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FBIから来た女:5〜逆鱗・黄の章
作:ユーリ



ファイル519:大波乱のロンドン旅行『2』


「それはだな、オマエもロンドンへ行ってコナン君達の警護をしてくるのだ。今すぐに。」

理沙
「ええ!?そんなムチャな!?」

いくらなんでもそれはイヤである。

コナン達と合流するまでは1人で行かなくてはならない。

しかも、そのコナンは事件難に祟られている。

「そうかイヤか・・・じゃあ禁固2日間な。」

理沙
「ええ!!!」

禁固2日間という事は、つまり牢屋に2日間入っていろという事だった。

「さあどうする?」

どっちに転んでもイヤである。

理沙
「(どうしよう・・・コナン君達の所に行ってもどうせろくでもない事に巻き込まれるに決まっている。けど、ここで2日間の禁固刑もごめん被りたい。だったら・・・)わかった。行くよ。」

「よし。じゃあ急いで必要な荷物を持って5分以内にここに戻れ。」

理沙
「え!?何でここ?」

「つべこべ言わず、すぐにやらんかい!!」

理沙
「はいはい!!」

理沙は自室に戻って急いで当座の着替えと、生活用品、そしてパスポートと財布を持って再び地下に戻った。

ただ、この時理沙は大きな失敗をしていたのだが、彼女がそれに気づく事はできなかった。



「よし。4分59秒。合格じゃな。」

理沙
「(何が合格なの?)で、おじいちゃん。どうしてここに?」

「それはだ・・・あれを見よ。」

彼が指差したのは壁に1つつけられた扉だった。

理沙
「あの扉が何?」

「あの扉はな・・・我が家に古来から伝わるどこに行きたいか念じればそこに連れて行ってくれる不思議な扉じゃ。」

理沙
「(どこでもドア!?)」

胡散臭そうな目で見つめる理沙。

「というワケで、あれで急いでロンドンへ行け。」

理沙
「うん、わかった。」

理沙は何でそんな物があるかを詮索する事は止めた。

ムダと思ったからだ。

まぁ、これで帰りも楽々帰って来られるとは考えたが。

理沙
「じゃあ、行って来ます。」

と、扉を開ける間際に祖父が言う。

「ああ、ちなみにその扉は片道しか使えないから、帰りは飛行機で帰って来い。」

理沙
「ええ!!?」

またも文句を言う理沙。

「つべこべ言わずとっと行って来い!!」

理沙
「はーい・・・」

やる気もドン底のまま、彼女はコナン達の泊まるホテルを念じて扉を開いた。

扉を開いた瞬間、彼女はホテルのロビーに立っていた。

周りにいるのは西洋人ばかり、標識なども英語だった。

ロンドンには無事着いたようだ。

理沙
「ヘェ。スゴいじゃん。」

まさか本当に着くとは思っていなかっただけに、理沙は感心した。

理沙
「まぁ、とにかく着いたからにはコナン君達を探さないと・・・って、え?」

しばらく立っていたが、彼女はここで周りの視線を集めている事に気付いた。

理沙
「(あれ・・・私目立ってるの?どうして?)」

確かに東洋人の少女は目立つかなとは思ったが、何となくかなり奇異に見られている気がする。

彼女は自分の体を見回してみる。

そして理由がわかった。

理沙
「(しまった!!巫女服のままだ!!!)」

着替えるのを忘れていた。

真っ白と赤の組み合わせであるから目立つハズである。

多分日本でも街中で着たら目立つだろう。

理沙
「(着替えなきゃ!!)」

急いでトイレに入って着替えようとした。

しかし・・・

理沙
「(ゲッ!!)」

彼女は絶句してしまった。

何と持って来たのは、彼女が仕事で着る青を基調としたミニスカメイド服と、代わりの巫女服であった。

理沙
「(しまった!!慌てていたから間違えた!!!)」

目の前が真っ暗になった理沙であった。

結局、彼女は目立つ巫女服のまま待たねばいけなかった。

そんな彼女がコナン達と合流できたのは、それから2時間後であった。



一方、その頃ロンドンヒースロー空港に着いた2人の少女がいた。

ヒナギク
「フゥゥ、やっと着いた。」

美希
「しかしヒナの高所恐怖症も折り紙つきね。あんなに怖がるとは思わなかったわ。」

ヒナギク
「もう。その話は止めてよ。さ、行くわよ。」

美希
「はいはい。」

2人は出国ゲートに向かって歩き始めた。



さて、ホテルに集まったメンバーであるが、部屋割りは次のようなものであった。

ハヤテ・コナン・ワタル

伊澄・ナギ・マリア

咲夜・美希・ヒナギク

哀・刃・ユリ・理沙

