・」
達治
「白野なんか、ヤバイかもしれないな・・・」
敦盛
「そうだね・・・カワイイし、ナイスバディだし・・・」
達治
「メッチャ好奇心旺盛だし・・・」
敦盛
「あるある・・・」
銀一
「ち、ちがうもん!美保はそんな誘いに乗るワケ・・・」
ニマッ!
達治
「そうそう♪」
敦盛
「オマエの美っちゃんなら大丈夫だ!」
良明
「賢いもん!」
銀一
「・・・」
良明
「けど残念だったなぁ・・・」
敦盛
「せっかく白野と同じ上級者班だったのに、前の日に足くじいて滑れないなんて・・・」
銀一
「あのなぁ、別にオレ美保の事・・・」
達治
「だったら良いのぉ?」
敦盛
「オレらが白野誘惑しても♪」
銀一
「それはちょっと困るかも・・・」
「お〜い、山王学園中等部の生徒〜!!昼飯だぞ〜!!」
美保
「ちょっと待って!もう2時回ってるじゃないのよ・・・」
弓雁
「え?ホンマに?道理でお腹減るワケやわ・・・」
銀一
「何か、他の学校もこのホテルに泊まってるんだって・・・だから、食堂込まないように時間をズラしたらしいよ・・・」
ガチャ・・・
美保
「ん?」
美香
「おおっ?2人でランチですかぁ?」
深雪
「こりゃまた仲がよろしいですなぁ♪」
美保
「アホ・・・あなた別のトコ行ってよ!他にも席開いてるでしょ?」
銀一
「しょうがないじゃん・・・上級者は上級者同士でゴハン食べる決まりなんだし・・・知らん人と食べるより、楽しいし・・・それに、あっちの方、何か騒がしいんだもん・・・」
美保
「ん?」
キャッキャッ!
深雪
「あれ、女優の台矢風子じゃないの?」
美保
「何してんの?こんなトコで・・・」
深雪
「そうそう!雪山で本当にあった事件元にした映画撮ってるってTVでやってたよ・・・」
美香
「あら?私は雪男を絡めた推理物だって聞いたけど・・・ホラ、今朝先生が言ってたじゃない・・・雪男の銀衣伝説!」
銀一
「(ギクッ・・・)」
美保
「ああ・・・あのHくさいしょうもない昔話ね・・・」
深雪
「まぁとにかくよ、あの台矢風子が主役で・・・何かの謎めいた事件追ってる・・・探偵役っていうのは・・・合ってると思うわよ・・・」
美保
「ヘェ〜・・・探偵ねぇ・・・」
「あの〜、今回も雪男の伝説に準えた映画って聞いたんですけど・・・」
「本当なんですか?」
台矢風子『33 女優』
「ええ・・・実際にあった事件をモチーフにしたって言うのも本当よ・・・亡くなったのは、私の友人の女流スタントマン・・・私もその現場にいたんでね・・・」
「ええ〜!?」
「じゃあ、雪男を見ちゃったりしたんですか!?」
風子
「さぁ・・・私は見てないけど・・・でも、ひょっとすると友人は・・・」
地山震蔵『57 映画監督』
「ちょっと台矢君・・・あまり茶化さんでくれ・・・亡くなった吹代雪麗君は私の友人でもあるんだから・・・」
風子
「何言ってるんですか・・・死んだその友人をネタに映画を撮ってる人が・・・」
震蔵
「おいおい・・・これは彼女の死を偲んで撮ってる作品で・・・」
落俣雷美『28 女流スタントマン』
「まぁ良いんじゃないですか?死んじゃった人は、逆立ちしたって帰って来ないんだし・・・映画のラストに『吹代雪麗に捧ぐ』とか入れとけば観客の涙を誘えるかもしれないし・・・それで映画が当たればなおベスト!吹代先輩に感謝して、良い映画にしましょうよ・・・」
震蔵
「か、感謝してってねぇ・・・」
風子
「確かにそうね・・・そういうあなたも彼女の死のお陰で彼女の後釜に納まったワケだし・・・」
雷美
「ええ・・・まぁね・・・」
火立炎人『32 特殊メイク』
「まぁ、せいぜい気をつける事だね・・・君は死んだ吹代役のスタントも務めなきゃいけないんだから・・・雪男に誘惑されないようにな・・・」