本来員数外の理沙であったが、刃とユリの部屋が子供のみで余裕があったのでそこに転がり込む事となった。

ちなみに、コナンは哀と同室になりたかったらしいが、万が一に備えて男女で分かれた。

万が一の意味は皆様でお考え下さい。

後、潤治・七槻は同じホテルだが階が違った。

そして夕食やお風呂も済むと、お約束のレクリエーションの時間である。

だが、この時ホテルに近づく3人の不審な影があった。

「教授、本当にやるんですか?」

「当たり前だ。今回の仕事は盗む事じゃないが、生活がかかっているんだよ。」

白いマントにシルクハット、片目だけの眼鏡をした男が、ノッポの男の言葉に答えた。

「けど教授。ここの所失敗続きですしね。」

小柄な男が愚痴を言った。

それに対して、教授と呼ばれた男が怒った。

「うるさいな!!つべこべ言わずサッサと準備するんだ!!」

「ヘイ!」

そんな3人組の動きに気づく事なく、コナン達御一行様は遊んでいた。



ワタル
「よっしゃ上がり!!」

ワタルが嬉しそうに叫んだ。

ちなみに今やっているのは大富豪だ。

ハヤテ
「強いですねワタル君。」

咲夜
「ちょっとは手加減したらええんとちゃう?」

コナン
「本当。哀が手も足も出ないなんて。」

コナンが哀の方を見ると、屈辱に満ちた表情をしていた。

哀はトランプに強いハズなのだが、まるでいつもの力を吸い取られたように、既に97回連続大貧民である。

世界一不幸なハヤテにさえ負けていた。

ハヤテは貧民である。

ちなみに、大富豪をしているのは男3人に哀と咲夜である。


「もう1回やりましょう!!」

哀が叫んだ。

負け続けがよっぽど悔しいようだ。

ワタル
「いいぜ。」

ワタルが自信満々で言う。

だが、何度やっても哀は貧民のままである。

112連敗したところでついにブチキレた。


「もう!何なのよこのカード!!呪われているわ!!112連敗なんて有り得ない!!」

コナン
「お、落ち着け哀!!」

そんなコナンの言葉に耳を貸さず、それどころか彼に掴みかかる哀。


「コナン君!あなたが私の運を吸い取って、悪い気を呼び寄せたわね!!」

コナン
「何でそうなる!?」

コナンが怒り心頭の哀をなだめようと奮闘している頃、隣の部屋では・・・

マリア
「すいませんナギ。御迷惑をおかけしてしまって。」

ナギ
「何を言うのだ。」

マリアが熱を出してダウンしていた。

ナギはその看病に動き回っていた。

何で彼女が1人だけで働いているかというと、他のメンバーに迷惑をかけたくなかったからだ。

マリア
「けどナギ、私はもう大丈夫ですから、皆さんと遊んでも良いんですよ。」

ナギ
「何を言うか。いつも世話になっているのだから、これくらいしてやらなくてどうする。私の事は気にするな。マリアは・・・私の大事な家族なんだから。」

マリア
「ナギ・・・ありがとう。」

マリアがナギの言葉に感動している頃、さらに隣の部屋では・・・

ヒナギク
「で、私はその時相手の隙をついて一撃したワケ。」


「ヘェ!スゴいですね。」

ヒナギクと、刃が剣道という共通の話題で盛り上がっていた。

そして、最後に理沙とユリがいる部屋には、伊澄と美希が訪れていた。

伊澄
「ゴメンナサイ理沙さん。私のせいでご迷惑おかけして。」

伊澄が理沙に頭を下げる。

理沙
「伊澄君、頭を上げてください。私はあなたに仕える身ですから。そんな事しなくても良いです。それに、あくまで今回の失敗は私のせいですし。」

美希
「けど、どうしたら普段着とメイド服に巫女服を間違えて持って来られるの?」

ユリ
「本当。部外者ですけど、笑っちゃいますね。フ・・・」

呆れ顔で言ったのは美希、鼻で笑ったのはユリだ。

理沙
「うぅぅ・・・」

反論できないだけに、理沙はジッと耐えるしかなかった。

美希
「それにしても・・・メイドや制服の理沙もカワイイけど、巫女服もそれなりに良いわね。」

理沙をマジマジと見ながら美希が言う。

理沙
「何なら美希も着てみる?」

美希
「え!?いいの?」

理沙
「ああ。」

美希
「じゃあ。」

美希は理沙から借りた巫女服に着替えてみる。

理沙
「ヘェ、美希中々似合うじゃん。」

美希
「そ、そうかな?」

伊澄
「とてもお似合いですよ。」

ユリ
「ステキです。」

伊澄とユリも彼女を褒めた。

と、ここで美希がある事を思いついた。

美希
「伊澄さんも着てみれば?」

伊澄
「え!?」

実は理沙が持って来た巫女服はもう1着あったのだ。

そしてこれが、ある意味事件の発端であった。



先ほどの不審な男3人組は、ホテルのボーイに化けて潜入していた。

「いいか、今回は日本から来ている鷺之宮伊澄という少女を誘拐するのが仕事だ。」

「誘拐!?少女をですか?」

小柄な男が驚きの表情をする。

「もはや我々には仕事を選ぶ余裕はないのだ。」

「けど、どうしてそんな少女をさらうんですか?」

今度はノッポの男が言った。

「そんな事知るか。依頼人からの命令だ。」

「で、その鷺之宮伊澄という娘はどんな娘なんですか?」

「ああ、確か巫女らしい。」

「巫女!?」

巫女等という単語にイギリス人が縁のあるハズがない。

「何でも日本の宗教のシスターらしい。」

教授がとりあえずそう説明しておく。

「何でも格好は、上が白い着物で、下が赤い袴というスカートに似た格好らしい。」

らしいという事は確証がないという事だ。

これでは部下の2人も心配になる。

「あの教授・・・顔写真とかないんですか?」

小柄な男が再び質問する。

「それが依頼人もくれなくてな。まぁ東洋人の少女だ。すぐわかるだろ。」

そして、彼らはホテルに潜入すると、屋根裏からその少女が泊まっているという部屋の様子をうかがった。

ところが、そこにいたのはいずれも東洋人の少女3人。

そして1人だけ西洋人に見えなくもない少女。

しかも、東洋人の少女は3人共先ほど話した巫女服を着ていた。

これでは誰がお目当ての少女かよくわからない。

「どうします教授?」

「ドット・・・オマエは誰が目標の少女だと思う?」

ドット
「え!?ええと・・・わかりません。」

ドットと呼ばれた小柄な男も困った表情をした。

「しかたがない。こうなったら全員誘拐するまでだ。」

こうして、彼らは動き出した。

一方、迫り来る自分達の危機にも気づかず、少女達は無邪気に遊んでいた。

理沙
「ヘェェ、美希もよく似合ってるじゃん。」

理沙が美希の巫女服姿をホメる。

美希
「そ、そうか。ありがとう。けど、ちょっと恥ずかしいな・・・」

と言いながらも、美希は満更でもなさそうだ。

理沙
「伊澄君もいつもの和服も良いですが、キレイですよ。」

伊澄
「そ、そうですか、ありがとう。・・・けど、ハヤテ様に見られたら恥ずかしいな。」

後半の言葉は小声である。

理沙
「何か言いました?」

伊澄
「い、いいえ!!」

と、少女達はキャッキャと甲高い声を上げて遊んでいたが、しばらくすると全員目がトロンとしてきた。

理沙
「あ・・・あれ・・・何でこんなに眠いんだ?」

美希
「た・・・確かに・・・」

伊澄
「も・・・もう・・・ダメです・・・」

伊澄の言葉に合わせるように、ユリを除く3人が倒れた。

ドサッ!

ユリ
「みんな!!・・・くっ・・・これは催眠ガス?」

ユリは何とか持ち(こた)えようとした。

ユリ
「ぐっ・・・ダ・・・メ・・・」

ドサッ!

が、結局彼女も眠りについた。

この時使われたのは無色無臭の催眠ガスであった。

これでは気づけるワケがなかった。

4人全員が倒れると、先ほどの3人組が屋根裏から降りて来た。

スマイリー
「成功ですよ教授。」

「よぅしスマイリー。直ぐに廊下のカートに運ぶんだ。」

スマイリー
「全員ですか?」

「念のため全員だ。」

3人は急いで4人を運び出し、廊下に置いておいたシーツを運ぶためのカートに入れる。

1台に無理すれば2人ほど乗せれる。

しかし、ここで誤算が起きた。


「何やってるんあなた達!?」

隣の部屋から刃が出て来てしまったのだ。

ちょうど伊澄をカートに乗せているところだった。

「ヤバイ!!」

3人は逃げ始めた。


「待たんかい!!」

彼女も慌てて追いかけた。

しかし、3人が廊下の角を曲がり、彼女も曲がろうとした瞬間・・・

ドカッ!!


「あっ・・・」

ドサッ・・・

鈍い音と、凄まじい激痛を頭に受けた刃の意識はそこで途切れてしまった。

実は曲がったと見せかけて待ち伏せしていた教授が、銃で彼女を殴ったのであった。

「フゥ、危ない危ない。」

ドット
「けどこの娘どうします、教授?」

「見られたからな・・・しょうがない連れて行くぞ。仲間外れにしちゃかわいそうだろ。」

こうして、刃も誘拐される事になった。



この後3人はまんまとホテルから5人を誘拐する事に成功したのである。

そして、この誘拐に最初に気づいたのは、刃が戻って来ない事を心配したヒナギクであった。












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