雷美
「はいはい・・・」
震蔵
「しかし、未だにわからんよ・・・どうして吹代君が君のような婚約者を遺して、自ら命を断ったかが・・・」
炎人
「さぁ・・・オレより雪男に惹かれたから・・・この映画ではそうなっていましたよね?」
震蔵
「あ、イヤ、それは脚本の話であって・・・」
「その理由は簡単よ・・・あれは自殺じゃなく・・・殺人・・・アンタらの中の誰かに殺されたんでしょうからね・・・」
雷美
「またアンタか、刑事さん・・・しつこいわねぇ・・・」
風子
「イヤ、もう刑事は辞められたとか・・・」
濃崎霧美『36 女探偵(元刑事)』
「ええ・・・他県の事件であるこのヤマにかまけてたらクビになっちゃってね・・・今はしがない探偵稼業よ・・・」
美保
「探偵・・・」
震蔵
「アンタ、いい加減にしないと訴えるよ!?」
炎人
「あれはどう見ても、彼女の自殺なんだから・・・」
霧美
「確かにそうね・・・4年前・・・このスキー場のリフトに1人で乗った女が、降りる時には頭を拳銃でブチ抜いて息絶えていた・・・右手には拳銃、袖口には硝煙反応・・・普通に考えれば拳銃自殺にしか見えないけど、引っ掛かるのよ・・・ヤツの横の席に置かれていたバッグに、どうして大量の雪が詰められていたのかがね・・・」
震蔵
「だからそれは、この山に伝わる雪男の伝説に準えて彼女が自分で・・・」
霧美
「バカな・・・アタシはヤツをガキの頃から知ってるけど・・・怪談話にはとんと興味を持ってなかったわよ?それにたとえそうだとしても、そんな事をする意味がわからないわよ・・・」
風子
「さぁ・・・それは亡くなった彼女に聞いてみないとわからないけど・・・ただこれだけは言えるわ・・・あれが殺人だとしたら、人間には到底成し得る事ができない不可能犯罪・・・そう・・・できるとしたら、まさに賢き冬山の妖怪・・・雪男にしか・・・」
美保
「アホか・・・人間がやったから犯罪って言うのよ!!それに不可能なモンがあるかってのよ!!ボケェ!!!」
銀一
「み、美保・・・」
クス・・・
ハハハハ・・・
美保
「ハァ?何笑ってるのよ?」
雷美
「さっきもいたのよ・・・」
炎人
「4年前のこの話に、君と同じ文句で絡んで来た少女がね・・・」
震蔵
「年も同じ中学生ぐらいだったなぁ・・・」
美保
「ちゅ、中学生ですって!?」
ジ〜ッ・・・
「クッシュン!!こりゃ〜、誰かがアタシのウワサしとるんじゃ・・・」
「そやね〜。食堂であんな大見得切ってしもたから、誰かがバカにして笑うてるんやない?」
「ア〜ホ!あれは雪男の話にビビっとったアンタの寝ぼけた頭を覚まさしてやろうと思てやな・・・」
「ビ、ビビってなんかおらへんもん!ただちょっとありそうかなって思ただけ!雪男の話って・・・悲しくて、不思議で、ありそうな話が多いから・・・」
リアン・ハートネス『当時16歳』
「ああ・・・ミステリアスなんは確かやで・・・日本で一番有名な雪男の話の作中に出て来るその化け物の呼び名は・・・Man of the snow・・・やからな・・・」
服部平次『当時14歳』
「え、英語?雪男って日本の話やなかったん?」
リアン
「イヤ、日本の民話やで。それを、日本で英語教師をやってたミステリィオ・アランって人が聞いて、英文で発表したんや・・・知ってるやろ?美泉七雲!その人のペンネームや!」
平次
「はいはい、リアンは何でも知ってて賢いな・・・そやけどおおきに!オレを安心させるためにあんな事言ってくれたんやろ?」
リアン
「それだけとちゃうよ・・・ああでも言わんとヤバイ気がしたんや・・・このままやと嵐になるような・・・そんな予感がな・・・」 |